レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々 -404ページ目

さまようポインタ

書類に目を通し、メインパソコンのディスプレイに視線を戻すと、

マウスポインタが、あらぬ場所にある。

当初、手か肘が当たったのだと思っていた。

数日後、同じ現象が起こった。

じっと見ていると、「何かおいらに用かい?」

と言ったように大人しく静止している。

気を抜いて暫く目を離していると、

やはりポインタが先ほどとは別の場所にある。

その内、まるで意思を持っているかの如く

マウスポインタが、画面の中を自由に移動しだした。

僕は溜め息まじりに言った。

「誰だえ?悪戯をしているのは」

・・・当たり前だが、なんの返事もない。

仮に「あたいに文句でもあるのかい」なんて声がしたら、

僕は二度と店に来れなくなるか、

それを逆手にとって商売にするかの二者択一を迫られる事になる。

いずれもあまり嬉しくない。

その翌日、パソコンはごく普通に動き、仕事に支障は出なかった。

でもどうも嫌な予感がする。

こういう時の予感というのは誰しもほぼ当たるのではないかと思う。

新しいパソコンを用意しておいた方が良さそうだと思い、

パソコンメーカーに勤める後輩に連絡をしたとたんに

メインパソコンのあちこちに不具合が出だした。



うちは通販中心の店という事もあり、

その管理のためのソフトをいくつか入れている。

難儀なのはAmazon出品管理のソフトである。

このソフト、単純に他のパソコンに移設するという事ができない。

先日、兎も角、クラッシュしないうちにと

サブパソコンにデータバックアップだけは取っておいた。


新しく購入したパソコンの設定を急がなくてはならない。

業務用に使用できるようにするには、結構時間がかかる。

Amazon出品管理のソフトはメーカーに新パソコンへの移設を申し入れると

旧パソコンでの稼働ができなくなる。

新パソコンでぶっつけ本番のインストールと設定を行う事になる。

パソコンを入れ替える度に、この作業を行ってきたが、

一度でうまくいった試しがない。

Amazonのオープンデータを巧みに取り入れていると思うので、

ややこしい事が多いのだろう。

日々の出品や受注量を考えるととても手作業では間に合わないし、

このソフトに頼らざるを得ない。

案の定、設定は難航し、何度もメーカーとやり取りを行った。

まともに稼働し出すまでには、まだ数日掛かりそうだ。

すでに週の半分以上をそれに費やし、寝不足で体もヘラヘラ、

僕はもう疲れ果てている。


これからは、こういったソフトもクラウドで動いてほしいと切に願う。



しかし、我が店が通販を行うような時代が来るなんて、夢にも思わなかった。

むさくるしい店内で、お客とつまらない冗談の一つも飛ばしながら過ごす日々。

そのほうが性に合っているよなあ・・・