ptureのブログ

図書館で借りた。裏表紙の概要も読んで。読み始める。主人公は小説になるために離婚した。主人公は妻、娘、息子を残して家をでる。いや、残してというのは違うか。自ら出ていくといったところか。男は海の近くに古びた家を借りて住む。そして父親を子どもたちが夏休みを利用して訪れる。楽しそう。家族仲いいんだな。ある日、3人はバーベキューに誘われる。山道をこえて、下りてプライベートビーチに。あれ、この本読んだことあるんじゃないか。あ、やっぱり。80ページで気づいた。というわけで再読。子供たちと大人たちの交流が素晴らしいよ。大人は子供の質問に真摯に答える。もちろん、ユーモアは忘れずに。ときに助言したり。子供は大人の言葉を真面目に受け取る。そして自身で十分に考える。それは親と子の間でもそう。離婚した元夫婦同士もそう。いい本だなあ。読み終わったあとがなんとも清々しい。常備本にしてもいいなあ。というわけでおもしろかったー。 

6作目。メインの話は旅人の中学時代の話。両親を殺された恨みを忘れないよう、陰にこもりまくってるよ。今とは正反対だな。人を一切信用しない。そりゃそうだ、彼の目は人の本心だって見えちゃうんだから。あまりに過酷だな。ましてや親戚中をたらい回しにされて、邪魔者って明々白々に言われるならまだしも、影でそう思ってる。でもそんな中学時代の彼を救わんとする一つ上の可愛く利発な女子生徒会長さん。このキャラ素晴らしいなあ。毒を理解し、言いたいことをきっちりと言い、そして明るい。こんな子、惚れてしまうだろ。他には3つの話。著名な芸術家の弟子の話。えばり腐る著名な実業家とその息子の話。そして昔、親友二人から去った老婆の話。ラスト、あの世に旅立ったおばあさんを迎える親友二人。泣けたなあ。よかった。でも後悔の期間、長すぎだよ。おもしろかった。 

ゲリラ豪雨で浸水した家の地下室を片付けてた便利屋さんが変なものを見つけた。装飾のある、まるで棺桶のような箱。寝てないでたってる。開けてみると、ホルマリン漬けの少女の遺体。地下室の中は魔術器具やら、昭和のカストリ雑誌やら卑猥で不気味なものがいっぱい。そして、最近まるで吸血されたような死体が発見されている。おー、いいねー派手だねー。今回は吸血鬼かー。そして舞台はどこぞの田舎ではなく東京。しかも銀座日本橋界隈の看板作りの家屋。よし好きだぞ。このシリーズ、怪異が実は人の善意みたいな発想だったけど、だんだん変わってきたんだよな。そして今回は怪異でなく、あくまで人の仕業として捜査が最後に花開く形。ただこの犯人の異常度は凄まじいものだったけど。なんか清花さん、一緒に住んでる元旦那さんと信頼度がましてきてるんじゃないか。それはとてもいいことです。肩怒らせて仕事をしなくてよい、そちらのほうが守るべき市民を見つめられるってことに気づいた。全部いい方向に向いていってるのは読んでて嬉しいねえ。おもしろかった。 

2002年に発覚した北九州監禁殺人事件の犯人夫婦の息子と、フジテレビのプロデューサーの話。インタビューすることによりタイトルにある、人殺しの息子はどんな生活を送らざるを得ないのか、彼に罪がないのは火を見るより明らかなのに、心無い対応をする世間の実態とはどのようなものなのか、そして彼自身もひどい目にあい、マインドコントロール状態にした親をどう思うのかということが、丁寧に、朴訥な言葉で、リアルに描かれてた。この事件を始めて詳しく知ったと思う。そして、犯人の父親。人はここまで凶暴になれるのか。自分以外に愛情をかけらも持てない、サイコパスがあまりに非現実的だ。それを自身で理解し、通常生活を行う中でそれは欠点であることを理解する必要をひしと感じるも、そんなことは学校が教えてくれるんだろうか。これは犯人だけではない。世間の匿名の声も同様だ。虫唾が走る。犯人と匿名の言葉に違いがあるように思えない。 

