涙とスコーン
終わりが分かっているのにはじめてしまう。
間近に別れが迫っているのを知りながらも、好きになってしまう。
あれは確か夏の日のこと。
パスポートの申請場で、隣に座っていたのがアイツだった。
アイツはそのパスポートを持って、半年後にイギリスへ行くことが決まっていた。行ったら3年は戻ってこない。
はじめて、アイツが家に来たのは、出会った日の2週間後。蝉がミンミン鳴いていた。
私はその頃、パン教室に通っていて、習ったばかりのスコーンを焼いた。
「これ何?」
「えっ、知らないの?スコーン。イギリスでは、良く食べるらしいよ」
「サクサクして、おいしいね。半年後には本場で食べられるんだよな~」
そんな会話をしながら、スコーンを食べ、ワインを飲み、気がつけば、私たちは恋に落ちていた。
3つ目のスコーンに伸ばした手が触れ合い、
「次は君を食べちゃおう」
とか言って、アイツは私を押し倒した。
あの晩私たちは、どこまでが私で、どこからがアイツか分からなくなるほど、激しく求めあった。
それから、私たちはいつも一緒にいた。
限られた時間、いつもいつも同じ空気を吸って、身体を合わせていた。
私はアイツのために、毎日スコーンを焼き続けた。
蝉の声が聞こえなくなった頃、私のスコーンの腕前は、プロ級になっていた。
ある日、いつものようにスコーンを焼いていると、アイツが家に戻ってきた。
「来週、イギリスに行くことになった」
「えっ?だってまだ10月だよ。何で?」
「前任の田中さんが、倒れたんだって。だから、急きょ俺が、来週には行くことになった」
「そんな…。お正月には戻れる?」
「ううん。行ったら3年は戻れない」
「・・・」
「最後の晩餐だね」
私たちは、いつものように、スコーンをつまみに、ワインを飲み始めた。
分かっていたことなのに、アイツはいなくなってしまう。
私のスコーンを食べてくれる人がいなくなる。
鼻をすすりながら、ワインを飲んだ。
「スコーン、上手になったよな。俺さ、イギリス行ったら、スコーン見るたびお前のこと思い出しちゃうよ」
私はうつむきながら無言でスコーンを食べた。
アイツの顔が歪んで見える。
「待っていてくれるかな?」
「…。」
私は何も答えられないまま、スコーンを食べ続けた。
そしてアイツも、隣で、何も言わずに黙々とスコーンを食べ続けた。
その晩のスコーンは、いつもと同じなのに、なぜか、塩辛い味がした。
あれから、3年。。。
中目黒にあるレストラン「パンピーユ 」
こちらの女性シェフのメーさんのお誕生日パーティー、なのにご自分で料理をしてふるまってくれる会。
という素敵な企画がありました。
私はこちらのお店は初訪問。スコーンが有名らしい。
ということで、「パンピーユ」スコーンのお味を最大限にイメージを膨らませてみたのが最初のお話。
最後の晩餐に二人で食べたちょっぴり塩味の「スコーン」。
涙を流しながら食べたぐらいの塩味が効いていて、スコーンなのに、おつまみにピッタリ。
サングリアを片手に、パクパク食べました。これはヤバい。美味しいです。ワインに合います。
パンのマリネ:フランスパンをマリネ液に浸すってありですか???美味しすぎですよ。
ひき肉の煮込み卵とパクチー添え:トロトロ卵を絡めて食べるとこりゃまたウマい。
ブロッコリーとガーリックのオイル煮込み:ガーリックはホクホクで栗かジャガイモかと思うほど。
私はこのブロッコリーにはまりました。もっと食べたーい!
ガンボ:鶏肉とオクラの煮込み。アフリカ料理らしい。結構辛い。グリーンカレー:ウワサ通り、かなりのピリ辛。オムレツ乗せも食べてみたいよ~。
肉といえば
このお方。
暗がりで、わんこと戯れるオニオンさん。
オニオンさん、woodsさん、ミコロさん、遊香さん、次男君、コマさん
とご一緒しました。
知り合いがどんどん増えていきます。ブログってすごいです。
とっても美味しく、楽しい時間でした。
夏生まれに幸あれ。





