入山口のカギを預かる
店を半分閉めて、事務作業をしていたら
「Kenさん、おるかえ?」と少ししわがれた声が。紛れもなく師匠(元骨董商)の声だ。
随分いらっしゃらないなと思っていた所だったので、びっくりした。
師匠は「以前、話していた件やけどな、今日は合鍵を持ってきた」と。
師匠は、ここ堺から1時間強の所に広大な土地というか山を有している。
まわりは、キャンプ場として大そうな賑わいをみせている。
で「Kenさん、入山口のカギを渡しておくから、自由にお使い。杉や檜も分からんほど育っているで」と。
「師匠、なんぞ商売をしてもよろしおまっか」と言うと
「結構なことや。人生、楽しまんとあかん」と。
僕は師匠から仕事の厳しさと同時に、透きとおるような人の優しさを頂いた。
僕もいつかどこかで誰かに、それを手渡せるような人間になれるといいなと思う。