蚊にくわれる日々
やっと過ごしやすい季節になってきた。
・・・が、蚊の襲撃は終わらない。
店のすぐ近くにある池と用水路が発生源らしいのだが、
彼らは考えられない程の嗅覚?で、うちの店に飛び込んでくる。
ご近所さんも閉口しているが、うちは常時扉が開いている分、
彼らにとってはバリアフリーという事になる。
刺しさえしなければ、何日滞在して頂いても良いのだが、
彼らは物音も立てず人の肌に着陸する。
そして、あの痒さを残してなに食わぬ顔で暗闇に消えていく。
何かの弾みで、視野に入るか耳元を飛ばない限り、僕はその忍者のような行動に気がつかない。
店内の何箇所にも蚊取り線香を置き、体に虫除けスプレーを振るのだけど、
本当に効いているのか?と思う。
先日などは、まさに火をつけようとしていた蚊取り線香の缶の縁に蚊が止まった。
僕などは耳元でブーンという不快な羽音がすると、でたらめに手をバタバタとしてしまう。
そして、蚊を発見すると、盲滅法に手をパチン、パチン、パチンと叩き合わせる。
蚊だからといって、この叩き潰す行為が全く平気という訳ではない。
何処かしら申し訳ないという気持ちはあるが、あの不快な羽音や痒さを思うと、本能的に反応してしまう。
まっ、人の思考や行動は矛盾に満ちているという事だ。
ところで、うちのお得意さんの一人に絶対音感を持つ方がいらっしゃる。
ある時、そのお得意さんが「夏になるとラがうるさいやろ」と、仰る。
何の事かと聞くと、蚊の羽音だと。
彼らはラ〜〜〜と音をたてながら、襲撃してくるらしい。
「一箇所くらい、プツッと刺すのは許すわ。ほんでもあのラ〜〜〜はあかんわ。いっつもラだけやで。ちょっとは気の利いた音を出したらええのにな」と、半ば真顔で仰る。
僕はその言葉を聞いて、刺されるのは良いのか?気の良い人だと感心した。
何の本で読んだのか覚えていないが、ある高僧は、夏の夜、蚊帳の外に片腕を出して寝たのだとか。
世にはたいした人たちがいるものだ。
何の話をしているのか・・・
兎も角、夏の店内は最も避けたい場所の一つだという事だ。
もう少し気温が下がれば、店内も快適になる。
あと暫くの辛抱だ。