もうバテバテで何もできない | レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々

もうバテバテで何もできない

本の買取りに行ってきた。



もうバテバテ。もう・・・う・ご・け・な・い・・・







伺う前に電話を入れると上品な感じの女性が電話口に出られた。



いざ出発という事で住宅地図で所在地を確かめた。



ゆったりとした敷地に挟まれるように長細い敷地があった。



家内に「このお宅。ここやんな。名前、間違いないよな」と、念のために確かめた。



「う~ん。住所も名前もあっている。細長いお宅やね。家の前に車、置けないんと違う?」と家内。



ん~、確かに。まっ、何とかなるわな。という事で、依頼主のお宅に向かった。



店から車で10分もかからないはず。







地図では幼稚園正門前を通過して、次の角の家の隣り。



確かに幼稚園があった。



「角の家ってこれか」僕は思わず口に出した。



でかい石垣がこれでもか、というくらい続いている。



その隣りの家が目的のお宅。



でも細長いであろう家はない。



とても分かり易い所なのに、筋を間違えたか?と思って、門扉の表札を確かめた。



「いや、合ってるな」と、つぶやく僕。



家前は充分な広さ。余裕で車数台は横付けにできる。



車から降りて、その隣りをみると、生垣がずっと続いている。



一軒一軒がどでかい。



地図上でみると、細長く窮屈そうだけど、実際はとてつもなく奥深いだけ。



そうか、ここらあたりは、有数の邸宅街。区画の大きさが違うんや。



よくよく考えると、幼稚園の敷地と比べてみれば、察しはつく。







インターホンを数回押したが、誰も出てこない。



仕方なく、電話を入れた。



先ほどの、上品な声の女性がでて、「申し訳ありません。今、門を開けます」と。



少しすると、門扉が開いて、そのお宅のお嬢さんらしき人が出てきた。



「わざわざ来て頂いて済みません。こちらです」ということで中に入れて頂いた。



石畳が続いていて、門から数十メートル向うに家が見えた。



何だか知らないけど、大きな木が植えられている。





これは前庭なのか?ここだけで、そこそこの家が何軒建つのだろう?



しかし、台車が使えんな。この距離を行ったり来たりせんならんのか?



しかも、段差がある。






何往復かで、へべれけのおっさんのような格好で歩く自分がまざまざとみえる。





ぞっとする。







商品は、すでに玄関口に積み上げられていて、すぐにでも箱詰めできる状態だった。



「本なので、捨てづらいのです。よかったら、使って頂けますか」という依頼人の言葉。



僕は「はい。じゃあ、査定させて頂きます」と、言った。



「お金はいいのです。必要な所へもらわれていくのが一番だと思うのです」と、依頼主。



「それは、申し訳ないので、幾らかでも代金を置いて行きます」と、僕。


いくらかのやりとりがあり、心ばかりの代金をお支払いし商品を頂いた。



そういえば、電話の際も「引き取って頂ければ助かります」とおっしゃっていた。そういう事だったのか。



かなり、失礼だったかも知れないけど、僕にも、商人としてのケジメがある。







この近辺はちょくちょく買取りに来るけど、個性的な家が多く、通り過ぎるだけでも楽しい。



出張買取りといえば、伺ったお宅で飲み物を出して頂く事も珍しくない。



毎回、有難く頂く。特に夏場は有難い。



そういったちょっとした気遣いを受けると、とても心が和むし嬉しい。





本当は店と客ではなく、個と個のつながりが大切なのですよね。



同じように、みんな暑さを感じ、寒さを感じ、痛みを感じる人なのですよね。



あの店の雰囲気が好きだとか嫌いだとかいうのは、



その人なりに店を構成するスタッフの人柄を機敏に感じとっているのだろうと思う。





店づくりというのは、自分の仕事観がもろにでるし、仕事観は人生観でもあると僕は思う。





多少なりとも、人にも社会にも心ある人間でありたい。