有栖川有栖-幻想怪談 | レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々

有栖川有栖-幻想怪談

話は数日溯る。

村上春樹氏の新刊を入手し損ねた。

きっとすんごい刷り部数だろうから、

地方の店にでもそこそこ配本があるだろうと、高をくくっていた。


「1冊置いておいておくれ」と知人の店に連絡を入れると

「すずめの涙ほどしか、入荷しなかったですよ。もう売っちゃった」との事。

いかんと思い、他の知人の店に様子を聞くと、

ここでもあまりにも入荷部数が少なく、

あっという間に品切れたという。

いかん、ど~もいかん、と焦りだした所に

かつての職場の後輩から

「あはははは・・・、村上春樹、面白いように売れていく・・・」

と、なんともお気楽なLINEが入った。

「ちょっと待て!1冊送ってくれ~」とメッセージを送ったが

うんともすんとも返事が無い。

電話をするのも大人気ない。苦悩は続く。

僕はたまりかねてAmazonを見に行ったが、

すでに売り切れており、次回入荷は4/17となっている。

これはますますいけない。

そうだ、今日は長男が本屋へバイトに行っているはずだ。

できれば、手でPCを操作、

足でスマホを操作したかったが、

それはなかなか至難の業だ。

兎も角、僕は長男にLINEを送った.

やはり、色好い返事はなかった。

その上、仕事が終わった頃に

後輩から連絡が入った、

「あはは・・・、売り切れ~」


僕は頭のてっぺんから足の爪先までがっくりして帰宅した。

ヘナヘナのままパソコンデスクに向かうと、

そんな気持ちを払拭するような郵便物があった。

発送元は「メディアファクトリー ダ・ヴィンチ編集部」

僕は瞬間に興味の対象が変わる幼子のように、

封筒を開封し、その中身を凝視した。

こちらは『幻坂』有栖川有栖氏の新刊本だ。

毎度の如く内容には触れない。タイトルから推察くだされ。。。


$疾走する古本屋!成穂堂〔なるほどう〕店主の苦悩と爆笑の日々-有栖川本



ページの間に1枚の案内が挟まれていたが、

差出人をみておかしな肩書きもあるものだと感心した。

怪談文芸編集長○○とある。

ものすごく狭いカテゴリーを扱っているのだろうか?なかなかすごい。

で、「何かありましたらご遠慮なくご連絡お願い致します」とあったので、

ご連絡したいな~なんて思う。

「あのねえ、ちょっと凄いじゃないかというプロットを思いついたのだよ。

使ってみない?ねえねえ・・・」なんて。

以前、アリスさんは、「誰だって作家にはなれますよ。KENさんだって」と、

目を大きく見開いてチシャ猫のような表情で言ってらした。

会話をとても楽しんでいる時の表情だ。

確かに今は、様々な所で発表の機会はあるだろうし、

肩書きに「作家」とつければ「作家KEN」の出来あがりだ。

ただ、商業作家となるとそうはいかない。

売れ続ける作家になるのは、

ほんの一握り、いやそれ以下のごくごく稀なケースだ。

それは努力だけではなく、類まれな才能というものもあるのじゃないかと思う。

例えば僕は、ある企業さんからの依頼で、

400字詰めの原稿を2回ほど渡した事があるだけだ。

謂わば、作文だ。

凡人とはそんなものだ。

こうして今も、多くのファンを惹きつける向こうには、

闇を掻き分けるような苦悩があるのだろうか?

そうして、道を拓いた者だけが『本物』になるのだろうか?


僕の場合、いくら進めど道は拓けず、その後ろにも道はない。

なんということだ。

成穂堂よ、その腰に差したものは竹光か!