店を横切る不穏な影 | レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々

店を横切る不穏な影

「ワワッ~、ワワワワァ~~」

悲鳴とも雄叫びともつかぬ声が、

路上に吹く風と共に空に消えていった。

と思いきや黄色く大きな影が店横っ腹出入り口の前を横切った。

そのあとを、アワアワと走る女性が横切った。



家内である。



黄色の大きな影の正体は、

今しがた出来上がったばかりの看板だ。

プラパネで作ったので、指先でつまみ上げる事が出来るくらい軽い。

工具を忘れたので、

その間看板をしっかり壁に押し付けて頑張っておくように言ったばかりだ。

軽い分、ちょっとした風に煽られても

そのまま持って行かれるぞと、

念を押して工具を取りに走ったのだが・・・


・・・流石、家内。期待は裏切らない。


幸い車も人も通っておらず良かった。

いきなり、看板が潰れたかとも思ったが、こちらも無事だった。

看板は180×90cm程ある。

ちょっとした凧みたいなものだ。

風が吹けば桶屋が儲かると言うが、

風が吹いても本屋は儲からない。

このように看板が吹き飛び、余分な時間が掛かるだけだ。




うちの店は、昔の名残で一般向きの本に加えてコミックも多い。

ここ4、5年で店頭販売より通販に重きが置かれるようなり、

コミックは殆ど売れなくなった。

・・・正確には売らなくなった。

余りに単価が低く、プレミア品以外は割に合わないのだ。

徐々に扱いの中心が専門書になり、

供給が追い付かなくなってきた。

店頭(どう見ても倉庫だし、陳列も管理番号順だ)では、

ごく一般的な本が売れる。

そういった一般向きの本は、

店舗に持ち込まれたり、ブログをご覧頂いて送って頂ける。

非常に有難く嬉しい。大歓迎である。

問題は専門書だ。

これが、そうそう簡単には集まらない。

そもそも外から見ると、成穂堂はどうひっくり返っても、

専門書を扱っているようには見えない。

それどころか、得体の知れない倉庫にしか見えない。

何れにしてももう少し、

「吾輩ハ古本屋デアル」という事をアピールしようと思い、

手作り感一杯の看板を作ってみた。



$疾走する古本屋!成穂堂〔なるほどう〕店主の苦悩と爆笑の日々-看板



もたもたしている内に日が暮れ出すわ、風はさらに強まるわで、

看板をつけ終わる頃には、手がかじかんで思うように手先が動かない始末。

その間、家内は「アギャ~」とか「ダメダメ、脚立が揺れる~~」「ビスが飛んでいった」と、ずっとワメいている

兎も角、苦心惨憺つけた看板だ。

効果がないと哀しい。

しかし、この急激な冷え込みは何なのだ?

みなさん、風など召されなうように。