怒涛のような一日だった | レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々

怒涛のような一日だった

僕の店は倉庫を利用したもの。

元々、店売りはしないつもりだったので、空調設備が事務所にしかない。


所謂、店内と呼ばれる場所は、申し訳程度に扇風機があるだけで非常に暑い。


仕事の中心は本の通販なので、レジ精算のお客に呼ばれる時以外は、


殆ど事務所内で受注から梱包までの作業をしている。


さすがに受注品は店内にあるので、気合を入れて一気にピッキングする。


この時だけは、汗だくで頑張ってまっせ、という感じになる。


お客も暑さで思考がにぶっており、時折、とんでもない商品が売れる。

きっと、クーラーのガンガンきいた自宅に戻って我に返り「なんでやね~ん」と、言っているんだろうな。


ところで、日々、夕方遅くにクロネコさんが集荷に来てくれる。


クロネコさんも、この暑い店内で集荷作業をすることになる。



今日も「毎度、宅急便で~す。集荷で~す。しかし、蒸し暑いですなあ」と言って、ドライバーさんが入ってきた。



うちのスタッフが「お願いしま~す」と、爽やかにご挨拶。


間髪いれず「いつも暑い所ですみません。ご苦労様です。アイスコーヒー、飲みます?飲みますよね」


と言って、アイスコーヒーをガラスコップに入れて渡した。


氷がガラスコップにぶつかる音がなんとも冷たさをかもし出す。



「有難うございます。じゃ、折角ですからいただきます」と、ドライバーさん。


ここまでは首尾は上々。


ドライバーさんは出荷用のバケットを覗き込んで、首をかしげた。



そして鼻で「ふん」と笑い、おもむろにスキャナーを取り出した。



で、伝票番号をスキャンしながら「こんなに少ないはずないわな」とボソボソと言った。





やっぱり、ばれたか・・・





そう、スタッフの笑顔にはそれなりの理由がある。


今日は、ゆうパック出荷の作業が遅れて、クロネコさん向けの出荷準備にも影響を及ぼしていた。



ドライバーさんに背を向けた格好で、家内が必死で梱包作業の仕上げをしている。



僕も、同様、背を向けて、パソコンプリンターから排出された「B2」と呼ばれる出荷ラベルを勢いに任せて貼り付けていた。


昨夜頂いた受注品を、何とか今日の便に乗せたい。


僕の店は受注から出荷までが早い。除菌クリーニングを欠かさない。小口は機械処理する。


防水梱包。などなど、「いつもニコニコ親切丁寧素早い対応」をモットーにしてる。



先ほどのスタッフが、出荷ラベルの貼られた商品を、「いつもニコニコ親切丁寧素早い対応」と唱えながら出荷用バケットに詰め込んでいく。



この社是みたいなものを全員で唱和するというところが、なんとも物悲しく、ドライバーさんの仏心を妙に揺さぶる。

そしてパンパンに詰まった2杯目のバケットをドライバーさんに、「お願いしま~す」と、手渡した。



ドライバーさんは「やっぱりな。こんなんで帰れるはずないと思ってん」と。



僕はドライバーさんに「ちょっと、事務所で涼んでいったら。オレンジジュース飲む?」と、手招いた。

ドライバーさんは、プルプルと首を横にふり、「もうあきまへんで。もう騙されませんで。これ以上、ここで時間を潰すわけにはいきません」と。


あかんか。もう少し、出荷したろと思ったけど、今日はこれくらいにしといたろ。


ここは、長閑な田舎町。道行く人や商店、はたまた宅急便のドライバーさんなど、顔見知りののかたまり。

みんな「まあまあ、てきとうーにやりましょうや」ということで成り立っている。



それにしても、忙しかった。兎も角、休憩しよや。という事で、しばし、菓子やジュースで一息。


今日もそろそろ閉店時間の18時。


恐ろしく閉店時間の早い店だけど、閉店してからが、第2ラウンド。


通販の為の、出品作業やオークションへの出品作業が待っている。


外から見ると、開店時間は遅いわ、閉店時間は早いわで、なんとものんびりした店に映っているだろうけど、本当は恐ろしく労働時間が長い。


まあいいや。明るい明日を夢見て、頑張ろう~~!!


今日のオールディーズ・バット・グッディーズ
Ben E King - Stand By Me