始まりはダイエットだった。

ダイエットに成功したら、隣のクラスの気になっている男の子に告白してみたいと思った。

ずっと太っていることがコンプレックスで、自分のような体型の女が人を好きになってはいけないような気がしたし、そんなみっともない女の子に告白されるなんて相手も恥ずかしいだろう、それでは申し訳ないと思ったから。

17歳の3月。もうすぐ高校3年生になる年だった。

52kgあった体重が、ひと月で2キロ落ちた。毎週きっちり500gずつ減った。飛び上がるほど嬉しかった。ずっと着てみたいと思っていた、体のラインが出る、ぴったりしたカットソーとミニスカートを買った。それもそれまでは膨張して見えるからと避けていた、淡いラベンダー色。

家で何度も鏡の前で着てみた。

 

「肌の色が白いからそういう色似合う」とか、「痩せたね」とか。


今でもあの服のことは覚えてる。

 

嬉しくてもっと頑張ろうと思った。もうその頃には、告白はどうでもいいことになっていた。

受験勉強をする年だったが、変わらずダイエットは続けた。食事の内容とカロリーをノートに付け、ダンベルでトレーニングをし、時間があればウォーキングをした。そういったことがルーティンになっていた。そして、余計なカロリーをとったり、摂取したカロリーを消費しないことがだんだん、そしてどんどん怖くなっていった。外を歩き回るのは勉強の合間の気分転換という口実があったし、どんどん痩せていくのも受験勉強のストレスだということができたのが好都合だった。そのうち、昼休みは勉強するから、と言って、母親のお弁当を断った。昼休みに図書館で勉強する、というのがかっこいい気がしたし、何より一食抜くだけで楽に大幅なカロリーカットができる。

どんどん体重は減っていった。生理は最初の1ヶ月で止まってしまっていた。

受験期、最優先事項はダイエット。落ちた体重を増やさないようにすること、食事で摂取するカロリーを記録し、管理すること。結果どんどん体重は減り、食事を取ることが恐怖になっていった。

なんかおかしいな。と、自分でも思い始めたときにはもう後戻りできない。消費カロリーを減らすことも摂取カロリーを増やすことも怖くてできない。頭の中は食べ物のことでいっぱい。