なんつーか、読み終わってお腹いっぱい。しばらくこの路線はいいやってくらい、お腹いっぱい。ボリュームもなんだけど、ひたすら魑魅魍魎みたいのが出まくる。それこそ本のページからこぼれ落ちてくるイメージ。そして、汚い。二人のじじいが呪いでとこにふせってるけど、これがもう匂いが漂ってくる感じ。これまでにもこのシリーズにはあったけど、今回その表現方法が最高潮を迎えました!みたいな。筋としては自分的には美味しいところなんだよな。日本の裏に潜む大呪術家。その台頭をなんとか拒もうとする国家。果たしてその正体は?なんて。呪いの手法や避ける方法なんてのも、事実や史実をうまく使ってそれを正に独学で究極のキワモノに昇天させてると思う。エログロ要素をばんすか混ぜ込めながら。これ、この作者のある意味金字塔なんじゃなかろか。ああ、昭和だなあ。1985年かあ。え、もう少し、あの頃はおしゃれだった感じもするのですがねえ。というわけで続編あるけど、もうしばらくはいいや。おもしろかった。
普通、怪談はY県だとかH市だとか、そして名前もAさんみたいなのが普通。でも、これは違う。きちんと現実の固有名詞がでてくるし、関連する事件も実際のもの。そうなると俄然リアリティが増すというか、単純に好奇心が湧き上がってくる。え、その事件知らない、うろ覚えだった、その裏ではそんな話があったのかなどなど。ここでいう新宿というのは、歌舞伎町だけじゃなく、新宿区を指してるのもいいな。猥雑な街、静かな街、いわくありな街と新宿多彩だなあ。そかー。四谷もそうか。古典な怪談も舞台になってるんだなあ。そこからさらに、地下にある東海道のミニチュアまで話は伸びる。それを怪談的に解釈しちゃうとか、なかなかなご馳走ではないかとほくほく。この本持って自転車乗って新宿巡りなんてのもいいかもしんないな。楽しみました。
この作家久しぶり。図書館でたまたま。うーん。お見事。知識欲を満たしてくれる。ちょっと不思議な世界を垣間見せてくれる。爽やかな感動ができる。6つの短編。やんちゃな小学3年生の男の子が迷い込んだ、行き止まりの道の先に住んでる同級生の女の子とのお話。この女の子、強くなったなあ。場面緘黙症。彼女の病気。外で全く話せないというもの。2話目は視覚が聴覚につながる、共感覚を持つ女性の話。無意識で見つけた対象物が声をかけてくるというもの。でも、その能力よりも女性と恩師だった彼との関係がなんとも素敵。3話目は脳腫瘍から人格が変わってしまった母親に虐待を受けてた男性の話。そういう症状は漫画でみたことあったな。でも、それよりもイマジナリーフレンドが実在して、今回も助けてくれたという筋書きが大好き。4話目は相貌失認の男子高校生と彼に告白した醜形恐怖症の女の子の話。ピュアな恋物語でハッピーエンドがなにより嬉しい。5話目は連れをなくした老人を隣人にもつ女性の話。そして6話目。これは泣けちゃうよ。全力で泣かしにきたのかというお話。若い子の病気はつらすぎるよな。
ちょっと異色なところを題材にしてるけど、それでもしっかり素晴らしい話を紡いでるってすごすぎる。感動した。
