23/10/23 木犀あこ 世界一くだらない謎を解く探偵のまったり事件簿 | ptureのブログ

いいなあ。旅行に行きたくなる。徳島の祖谷というところにある「かくれが」という宿泊施設が舞台。そこは元刑事の阿久井がやっていて、客にくだらない謎を出してもらう。それを阿久井が解くという話。1話目は主人公の寧々子ちゃん。雨も降っていないのになぜ傘をもって私は宿に来たのでしょうかというのが謎。なるほどねえ。そういうふうに解くのか。語る人をそれとなく観察し、ときには自分の推理が正しいかどうか、誘導的な質問を行う。この推理よし。もちろん事件性は一切ないし。日常系ミステリ。2話目は大学生の弟の家が、前は汚かったのにこの前行ったらきれいになってた。彼女でもできたのかと、「お前この前誕生日だったけど、何かもらったの?」と聞いたら、「そもそもその子、誕生日がないから」との答え。さて、真意は?というもの。これはなんとなく想像ついた。そうそう、阿久井さんはきれいに謎をとくけど、確信がないとか、まぐれだったからとか言って、負けにする。泊まり客はみんな半額ですな。3万6千円が1万8千円。一日に一組しか客を取らない。いいねえ。客になりたい。阿久井は作った料理を喜んで食べてもらうのが好きだそうで。なるほど、俺だったら食事処のほうをとるかな。3話目は新人賞以降、だんだん人気がなくなる作家の話。謎はこのひとの体験なんだろな。いきつけの喫茶店に久しぶりに行ったら馴染みのカウンター席が使用禁止になっていた。菜々子ちゃんが担当していた作家。ちとお仕事小説っぽいところもあり。なるほど、寧々子ちゃんは真面目で愛されキャラだったんだな。4話目は一人で泊まりに来た女子高生。死んだおばあちゃんの言ってた天国に一番近い海ってどこだろうという謎。もし歳を取って体の自由がだんだん効かなくなってきて、そんなとき、面倒をみるという人があらわれる。でも、自分は慣れ親しんだ街からもも知人からも離れなければ行けないと言われたら、どう判断するかなあ。なんだかそこがインパクトあった。そしてこの話がしんみりして、それでいて暗くもなく、気持ちのいい話だったな。そうそう、なんで阿久井に元刑事って設定つけたのかもちゃんと語られてた。ここでも人が死んだかというところに繋げなかったところは好印象。くだらない謎っていうけど、出題する側はあまり人にできる話はないけれど、ちょっと聞いてほしいみたいなものなの。それを聞いてすこしでも語り手を助けたいって阿久井の話なわけだ。おもしろかった。