その朝、あさこさんの(仮名)ドアを開けた瞬間、ものすごい臭いがしました。ベッドの下に使用済みのおむつやパッドがむきだしで置いてありました。5日ぶりに便が出たので、ご自身でおむつを替えたんですね。


 おはようございます。

ここに来る道で桜がめっちゃきれいでした。

今年は、紅葉が美しいです。秋ですね。ありがたいですね。

無言のあさこさん。

外の世界に関心もたまには持ってね。だから、スマホの写真を私は見せて、秋ですね、春ですね、と、季節を言い続けてます。


さて、清潔にしましょう。

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あさこさんセットをカバンから取り出して、ケア開始です。
(あさこさんは使い捨ての手袋を買ってはくれません。うちが所属してるヘルパーの会社も使い捨てのゴム手袋を支給してくれませんので、持っていきます。)

 

↑ですがこのセットをあさこさんのおうちに置いとけないんです。
最近、あさこさんは隠してしまうんです。
探し回った私が、ベットの下から見つけて、使おうとしたら、
泥棒!って言われるのでかなわんのです。それ、人にいうたらあかん言葉です。私自身が持ってきたんですよお~、って伝えるんですけれど、最近、あさこさん、あかんのですわ。
 
話は元へ。
使い捨ての手袋をはめて、義歯を洗い、清拭し、おむつを拝見。きれいにしましょう。
 

「自分で替えたよ。」

おむつやパッドだけではなく、パジャマにも、電気毛布にも、便汚染。「あさこさん、ついちゃってる。おむつ替えますね。」

「おむつになんぼかかると思ってるん!」

あさこさんの場合はおむつは無料です。○○市に暮らしててよかったですね。

(市内の住民票を置かれている自宅で生活している要介護度3・4・5の本人及び同居する人全員が市民税非課税(世帯分離も含む)
※生活保護受給者及び支援受給者・入院・入所中の人は対象になりません)

↑と と某市のHPに書かれてます。

 

「こーんなんがついてます。清潔にしましょう。」って汚れてる証拠を見せると、あさこさんがしぶしぶ頷く。これが便が出たときのいつもの、やりとりです。

陰部洗浄して、おむつやパッドを新しいのに替えたら、次は着替え。

 
着替えがね、また難儀です。
あさこさんは洗濯したら、衣類やタオルの繊維がすり減ると思っておられるのです。
極端に洗濯も嫌がりますが、今回はそうは言うてられません。清潔が、第一です。
ズボンの汚れてるところを見せてようやく、着替えてくれました。
 
あれ、電気毛布にもついちゃってる。
電気毛布にカバーをしてたなら、清潔なんですが、、。布団のシーツも一枚こっきりしか持ってないので、電気毛布のカバーなど、買うわけがありません。
 
中性洗剤を雑巾にしみこませて、電気毛布についた汚れを取りました。取り切れないけれど、できるだけとりました。
その間「私の家のものを壊すつもり!?電気毛布を水で拭くなんて聞いたことないわ!」と罵声がかなわんわ。
濡れて湿気てるので、バスタオルを電気毛布の上に掛けようとしたら、またまたクレームが。バスタオルを使うことも抵抗します。けれど、清潔第一。大判のバスタオルを電気毛布の上に置いて包んで、完了。
はい、きれいになりました。ありがとうございます。
むくれて、そっぽ向いて、目と目を合わせようとしないあさこさん。
パンを焼いて、スープを出して。ハイどうぞ。
 
さ、今日はゴミの日。某市の指定のごみ袋におむつを集めましょ。
またまたあさこさんが言うんです。
 
「まだ満杯になってないのに捨てたらあかん!このごみ袋は一枚なんぼする思うてるんよ!あんたはもったいないことしかせんわ。」
8割がた満杯になってますよお。相当重いです。 週に2回しかない普通ごみの日です。
「おむつですやん。堪忍してください、どうぞ、処分させてください。」

 

   
 
洗面台の床に、無造作に置かれたゴミ袋。そこのおむつを入れるから、家じゅう臭いねん。せめて↑のごみ箱に入れてほしいわ。蓋つきのごみ箱、買って置いてほしいです。夏場、そこにゴキブリにこばえに虫がわんさか来るんですよ。修羅場。殺虫剤の方が高くつきますよ。と、うちは、ほんま思ってます。

 

スーパーマーケットやコンビニでレジ袋が有料化になってから、あさこさんは、極端にナイロン袋を使うのを嫌がるようになったです。今では、ヘルパーが持ってきても隠したがる。

 

で、これをお見せしました。市の指定の袋も大中小とあるのです。


 

「あさこさんは、そんなにたくさんのごみを出さないんですから、小さいんでええんちゃうかなあ、、と買ってきました。」
(嘘です。)
大きいごみ袋だけでは出し切れない台所の生ごみとか、空き缶とかもきれいに処分するためです。
「そうやね、私はゴミなんて出さんもんね。」
はい、ほとんど。(おむつ以外は、、の言葉は飲み込みます。)
「小さいのはいくらやったてえ?」
83円です。15枚も入ってて83円。
「ふ、、ん、まあ、それくらいならね。」
 それと、これ。もらって来ました。

これ、使ってください。↑スーパーマーケットのサッカー台においてある無料の袋です。おむつやパッドは使った後はベットの下の床に置かないでね。この袋に入れて清潔を保ちましょうね。

とたんに、あさこさんが笑顔になりました。

こういう小さい袋が欲しかった!とめっちゃ喜びました。

(ケアマネージャーも、100均で小さな袋を買ってきてるんですよ。あなたが隠しちゃって、みんな難儀してるんです。)

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「ありがとう!あんた気が利くねえ。」

こういうときだけ笑はります。

それが切なくなるん、、、です。

 

お好きなかっぱえびせんも置いときます。

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あさこさんがご機嫌でかっぱえびせんをほおばってる間に、退出し、

大量のおむつをゴミ置き場に置いたのでした。

 

ほっとしました。

 

けれど、、なんか、やりきれない朝でした。

「ドウセシヌンデスカラ。」が口癖のあさこさん。ゴミ袋はおろか、衣類もタオル類も買わないけれど、今、生きてる間に必要な物こそ、買ってほしいです。

お金って、必要なものに使ってこそ生きると思うんです。

 もっとご自身が楽しくなるようにお金を使って欲しいです。

 

切ないです。

 

あかんあかん、切り替えましょう!

次のおうちに行かなくちゃ!

次の方に笑顔をお届けしましょう。楽しい話題をおとどけしましょう。と、バイクにまたがったのです。

 

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