成穂堂がNaruhodoになる日 | レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々

成穂堂がNaruhodoになる日

おかしな事を企んでいる。

何を突拍子のないことを言い出すのかと思われるが、

海外に向けてアンティーク品を販売する準備をしている。

全くの思いつきということでもない。

うちは、時折アンティーク品や美術品を国内オークションにかける。

その落札者の多くは、転売業者と見受けられる。日本国名ではない方々だ。

彼らはそれを何処に転売するのか?

母国でシンジケートでも組んでいるのか?

それが、不思議でならなかった。

彼らにとって、アンティーク品は単に利益を生む品物なのだろうが、

僕にとっては利益を生むだけの品物ではない。

何らかの事情でコレクターさんから譲り受けたものだ。

納戸の片隅で埃を被らないように、新たなご主人を探したい。

作品というものは、それを愛でてくれる人の元にあるのが一番幸せだと思う。

同じならこの手で、新たなご主人に手渡すなり、送るなりしたい。

意識した事はないが、きっと僕の中にはその品物が嫁いでいく先を

この目で確かめたい、という拘りのよなものがあるのだろう。


ひょんな事から、転売業者は世界を相手にした巨大マーケットで、

落札品を捌く事があるようだと分かった。

日本のアンティーク品は質がよい。人気もある。

海外に需要があるものなら、それはそれでいいじゃないか。

国宝的価値のある品を海外に持ち出すわけでもないし。

で、僕は躊躇する事なく宣言した。

「そうなのか、それじゃ僕がそのマーケットに直接出品するわな」と。

という事で、先日来あちこち壁にぶち当たりながら、作業を進めている。

少し考えると分かる事なのだが、言語は英語。

そして、僕は英語なんてさっぱり分からない。

google翻訳を使いながら、勘でアカウント情報を入力したが、初日はエラーを起こし断念。

二日目、何とか最終画面まで辿り着いたが、アカウント承認には電話が必要になる。

google翻訳は使えない。ここは家内に頼るしかない。

と、逃げ出そうとする家内。追う僕。

一騒動があり、アカウント取得完了。

次に、決済口座の作成。

これも、海外法人だ。何かやだなと思ったが、案の定途中からおかしな事になってきた。

意味合いの分からない所が何ヵ所かある。

仕方なく、サボートセンターに電話を入れると

「Thank You、This is ・・・Jasmine・・・support・・・」みたいな事を言い出した。

思わず僕は「スミマセン。カケナオシマス」

と言って、目にも止まらぬ速さで受話器を置いた。

どうも、案内途中のプッシュボタンを押し損ねたらしい。ビックリした。

恐る恐る電話をかけ直し、慎重に案内通りボタンを押した。

今度は「サボートセンターTeresaがおうかがいします」と、受話器から実に流暢な日本語が聞こえた。

それから幾らかの問題を解決し、現在、書類の到着待ち。

今月中には全ての準備が整いそうだ。

一段落してホッとした所に、家内が

「出品した品が落札されたあとのやり取りはどうするの?」

と、核心を突いてきた。

「そんな事はわからん」と、狼狽しながら答える僕。

別に命のやり取りをする訳でもない。何とかなるだろう。

売れなければ撤退すればよい。売れれば、何としてでも取引の流れをつくってしまうわさ。

そんなに恐れることはない。

怖いのは始める前に怖じ気づいて、何もしない自分になってしまう事だ。