24/03/24 栗田有起 卵町 | ptureのブログ

タイトルから、なんか優しい系の小説かと思ったけどちょっと違った。母親から死に際に、自分の死をシイナという人に伝えてほしい。昔卵町で一緒に働いていたという。そして娘のサナは卵町でシイナの足取りを探すという物語。ホスピスのための町。患者のプライバシーのためにこの町では個人情報に触れることを聞いてはいけない。昼も夜もほぼ町には人がいない。晴れない、曇が続く。叢の中にある、地下へといざなう扉。そして地下には真っ白く大きな共同墓地。死んでいくための町。その町には患者と医療従事者、そして、好きな人をこの町で失い、その記憶から離れられずこの町に居続ける人がいる。死んでしまった思い出は辛いけど、それでも最後に一緒にいた思い出を、ぬくもりを手放せないんだろうなあ。サナはこの地であった人の優しさに助けられて、シイナと会話できた。友人たちやシイナがなんともいいんだよなあ。純粋というか素朴か。いい人って部類ではないんでけど、落ち着く。静かで穏やかななかで、不思議な世界感がすこしづつしみていくみたいな本だった。おもしろかった。