悩めるシックスティーン | レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々

悩めるシックスティーン

少年というには、少し大人びている。

青年というには、少し幼い。

心の持ち方もまだまだ危うげである。

16歳とはそういう年頃なのかも知れない。


昨夜、帰宅すると「ヘナヘナになっている子分がいるわよ」と、家内が言う。

パソコンの前に座るのを待つように、二男がやって来た。

二男は黙って二つ折りの紙を差し出した。

開いてみると、模擬試験の結果だった。

高校一年で、もう大学模試を受けるのかと、

試験結果よりそちらの方が驚きだった。

「どうした?」と、僕が聞くと

「余りにもひどいやろ」と、力なく二男が言った。

「なかなか大変やな」

しばらく沈黙があった。

「僕、クラブ辞めよかと思うねん」と、二男がぼそっと言った。

「追っつかんか」

「時間が足らんねん。

みんなクラブ辞めたかて成績あがらんでと言うけど、僕はそやないと思うねん」

「そうか」

「僕、あまり勉強向きの頭をしていないみたいやし、どうしても時間が足らんねん」

僕は頷いた。

「剣道は辞めたくないねん。

けど、クラブより今は勉強して、将来の選択の幅、広げるべきやと思うねん」

「二男よ、答えは出てんねんやろ」

二男は頷いた。

「そうか、じゃ勉強の方、頑張り」

「最初からクラブ、せんかったらよかった」

と、二男は神妙な顔で言った。

「それは違うぜ。やってみないと分からん事や」

「そうかな」

「そうや。クラブを続けながら希望の大学に進む人も沢山おるやろし、それが無理な人も沢山おる」

「そやな・・・」






将来の選択の幅を広げる為に、

今は勉学に励むというのは、それはそれでよいと思う。

一つの事をやり遂げるにはセンス×メソード×時間だと思う。

スポーツもそうだが、勉強にもセンスと言うものがある。

センスに乏しい人間は、残りの二つの数字を上げなくちゃ仕方ない。

容易い事ではない。

やり続けること。・・・努力とはそういう事だろう。

時間というのは物理的なものだ。

今の二男を見た場合、睡眠時間を削るには体力に問題がある。

自転車通学なので、参考書を開きながら通うという訳にもいかない。

クラブをやめるというのは、

剣道が好きな二男には苦渋の選択だと思う。

何かしらクラブ仲間との関係にも変化をもたらす。

それも辛い事だと思う。
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暫くして、僕は二男に言った。

「よく勉強しているのは知ってるよ」

「・・・」

「なあ二男よ、週一の稽古でも受け入れてくれる道場を探すか」

二男は、頷いた。


クラブを辞めるからといって剣道を辞める必要はない。

一分の隙もなく勉強したかと言って、それこそ効率が良いとは思えない。

要はその人その人に合ったバランスなのだ。


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