雨の日の成穂堂
10/16、雨が降っている。
店にとっては嫌な雨だが、意外に雨の日も好きだったりする。
特に今日みたいに、初冬を感じるような日の雨は何ともよい。
町のざわめきは雨音にかき消され、バタバタとお客がやってくる事もない。
その上、買取り予約も入っていない。
こんな日、僕は僅か5分で店を開け、そそくさと事務所に引っ込む。
散らかし倒した店内には気付かないふりをする。
そして、一人ほくそ笑み温かい珈琲を淹れ、ネットで映画を観る。
仕事をする気などもうとうない。
「ゆっくり出来る時に、思い切りだらけておきなさい」
と囁く声がするのだ。
うちはしょっちゅう休業しているように見られるが、
実際には殆ど休むことなく仕事をしている。
買取り依頼は機を逃すと二度とやって来ない。
休みがどうのこうのと、悠長な事は言ってられないんだな。
これを書いている本日は店休だが、
昼過ぎに仕事用の携帯に買取り依頼が入っている。
お客宅に伺うか、店でお待ちするかを決める。
店休といってもそんな感じだ。
だから、こんな風に時間がたゆたうように流れていく日があってもよい、と一人納得している。
僕は何か大きな理念を抱いて店をしている訳でもない。
うちに来て下さった方の肩の力を少し抜いてあげる事が出来ればいいな、くらいの気持ちで店をしている。
人にはそれぞれ、分というものがあり、役目というものがある。
自分が持っている分というものは、どこかしら自分で分かっているものだ。
恐らく僕の役割はこの吹けば飛ぶようなちっぽけな店で、
少しばかりご近所さんのお手伝いする程度のものだろう。
アンティーク品の売買なんて、実に贅沢なものだと思う。
別に無くなった所で誰が困るような商売でもない。
何が導いたのか、僕はそんな世界に足を踏み入れてしまっている。
あまり書かなくなったが、本は今も扱い続けている。
これは、少しばかりお役に立っているかも知れない。
本は人が成長していく上で、なくてはならないものだ。
心の拠り所として、なくてはならないものだ。
アンティーク品と本、なかなか相性がよい・・・と、思う。
こうして店の様子は変われど、本の扱いをキッパリ止めようと思わないのも、
何かしら意味があるのだろう。
とりとめのない記事になった。
秋の夜長の寝言だ。