5作目。爽太くん、毒島さんと刑部さんの三人で山奥のデジタルデトックス宿に泊まりにいく。ふむ、そういうところがあるのか。入るときにデジタルグッズは全部預ける。宿泊中はヨガやらリラクゼーションやらの自然に溶け込み、ボードゲームや、宿泊客同士で会話して楽しむそうで。確かに旅行中でもスマホを手放さないんだろうな、今は。俺はそうでもないか。てか、普段からスマホよりも本見てる時間のほうが多いか。しかし、ちょっとこの宿、胡散臭すぎ。あ、やっぱり。てか、薬局の社長、元マトリって、それは読めんなあ。次の話はうつ病絡みの話。爽太の先輩の馬場さん、豪快な人なんだけど、病状がでちゃう。ああ、つらそうだな。もう一人はホテルの宿泊客の自称ユーチューバーの女性。こちらは躁鬱症状。双極性障害っていうんだ。そしてうつ病とは全く別の病気。知らんかったなあ。それと90年ごろはまだうつ病は社会にさほど認識されてなかったという事実にびっくりしてしまった。 あの頃は今の基準で見ると人権的にはまるで中世なのかも。当時は進んでた感じだったんだけど。最後の話は最初の話からつながる、完全解決編。あいかわらず凝ってるな。今回は毒島さん、あんまり目立たんかったな。それでもおもしろかったけど。
前作で新たな呪いみたいなのがでてきたんだった。今回は次郎さんの大叔父で会社の会長さんがしばらく体調不良。これは呪いのせいだってんで、澪ちゃんと次郎さんがお屋敷に潜入捜査。婚約予定者と偽って。ほほう、テレテレするのですな。ほら、そうだ。しかもいつもみたいなビデオとかの待ち伏せ作戦は屋敷内の人に気づかれちゃうからと、できない。ゆえに他の仲間も出番無し。ありゃま、完全に二人の世界だね。その分、生霊が盛りだくさん。六芒星を形どるわけなので、実に六体だよ。一体首謀者は?その目的は?まだわからない。次郎さんはなんか感づいたみたいだけど。にしても、でっけえ屋敷だな。渋谷の広尾に、森があるのかい。凄まじい。江戸時代ならまだしも。風呂も超すごそう。これは想像するのがとても楽しいじゃないか。も少し長居できればよかったのにね。澪ちゃんと大叔父さんが仲良しになるのも鉄板筋ながら微笑ましい。ラストはお調子者の伊原が大変なことになったとのことでおしまい。じゃあ、隠密作戦じゃないな。全員集まりそう。楽しみました。
5作目で完結編。そうか、これでおしまいかあ。海果は一郎と慎とどちらかとひっつくのかな。二人のビンボーだけど充実してるような状況、なにか変わるのかな。というわけで始まり。お、御当地グルメランキングだって。葉山なんだからたくさんあるんだろうな。これもしっかりエピソードになって、汚い大人の世界をぶっつぶす達成感よ。結局、いつもよりマシマシなハッピーエンドかな。葛城さんが部長になって娘と一緒に暮らすの素敵じゃないか。愛ちゃん、漫画家デビューしちまった。これはもうファンタジーなのでは?でも、トマトの耕平くんと仲良しのままってのが、この小説っぽくてよいな。慎もしっかり大事なものが見えてるし、一郎もついに復活、海果はなんにもないか?いや、大事な人ができたのかな。お母さんは帰ってこなかったけど。愛ちゃんのお父さんも帰ってこなかったけど。それでも、ああ、みんな良かったねえ。ビンボーは恥ずべきことじゃない。それを言葉じゃなく実践して見せた二人。うん、やっぱり少女ハードボイルドだな。そしてここに極まれりだな。あー、おもしろかったー!
