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主な登場人物
パニ子
子無し職無し５０代の主婦
昨年末、母の在宅介護を卒業
パニ子の母プー子
認知症歴11年・要介護4の８０代
現在ケアハウスに入居中
最近のコロナウイルス感染拡大のため
ケアハウスへの訪問は控えており
10日ほど前の出来事を振り返ります
前回、母と嚥下体操をする際、
”一年長く生きられる言葉”なんて
嘘ついてましたが
またしても、私嘘つきました
ケアハウスへ車で向かう途中
母がベッドの横で尻もちをついた状態
で発見されたとの電話が入り
もしや転倒？と慌てて駆けつけると
母に怪我は無い様子で一安心
ベッド横の床に敷かれた
センサーマットのつけ忘れから発見が
遅れた様子
ケアハウス側は再発防止策として、
これまでのマットではなくベッドの端、
シーツの下に挟むタイプのセンサーを
設置して下さいました
これが優れものでセンサーを解除して
も自動的にまたスイッチが入るそう
これならばパーソナルエラーも防止
できます
さらにベッドの脇にはこのような
衝撃吸収マットまでご用意下さり
厚みもあり、もし母がベッドから
転げ落ちても怪我を防げるかと
恐悦至極なのでした
そのあくる日のこと
ケアハウスの居室で母
家に帰ります 連発
帰らないとお父さんに怒られるのよ
帰宅願望MAX
お父さんには、さっき電話したよ
怒ってないから大丈夫
←当然嘘
私はいつものセリフでなだめるも
※父は３年前に他界
家に帰らないと～
その日は全く効き目がなく
どうしたものか、なんて思って
いると
と、いきなりバッと車イスから
立ち上がった母
！！
わ～っ倒れたら大変！
すぐさま私は母に駆け寄りパンツの
ウエストゴム部分を後ろからガシッと
掴み・・・
あれ？
いつもなら立つのがやっとで、また
すぐにしゃがみ込むはずが
この日の母は直立不動
しっかりと立っています
するとその時、またしても閃きが
この衝撃吸収マットの上なら安全では？
万が一転んだとしても大事には至らない
はず・・・・
これなら、いけるかも？
じゃあ帰ろうか
家はあっちよ
←勿論嘘
私が指差すと・・・・
母はそちらの方向へゆっくり
ベッドの柵をつたいながら２歩3歩と
あ、歩けた！
マットの端まで到達すれば、今度は
反対方向を指差し、またしても
家はあっち
←またしても嘘
すると、またしても同じように母
柵をつたいながら歩き
これを2往復もすると私は
号泣
だって母、立つのがやっと
だったんですよ
もう一生歩けない？
なんて半ば諦めていたのに、
ほんの数歩だけど、
ちゃんと歩けたんです！
そりゃ、泣きますよ～
う～っと母のパンツを掴みながら
泣く私を尻目に
何なの？静かにして！
なんて言う母
見れば足がプルプル震えだし
慌ててベッドに座らせ
そのまま横に
またしても母疲れ切ったのかすぐに
ZZZ
スパルタの嘘つき娘に、いつも母は
疲労困憊です
母が歩けたのは、勿論嬉しかった
のですが
家に帰りたい
その母の気持ちの強さを利用
した訳で
あの家は既に人の手に
もう帰れないのに・・・
なんだか複雑な気持ちになった
のでした
本日も最後までお読み下さり
ありがとうございました
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