EV車のモーター技術って,有限要素法などの古典的なシミュレーション技術で,結構動作解析出来るから,設計・開発はあんまりお金がかからない.30年前とかにモーターの有限要素解析とかが主流だったから,かなり枯れた技術で安定してシミュレーション出来る.

 

けど,ガソリン車のエンジンは,物凄くシミュレーション屋泣かせで,そもそもピストンが動くから移動境界問題になって難しい上に,燃焼って現象は,単純にプラズマ用の解析技術が使えるか?っていうと非常に限定した場合しか適用出来ない.圧縮と膨張を伴うし,複雑すぎて,ちょっと手が出ない.

 

その上,ガソリン車は点火プラグで点火するから,難易度はさらに上がる.放電現象さえ未だに上手くシミュレーション出来ないのに,スパークさせて燃料に点火なんて,どう扱って良いのか途方に暮れてしまう.ディーゼル車も,点火条件を与えるのが計算上かなりの難易度だから,シミュレーション技術は全然当てにならず,実機の試作でノウハウを蓄積するしか開発方法が無い.これには膨大なお金がかかる.

 

だから,性能の良い内燃機関を作れる会社って限られてる.昔から内燃機関を作り続けて技術的ノウハウを持っている会社だけですよ.

 

中国がEV車をいっぱい作ってるのも,性能が良い内燃機関を作る技術が無いからであって,何故かガソリン車が時代遅れの技術ってイメージが広まってますが,技術的には逆なんですよね.EV車に一気にシフトしたのは,内燃機関(エンジン)を作る技術が無いからです.だから,TOYOTAのハイブリッド車戦略って,かなり適切だと思います.ハイブリッド化だけでも,相当な難易度だから,あんまり真似出来る技術じゃないと思います.NISSANもTOYOTA方式のハイブリッド化では困難を感じて,独自のe-power技術(エンジンで発電し,モータを駆動する技術)をメインにしてますからね〜

 

そもそもエンジンってバラして,構造とか模倣しやすいけど,中国は部品の精度が出せないから,模倣したくても模倣出来なかったって話は聞いたことがあるし,未だに品質管理って概念があんまり社会に浸透してなくて,初期不良品が多い.エンジンって徹底した品質管理下でないと,パーツ数が膨大だから,まともに製品化出来ないからね.

 

個人的な意見だけども,中国の技術力って,物凄くバラツキが広くて,日本よりも遥かに突出している分野もあるが,一方,とんでもない製品を平気で出荷してる面もあって,総合的な技術力が要求されると一気に脆くなると思っている.

 

鉄道とかダムとかトンネル等のインフラ技術なんかも,その面が現れている良い例だと思う.