ミステリーはすぐそこに | レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々

ミステリーはすぐそこに

多少なりとも健康の為にと、

店にはなるべく自転車で通う事にしている。

自宅から店に向かう途中、

1Km程大きくゆったりとした道路を走る。

この町で、一番最後についた道路だ。

全長3㎞もあるかどうかといったもので、

大きく弧を描いて駅前を通過している。

その両端は、旧道の狭苦しい道路に

遮断されるような格好で終わっている。

恐らく、その先にも道路を新造するつもりなのだろうが、

造ったところで、何が便利になるという事もない。

このような田舎町で、渋滞なんてこともない。

この道路は駅前開発につき、

大型工事車両を通す為だという噂が

真しやかに流れたが、それも怪しい。

道路新造の為、多くの民家や田畑が売却されだが、

実際、便利になったのは、

この道路付近に住む住人くらいではなかろうか。

その陰で笑ったのは誰だ!なんて事を考えると、

一端の企業小説になったりして。



暑い盛りは、風景を見る余裕もなかったのだか、

昨日、この道路から結構きれいに山が見える事に気がついた。

僕は自転車を降り写真を撮る事にした。

流石に車道にでると危ないだろうと思ったのだが、

遥か彼方に、車が一台と、

なぜかその後ろに自転車らしきものが一台

信号待ちをしているだけだった。

昼間だというのに人の姿がない。

勿論、後方から車がくる気配もない。


肉眼では、青々した山がみえるのだが、思い切り曇って見えるなあ・・・しかし、静かだ
$疾走する古本屋!成穂堂〔なるほどう〕店主の苦悩と爆笑の日々-道路昼


平日は登下校に使われている道路なので、

その間は、子供と保護者、見守りのボランティアで賑わうのだが、

それが終わると嘘のように人通りも途絶えるのか。

今まで、気にしたこともなかったが、

ここまで、人気のないことがあっただろうか?

夜はどうなのなろうと思い、

仕事帰りは、探偵の如く事細やかに観察しながら、ゆっくり自転車を進めた。


まるで寝静まった町という感じだ
$疾走する古本屋!成穂堂〔なるほどう〕店主の苦悩と爆笑の日々-道路夜



19時あたりなのに、真夜中のようにひっそりとしている。

ひとっこ一人歩いていない。

暫く自転車を走らせた所で、

ウォーキングをする初老のご夫妻らしき一組とすれ違った。

僕は間もなく、このゆったりとした道路から脇道へ入らなくてはならない。

結局、人の姿を見たのはそのお二人だけ。

駅前につながる道路としては、町中で一番大きなはずなのに、

何だか、ミステリアスじゃないか。

僕はなんだが、奇妙な感覚に陥った。


そういえば、今日の店はウソのように暇だった。

やはり、町から人が消えたようだった。


これは夢か幻か、はたまた現実か?

僕は気を取り直して、馴染みのコンビニに向かった。

コンビニは数百メートル南側を走る旧道にある。

途中、やはり人気はない。

そして、旧道に出るや否や、途切れることなく車が走っていた。

勿論、多くはないが人通りもある。

そこにはいつもの街があった。

コンビニのご主人も、いつものようににこやかに話しかけてくる。

先ほどまでの光景は現実だったのだろうか?

僕はひょっとして、時間の狭間にでも迷い込んでいたのだろうか。


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