よくスポーツでイメージトレーニングって聞きますが、今回は武術等を練習する時のイメージトレーニングについて書きます。
ある程度、クラスに通って動きの基本や型を習い始めると、どうしても「自分はまだまだ」とか「これで正しいんだろうか」といった疑問が出てきます。これは正しい考え方だとは思うんですが、あまり過度に動作の正確さを意識すると、折角頑張っているのに「自分はきちんと出来ていない」という感覚に陥ってしまう事があります。
僕だけでは無いと思いますが、不思議なもので、自分に自信がないと技や動きに力や意念が入りにくくなります。
でも正直、これって勿体ないですよね。
最近、自分が学んでいる武術(詠春拳)をユーチューブで他の人がやっているのを見ますが、いわゆる名人と言われている人を除けば、全てを完璧にこなせている人は少ないと思います。
丁度、ジャズのライブでジャムセッションの後で、演奏者が「さっき、ちょっと演奏に遅れてゴメン」とか「キーを間違えちゃった」とか言っているのを聞いたて、観客が「え、ぜんぜん気付かなかったよ」と言うのに似ているのではないでしょうか。人間が完璧に何かをこなすのは現実的には無理だと思います。
音楽のプロでもミスをする事がある訳で、武術や格闘技のプロがミスをしないというのは無理ではないでしょうか。僕の詠春拳の大先輩ですら、「理屈は分かっているんだけど、使いこなせない」という技や動きがあると言われた事があります。(当然、僕も出来ないことが沢山あります)
まずは全体像をつかみ、お手本となる動きを真似る。その上で、細かい事は先生や先輩に指摘してもらえば良いです。「お手本通りにやって、それを先生に修正してもらうと上達する」と言うと当たり前だといわれそうですが、自分がお手本となる動きを「きちんと」理解できていなければ、そもそも間違った動きをする事に繋がります。
ですから、最初はお手本となる動きを「徹底的」に「頭に焼き付ける」事が早く上達するコツだと思います。
先生や先輩の動きを自分なりに理解し、それを体現するように意識する事。そして体現しようとする時には「頭のてっぺんからつま先そして指先」まで自分の意識を行きわたらせながら、自分が達人になったように自信を持って行う事です。
そうすれば、徐々に意識しなくとも自分の動きが正しいかがどうかをミュージシャンが自分の演奏ミスに気付くように自分で気付くようになりますし、身体操作のコツも自身の上達とともに分かるようになります。
人間ですから完璧である事は不可能だと僕は思います。であれば、ミスをしない事が大切ではなく、ミスを気付ける事が重要かと。
そして、自分でミスの理由がわかればそれでOK、何となく違うといった自分では分からない事を先生や先輩に質問するのが重要です。
武術に限らず、全てのスポーツで誰しも上達する課程では悩みながら成長していきますよね。だから、頑張っている人から真剣に質問されれば、真剣に教えたくなります。(少なくとも僕はそうです) そしてそれが、先生や先輩との良い関係やご縁に繋がっていくと思います。
この繰り返しで確実に限られた練習時間であっても上達すると僕は考えています。
とにかく「継続は力なり」です。
ただし、自分から自分の細かいミスを「あら探し」せずに、自分の動きに自信を持つ事も大切です。(若干、矛盾するようですが)
お手本となる人の動きを頭に焼き付ける。そして、それを自分がキチンと出来ている事をイメージしながら、繰り返し練習する。
僕が師父と師兄によく言われたのは、「自分がイップ・マンになったつもりで練習しろ」です(笑)
つまり自分が達人になった事をイメージしながら、自信を持って練習する。
例えばキックなら、蹴るときにイップ・マンが蹴っているようにリラックスしながら、基本の立ち方を崩さないように行う。(後日、書きますが詠春拳の最初の型(小念頭)には蹴り技はありませんが、小念頭がキチンと出来れば蹴りも上達します)
自分のしている事をまずは自分で認め、改善していくという考え方が良いでしょう。
さて、このご時世、対人練習が出来ない方もいるかと思いますので、それをカバーする為に僕がしている事を書きます。
それは非常にシンプルで「練習相手が目の前にいるつもりで、チーサオ(詠春拳のスパーリング)をする」です。 まあ、シャドウボクシングのような感じですが、大事なのは実際に相手の突きや蹴り、そしてディフェンスを実際に相手に触れている意識を持ちながら動くようにする。
この事については知人にアドバイスを頂いたのですが、実際に相手と触れている意識を強く持って続けると、じきに相手の反応や反撃を受けているような感覚になるそうです。
まだ、その域には達していませんが、徐々に相手の手足や体のポジションがイメージできるようになってきました。
思い込みです。他の人の目から見れば「変な人」ですが、いいじゃないですか上達できるなら。
自分のクラスに行く時間や機会が少なくなった、もしくは無くなった。
そんな状況に何らかの習い事や武術をしている世界中の人たちが今、置かれています。
それはそれで、練習する機会が減る事に繋がる事は間違いありませんが、自分自身を見つめ直す機会が増えたと思えば、良いと思います。 それに自分自身が学んでいる事を別のアングルから上達する方法を見つけるのに役立つのではないでしょうか。
ガムシャラに練習するのは時には必要です。
でも、僕は今は自分と向き合う時期と思って一人練習を続けています。
それと無理は禁物です、怪我すると今できる事も出来なくなりますから。
大変な時期ですが、皆様もお体にお気をつけて。
ともに頑張りましょう!