騙される脳 | レトロショップ成穂堂 (なるほどう)ケンの苦悩と爆笑の日々

騙される脳

この頃、三男がスパークリングワインという小洒落たものを飲んでいたりする。


ついこの間まで、バブバブと言いながら、ミルクを飲んでいた小僧が。・・・小しゃくな奴よ


・・・やつにワインの味など分かるまい(と言う僕も分からないが)


そこで、僕はある企てをした。


三男がリビングに居るのを確認して、


僕はこっそりファンタグレープを買いに出掛けた。


そして、三男の様子を確認し、かねてより用意してあったワインの空き瓶にそれをうつした。


間髪入れずに遠目にワインの瓶を掲げ「美味しいスパークリングワイン、飲ましたるわ」と、僕は三男ににこやかに言った。


三男は「おー、いいねぇ」などと上機嫌である。


グラスは、色が分かりにくいよう、青色のグラスを用意した。


僕は、徐にワイン瓶からファンタグレープを注いだ。


三男は、分かった風に香りをかぎ「なんか甘い香りやね」と。


・・・そりゃそうだろ、ファンタグレープなんだから





三男は慎重にグラスに口をつけ、一口飲んだ。


「どや?」と僕は笑いを堪えて言った。


「ちょっと甘口やけど、いけるね。美味いわ」と、三男。


「酔わん程度にしときや」と言って、僕は肩を震わせながら自室に戻った。


アメリカのある大学での実験だったと思うが、


50人だか100人だかの生徒に、パーティーを装いノンアルコールを飲ませた所、半数以上の生徒が酔ったそうだ。


何やらその理屈を言っていたと思うが、プラシーボ効果と同じなのだろう。


例えば、小麦粉を胃薬だと言って飲ませると、胃痛が治る事があるというやつだ。


今回の事でも、人の味覚なんて本当にいい加減なものだと思った。


三男には、後からファンタグレープのペットボトルを見せた。


三男は「えっ? うそっ! 全然分からんかった。酔いはしなかったけど、ワインやと思った」と。


良くも悪くも脳はごく簡単に騙されるという事なんだな。