季節の移ろいを想う
先週、三男は二男にネクタイを結んでもらい、慣れないスリッポンを履き、
妙に小さな自転車に跨り、駅へと向かった。
そうなんだよな。自転車を買い直してあげないといけないのに、すっかり忘れている。
それにしても、ネクタイの結び方を覚える気がない。・・・そもそもネクタイが要るか?とも思うが。
ところで、三男の向かった先は、神戸の山間にあるホテル。
料理が美味しいらしい。温泉もある。
生徒間のコミュニケーションを兼ね、二泊三日のオリエンテーションらしいが、贅沢な話だ。
無論、有償(親としてはたまったものじゃない)。
それにしても、数日間、家族が一人居ないだけでも結構寂しいものだ。
とまあ、どうでもいい事を思いながら店に向かっていた。
店手前の池は強風で、結構波がたっている。
池には波に身を任せるように上下しているカモたちがいる。
「ねえねえ、君たち酔わないの?」と、尋ねてみたい。
と、そんな所に目の前を黒い物体が強風に煽られるように過ぎ去った。
思わず、僕はアクセルから足を離し、ブレーキを踏もうとした。
黒い物体は一度僕の視界から消え、再び池の向かいにあるイガグリ頭の田んぼに戻って来た。
いやいや、ツバメか。びっくりした。
先日、自宅近くでも目の端を黒い物体がかすめた。まわりを見渡したが、何もいない。
気のせいか、と思っていた。
今年もツバメがやってくる季節がきたのか。
去年、うちの近くでは数羽の姿しか見なかったので、今年はもうやって来ないのでは?と思っていた。
兎に角、この辺りはツバメの飛来数が激減している。
餌取り場の田畑が減るには減ったが、まだ長閑な風景はあちこちに残っている。
彼らの天敵であるカラスも一時期を思うと、随分減っている。
やはり、ツバメが飛び交わない町は寂しい。
民家の軒に巣を作る鳥なんて、まずいないのだし、何とも親しみのある奴らではないか。
母の実家は建て直す前は土間があり、その土間に走る大きな柱にツバメが巣を作っていた。
祖母が「夜になっても玄関の扉は少し開けたままにしておきなさい」と言っていたのを覚えている。
以前の店は軒先にツバメの巣があり、ヒナの成長を楽しみに見ていた(糞の掃除は大変で、床に落ちないよう受けを作っていた)。
毎年、今年こそ店の軒に巣を作ってくれないか、と期待するのだが、
これだけ飛来数が減るとあまりそれも望めない。
ネットで人口巣の作り方をみた事がある。今年は大工仕事でバタついているので、来年は挑戦してみるか!と、思っている。
桜が散り、行く春を寂しい気持ちで見送る時、
初夏を誘うツバメたちが、町のあちこちに魔法のように現れる。
そんな賑やかな彼らを見ていると、気持ちも明るくなる。
ジメジメと鬱陶しい梅雨。
田んぼに降る雨の中をサッと飛び去るツバメを見ると、
情緒があって良いものだと思うから不思議。
日々が慌ただしく過ぎ去るが、こうして季節の移ろいを楽しむ余裕も欲しいものだ。