レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々 -204ページ目

季節の移ろいを想う

先週、三男は二男にネクタイを結んでもらい、慣れないスリッポンを履き、

妙に小さな自転車に跨り、駅へと向かった。

そうなんだよな。自転車を買い直してあげないといけないのに、すっかり忘れている。

それにしても、ネクタイの結び方を覚える気がない。・・・そもそもネクタイが要るか?とも思うが。

ところで、三男の向かった先は、神戸の山間にあるホテル。

料理が美味しいらしい。温泉もある。

生徒間のコミュニケーションを兼ね、二泊三日のオリエンテーションらしいが、贅沢な話だ。

無論、有償(親としてはたまったものじゃない)。

それにしても、数日間、家族が一人居ないだけでも結構寂しいものだ。




とまあ、どうでもいい事を思いながら店に向かっていた。

店手前の池は強風で、結構波がたっている。

池には波に身を任せるように上下しているカモたちがいる。

「ねえねえ、君たち酔わないの?」と、尋ねてみたい。

と、そんな所に目の前を黒い物体が強風に煽られるように過ぎ去った。

思わず、僕はアクセルから足を離し、ブレーキを踏もうとした。

黒い物体は一度僕の視界から消え、再び池の向かいにあるイガグリ頭の田んぼに戻って来た。

いやいや、ツバメか。びっくりした。

先日、自宅近くでも目の端を黒い物体がかすめた。まわりを見渡したが、何もいない。

気のせいか、と思っていた。


今年もツバメがやってくる季節がきたのか。

去年、うちの近くでは数羽の姿しか見なかったので、今年はもうやって来ないのでは?と思っていた。

兎に角、この辺りはツバメの飛来数が激減している。

餌取り場の田畑が減るには減ったが、まだ長閑な風景はあちこちに残っている。

彼らの天敵であるカラスも一時期を思うと、随分減っている。

やはり、ツバメが飛び交わない町は寂しい。

民家の軒に巣を作る鳥なんて、まずいないのだし、何とも親しみのある奴らではないか。

母の実家は建て直す前は土間があり、その土間に走る大きな柱にツバメが巣を作っていた。

祖母が「夜になっても玄関の扉は少し開けたままにしておきなさい」と言っていたのを覚えている。


以前の店は軒先にツバメの巣があり、ヒナの成長を楽しみに見ていた(糞の掃除は大変で、床に落ちないよう受けを作っていた)。

毎年、今年こそ店の軒に巣を作ってくれないか、と期待するのだが、

これだけ飛来数が減るとあまりそれも望めない。

 

ネットで人口巣の作り方をみた事がある。今年は大工仕事でバタついているので、来年は挑戦してみるか!と、思っている。

桜が散り、行く春を寂しい気持ちで見送る時、

初夏を誘うツバメたちが、町のあちこちに魔法のように現れる。

そんな賑やかな彼らを見ていると、気持ちも明るくなる。

ジメジメと鬱陶しい梅雨。

田んぼに降る雨の中をサッと飛び去るツバメを見ると、

情緒があって良いものだと思うから不思議。

日々が慌ただしく過ぎ去るが、こうして季節の移ろいを楽しむ余裕も欲しいものだ。