これ、しばらくナレーションしてる正体がわからんのな。そこからしてユニーク。なんか体内にいる微生物的なものかしら。その言葉はとても知的なんだけれども、人間的ではない。なんと本能をつかさどる何かだったかというびっくりから、いつの間にやら、人の世が如何に自然世界から乖離しているかが滔々と述べられる。うん、その自覚はある。人の世はとかく自身で構築したルールに縛られる。主人公の尚成は幼少時に自分は同性が好きだと認識する。でもそれはルール違反。何故自分 が悩まなければいけないのか、果たしてルールを逸脱した場合はどうなるのか、ということが過去考えてきたこととして展開される。身も蓋もない感じ。LGVTQなんていっても、所詮はルール人が貴方方も認めようと上から目線じゃんとか。うん、この本、深い。ただ文句いってるわけじゃない。問題提起本。ルール人である自分はどう考えてる?どうあるべき?そんな内容をあくまで軽快に描いてる。そして一度は見限った世界をもう一回見返してみる、主人公の姿に素直によかったーとしておしまい。うん、おもしろかった。
短編集。プールの水を間違えて排出させてしまった男性教諭。元不倫相手に金をせびられる売れっ子女性料理研究家。昔人を死なせてしまったと余命幾ばくもない妻に告解する男。亡くなっていた隣家の老人の死因に自身のせいではと悩む老人。ドラッグをやってるベテラン俳優で撮ってしまった映画監督。大きな事件ではないけれど、自分が主 人公の身だとしたら、とんでもないストレスだな、絶対その立場には立ちたくないなという話ばかり。実はよく考えれば、自身のせいじゃないじゃんって気づくはずなんだけど。あるいはとるべき態度が別にあるとわかるはずなんだけど。なんだろう、じわじわと蟻地獄にはまっていくような、嫌な感じ。嫌ミスかあ。ミステリっていえるかどうかはわからんけど。請求の督促を間違えて開けてしまって、それを隣家に手渡しで渡そうとするうちに忘れてしまった。そして隣家は電気が切られ冷房が止まった部屋で熱中症で死亡。でも、一度の督促というわけでもあるまいし。もっとも、原因は意外なところにあった。請求の問題ではなかったけど、それもやっぱり主人公の心に棘が刺さる感じ。うーん、いやーな感じ。楽しみました。
少ししょっぱく、ユーモラス。逃れられない現実はあるけれど、それでもがんばろうかみたいな、瀬尾節満開でうれしくなってしまった。主人公 は全く売れてないミュージシャン。いや、ミュージシャンになりたいと思ってる無職の人。生活費はお金持ちの親からの援助。そんな彼が老人ホームに慰問にいって、そこでサックスがすごいうまい介護士さんに会う。彼と一緒に音楽やりたいと老人ホームを再び訪ねたら、口の悪い婆様につかまり、それがきっかけで他の老人たちとも仲良くなっていく。この主人公、自己分析が的確なところがよいな。そしてとても素直。なんかかわいい。じいさんにウクレレ教えるのも、とてもいい感じ。そのじいさんが突然人が変わって彼を罵り、ひどく落ち込んだり。ラストはやっぱり泣いちゃう。でも、しょうがない。ばあちゃん、90超えてるし。そのばあちゃんに素敵な時間を与え、それ以上に大切なものをもらったことを読ませる素朴な言葉の数々がしみいったなあ。はい、おもしろかった。
5作目。 理恵さん、部門ごと他の会社に売られたんだった。でも、新職場での仕事ぶりとかは今回は全くなし。スープ屋のマスターさんの実の母親が絡む話。確か息子に対してとてもひどいことしてということはおぼろげに思い出したけど何したんだっけ?まあ、いいか。事故で意識不明の母親が最近携わっていた、困った人の相談。特に心配ごとが数件あり、それを母親と同じNPOに所属する大学生とそれぞれの件に関わる話。全部色々な家庭の話。児童虐待の疑いがあったり、DVがあったり、不倫があったり、ヤングケアラー問題があったり。いずれも調査内容を聞いたマスターさんがほぼ華麗に真実にたどり着くのはいつも通り。ただの事件じゃない。そうなってしまった理由がそれぞれ悲しく、ときに気高かったな。最後のエピソード。スカイツリーを目指す中学生二人。つらすぎる。一人は母親に毒を揉まれている少女。赤ん坊の妹は母の不倫相手の子だと気づいた少年。手持ちのお金で上まで昇って、もうお金ない。どこにいくこともできい。切なすぎるよな。でも、それにも終幕。エピローグのスープでほっこりあたたかく。おもしろかった。