23/12/07 山本弘 トワイライト・テールズ 夏と少女と怪獣と | ptureのブログ

おや、この作家でまだ読んでない本が図書館にあったよ。ラッキー。ショッピングモールの上に横たわる巨大怪獣と、地下にいる主人公の少年と自衛隊女性員の話。アメリカの湖畔を舞台に少年少女の初恋と怪獣の話。タイを舞台に、宇宙怪獣と少女の意志を交わす話。ジャングルの中で家族のようにクラス怪獣と女性。そして元人間の怪獣の戦いの話。小説でも怪獣を描き切れるんだな。ゴジラとは違って結構人の武器が怪獣に有効なのが面白いところ。だから怪獣にもつい感情移入できちゃうし、時には愛しくも感じたり。邪悪さは怪獣からは感じない。ただ猛獣みたいだなと。その分、悪者役は人間が受け持つ。いかにもこの作家らしいな。特に印象的だったのはタイの話。親に売られ、村のみんなからは阻害され生きる気力を失った少女。彼女は何も悪いことはしないのになぜ周りの人はあれほど酷い態度を取れるのだろう。閉鎖的なところだから?それとも、それがヒトの習性だから?怪獣はそんな彼女に諭す。生きなさいと。泣けた。もうひとつ、4話目で宇宙から体を乗っ取られた宇宙飛行士。これ、まるきりジャミラだよな。ウルトラセブンのあの回、もう一度見てみたくなった。やっぱ物語を深掘りして考えることができるのは、小説のほうが上なんだなと納得。おもしろかった。