おもしろいなあ。直木賞と山本周五郎賞を取ってるのか。江戸時代。父親の仇討ちのために旅をする少年武士の菊之助が芝居小屋にしばらく滞在する。そして、ついに仇が現れ、立派に仇討ちを果たす。相手のちしぶきを受けながらも首級をとり、高々と持ち上げる。血なまぐさいけど、めでたしめでたし。その一件を若い旅の武士が芝居小屋の何人かの人たちに詳しく話を聞く。それが章となってる。一人語りで進むエピソードはどれも人情あって、やっぱ時代ものはどこか温かいなあとうっとりしちゃう。章が進むと、自然仇討ちの全体像が見えてくる。みんな、本当にいい人だな。菊之助の気持ちを理解し、そして彼を正しい道に向けてあげる。こういう組み立て方もよいな。なにより読者に優しい。最後に実はってのもありだけど、そんなインパクトよりも、どんどん嬉しくなっていく気持ちのほうを優先してくれた。これでよいと思う。人の生死が今ほど保証されない時代だからこそ、人情に厚いのかなあ。他の作品も読もっと。
この本、タイトルが粋だろ。