レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々 -440ページ目

ツバメに思う

一瞬、目の端を黒い影が走った。

僕は思わず身を屈めた。

ひょっとするとと思い、空を見上げると、

左から右へと急旋回する黒い飛翔物が目に入った。

おお~、ツバメだ!

もうツバメがやってくる季節なのか!!と、驚く。

ツバメは刈られた稲から少し緑の伸びた

ばつの悪そうな田んぼの上を踊るように飛び、

民家の向こうへと消えていった。

もう数週間もすると、気の遠くなるような距離を渡りきったツバメ達が、

町のあちこちにその精悍な姿を現すはずだ。

遥か彼方の国から

海を越えやって来る彼らのその体力と精神力は、

想像を絶するものに違いない。

自分の力を疑わず聖地を目指し、

飛び続けるツバメたち。

途中で力尽きるなんて事は考えもしない。

毎年、彼らの姿を目にする度に、

ああいう精神力と体力を兼ね備えた生き方をしたいものだと思う。



「ご託はいいから、突き進め」と僕の中の誰かが言う。

「進んでいるかどうかは分からない。だけど、以前と同じじゃない」と僕が言う。


自分ではそんな事、分からない。


きっと物事の上達や変化とはそんなものなのだろう。

この所、そんな事ばかり考えている。

もう暫くすると、やるべき事に思考が集中し出す。

おかしな話だが、何かしら決心がついて、

「うっしゃ~」という時の僕の一つの儀式のようなものだ。

『闘う古本屋』、そう呼んでくれ!