お札が新札に段々と変わってきて,見慣れた顔ぶれともお別れかと思うと少し寂しい.

そういえば,新渡戸稲造氏って紙幣になっているが,一般的な知名度は多分相当低いから,選ばれた時は,ビックリしたよ.

 

知っている人でも「武士道」って英語の本を書いて,日本人の精神的な規律の根本を西洋に紹介した程度だろう.

 

彼は,「太平洋の架け橋になりたい」と絶えず発言し,国際社会で日本の為に非常に活躍した人物だ.

 

特に国際連盟での活躍は,驚くべきレベルで高い.

 

新渡戸氏の後任になることになったある国の人物が,新渡戸氏と比べられると辛いとプレッシャーを感じたというエピソードがあるぐらい国際的な評価は高い人物だった.

 

そして,最後まで,日米開戦を回避しようと尽力した.

 

ただ,学者としては一流だったが,経済人でもなく,政治家としても温厚でありすぎた.

 

当時の日本は,個人的には,植民地にならなかったのが奇跡的な状況で,日露戦争という危険な博打にたまたま運良く勝てて,ロシアによる植民地化は避けれたが,綱渡りのような非常に危機的な状況が,開国時からずっと続いていた.

 

当時の西洋諸国の日本への攻撃的な振る舞いは,日本を植民地化するまで,終わらなかったと個人的には思う.

 

植民地運営は,日本だけが当時の常識では考えられない良好な運営を行なっていたが,西洋諸国はひたすら搾取する奴隷として運営するのが普通だった.

 

奴隷になるか戦うか?という究極の選択を開国後の日本はずっと考え続ける運命にさらされ,結局,奴隷になるぐらいならと戦う事を選択したわけだ.奴隷になったら,結局虐待されて文化も奪われ相当数殺されるわけで,戦争して愚かだったとは正直思えない.相当悩む選択である.戦わずして理不尽に殺されるのは,個人的にはかなり嫌である.仮に日米戦争をせずに,言いなりになっていたら,冷戦時に朝鮮半島での戦争の舞台は日本まで広がった可能性は高いし,どのみち戦死者より大量の日本人が欧米人に殺されただろうね.彼らは黒人は人間だろうか?って超アホな議論をかつて大真面目にした連中なんだよ.日本人とは精神性の根本が相当違う人々なんだよ.だから,今でも,日本人は人間なんだろうか?って彼らは大真面目に議論してるって思ってるし.何故彼らはそこまで馬鹿なのか?って,多分キリスト教の影響が大きいと思っている.宗教って基本的に人間の知性を劣化させる方向に働く.

 

新渡戸稲造は,西洋社会のそういう深い闇に対して,あまりにも理解を示さずに,良いところだけを見ていた気がする.まあ,彼はキリスト教徒でもあったし,そういう所から目を背けるのは,しょうがないのかもしれないね.

 

現実世界の酷い闇に対して,彼は温厚な性格でありすぎたと思う.