不謹慎な少年時代の成穂堂
不謹慎極まりない話だ。
時は昭和。台風がくると成穂堂少年は、腕組みをしながら5分おきに空をにらむのが常だった。
どうやって知らせが届いてたのか、学校は休みになる。その知らせをひたすら待っている。
被害の事など全く分からず、台風がやってくるとなると、母がたんまりとおやつや巻き寿司を買ってくるのを楽しみにしていた。
父が「雨風が強くなる前に、まさみ寿司で桶でも頼みな」なんて、言った時は踊らんばかりに喜んだ。
まさみ寿司というのは、幼馴染の親戚の寿司屋で、実家の近くでは飛びっきり美味しい寿司屋だった。
多分、握り寿司の時は出前だったと思う。雲行きの怪しい中、角刈り頭の若い衆が自転車に跨ってやってくるのだ。
何にしても、台風が接近した時の寿司屋は右へ左への忙しさだったようだ。おかしな時代のおかしな町の話だ。
何故か、台風の時は必ず父も家にいた。
仕事はどうしていたのだろう? 父はよく働きもしたが、自由な人だった。
その話は、また機会があれば書く。
大人になった成穂堂は少し違う。
5分おきに空を見上げるかわりに、ネットニュースで台風の状況を見ている。
酷い被害が起こらないよう、真剣に案じている。
僕が案じたところで何も変わらないが、それでも案じている。
台風の勢いが弱まり、被害がない事を願う。
みなさま、準備を怠りなくお過ごしください。
通勤せざるを得ない方は、道中十分にお気をつけください。