夏越の大祓の向こうには梅雨雲が列島をつつみ、九州では被害が出たときく。いまこれを読んでいるあなたは、きっと一週間後のあなただ。理由はシンプルに更新を一週間後にしたから。
動物も言語を持っているが、動物と人間の言語の違いは、その情報量と時空の超越性であるというようなことを読んだ覚えがある。すなわち文字だ。文字の魔術的な力、それは5千年前の色恋に離婚裁判、家計簿から商取引、占いから王の詔勅、行政文書までもを今に伝える。楔形文字を習って、驚いた。ただし文字と発音、文法というのは、だいたい8千年ほどで完全に入れ替わるという説もある。
たしかに英語のAがもともとは牛を模した∀のような記号であり、時代と地域によっては左右に傾き、ときに回転したことは有名な話だ。フェニキア文字からヘブライ語アルファベットなどを確認していくと確かにそうだと思う。文字は人間を歴史に代える、または還す。動物と人間の言語の違いは、そういうところにある。ネットで読んだが、あれは何だったか。未だどのページだったか思い出せないでいる。
帰国し、一生やろうと思っていた仕事について一年、ある程度の成果と満足を得てしまい、同時に対人能力、組織とのコミュニケーション能力に難があるということも気付いたのもあって、僕は迷っていた。翌2014年の春、いよいよ不可逆の一歩を踏み出して、生涯の職場と決めた場所を辞して、沖縄にて一ヶ月逗留したのち、京都へと引っ越したのであった。
沖縄では、友人に会った。彼が関西に観光にきた際は、Kntr氏が通いに通った御屋敷へ沖縄の友人を案内した。珈琲を凍らせてミルクで溶かして飲むやつが美味しくて、友人は気に入っていた。案内人がいなければメイドカフェに来ることなどないから、本当に良かったと言ってくれた。あのとき給仕してくれたメイドさんがどなたかはもう覚えていない。しかし、友人と僕の邂逅の場に仕えてくれたのは彼女であり、彼女らであった。
そして一年が過ぎた。現在の所属先との関係が確立した春、そんな最中、ふと思い出したようにKntr氏が、新しく御屋敷を開館したと風の便りで聞いたのだった。GWも開けた頃、遠来よりの友人を連れて、僕はKntr氏が総支配人を務める御屋敷へと遅まきながらお邪魔するに至ったのである。2015年5月8日のことだった。