霧の中の成穂堂 | レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々

霧の中の成穂堂

先日の朝、霧が降りたらしい。

ドライアイスを町中に撒き散らし

すっぽりとドームで覆ったように濃い霧だったようだ。

らしいというのは、その時間、僕は爆睡していた。

僕は10時頃ご機嫌で目を覚まし、

メールチェックをしながら遅い朝食をとった。

そして、冬にしては暖かい日差しの中、お気楽に駅前に向かった。

駅前には小さな新刊本屋があり、

店頭のワゴンでは無造作に古本が売られている。

この本屋が扱う古本は、某大手古本屋にはないようなものが多い。

どうしても吸い寄せられるように足がこの本屋に向く。

こんなこじんまりとした店でも「せどり」を行っている方をチラホラ見かける。

「せどり」というのは、一昔前は相当な知識を持つ人だけがなし得た業だ。

その真似事が出来るくらいの知識がほしいが、

今はそのやり方も本の価値も違う。僕には、凡そ無理だ。

と言いつつ、何冊かの本を購入し自宅に戻った。

そのまま、読書に突っ込みたいところだが、通販用の画像を撮らねばならない。

それなりに仕事をしていると、三々五々家族が帰宅しだし、

その度に朝方の濃霧の話を「すごかってんで~」などと、し出すのだ。

4,5mも視界がなかったというのだから、

子どもにとっては、怖くもあり面白くもある摩訶不思議な現象だったのだろう。

家族が持ち寄った情報によると、

霧はどうもかなり狭く限定された地域に降りたらしい。

鳥瞰的にみる事ができたら、面白かっただろうに。

兎に角、忽然と異世界が現れたのだ。

霧の中から人が現れ、いずこへともなく消えていく。

自分のすぐ隣には、異形の生物が闊歩している可能性だってある。

マントを翻し怪盗ルパンが足音もなく走り去ったかも知れない。

或いは、頭上には翼竜が飛んでいたかも知れない。

いやあ、どうして起こしてくれなかったのか。

しかも、その幻想的な光景に魅入られて、だれも画像を撮っていないという。

20年近くこの町に住んでいるが、そんな濃霧が降りたのは初めてだ。

前回の記事ではないが、隔絶された世界はまわりとは違った時が流れている。

僕はただただその中で、平和な惰眠を貪っていた。

うちの店というか倉庫は、外気温も倉庫内温度も殆ど同じだ。

店にある3箇所の大きな扉を全開にすると霧の中の本屋になっていたのだろうか。

ああ~、幻想的な本屋、みてみたかった。

いや、湿気がやばいか・・・




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