テレビのプロデューサーというよりはジャーナリストというほうがしっくりくる。こんな視点が常に必要だと思う。おもしろかった。 

学校の教材となった物語を集めたものだそうで。テストの問題にもなってるんだ。「受験勉強をすると重松清がもれなくついてくる」だって。時代が少し違うのかな。学生時代なら、そんな本は読まなかったかもしれない。でも今は、へー、そんな物語乗っけて、みんな話に夢中にならんのかなーって思ってしまう。お母さんが入院している間のお父さんの準備する夕飯のカレーライス。親子の心理状態のごく一般的なものと今はおもうけど、学生さんたちはどう思ったんだろう。90代になった親友同士のお婆ちゃん。でも関係は皮肉屋さんと素直さん。皮肉屋ばあさんに振り回されてるように見えちゃうよな。本質はもちろん違う。この作家の小説はたくさんの表面を見せる。人の本質はそのままには現れない。そして本質がわかるにはきっとたくさんの経験が必要で、体験の中でふと感じたことを物語で、ああ、やっぱりそうかと固定化できるのが素敵なところ。それを試験中に経験しちゃうとしたらなかなか愉快だなと。おもしろかった。 

自分で言っちゃってるよ。「ほっこり人情系作家あるまじき、アホ丸出しなエッセイ」って。全く明るく下品で馬鹿で。エッセイなので、誇張してるかなと思いつつも友人の姿を思い浮かべると、あ、これほんとだって思ってしまう。友人すごいな。作者いわく「右脳と左脳の細胞をあわせても27個くらいしかない」って。なんと大学に通ってたころの自由な時間を満喫してることか。さすがに時代は今とは違うな。広っぱで野宿して焚き火なんて今はだめだろ。知らない子供と気軽に遊ぶのも昔ほどは一般じゃないとも思う。日本全国、バイクで走り、いい川や海を見ると、潜ったり。あれ、でもこの作家、俺よりも年下だったよな。俺の大学時代はほぼバイトとスキーだった。全く違う生活を彼は送ってたんだな。こっちはこっちで楽しかったけど、そちらもとても楽しそうで。2LDKの秘密の洞窟とか、羨ましい。誰もその存在に気づいていないなんて、あるんだなあ。おもしろかった。 

リレキショを作成する主人公。バイトのため。その初っ端から、ん?となる。嘘を書いているの?記憶がないの?お姉さん、本当は何者なの?悲壮感はまるでなし。主人公の半村良くんは一つづつ、何かを覚える。感情自体も。お姉さんの友人、良くんのバイト先の先輩のおじさん、良くんに手紙をくれる受験生の女の子。不思議な感覚の小説だよ。現実の世界なんだけど、ファンタジーが見え隠れするような。状況を推理するのも無粋。というわけで読んで、感じることに専念していく。過去なんてどうでもいいじゃないか。苦しかったら逃げちまえ。そして、新しい楽しいことをみつけようってことだよなあ。わかる。わかるよ。でもね、社会保険とか戸籍とか、やっぱそれが現実なのよってさみしくなった。この作家のデビュー作なのか。たしかにこの斬新さはインパクトあるなあ。楽しみました。 

こりゃまた、珍しいアプローチとでもいいましょうか。主人公たる眉目秀麗だけど凄まじい借金に溺れてる探偵のもとに若い女性が訪問。自分は昔話題になった、ある新興宗教の集団殺害の唯一の生き残り。自分の記憶はところどころはっきりしないところがある。問題はそこで仲のよかった少年を自分が殺したかどうかを調べてほしいというもの。まあここまでならありそうな話だけど、探偵はこれを少年は死んでいない、奇跡がおきて聖人になったと結論づけた。そうすると何人もの刺客というか、奇跡はありえない、なぜなら真実としてこんな可能性もあるからと挑戦してくる。探偵はそれを論破する。この論破がなかなか見事でそこが推理の鍵にもなってる。その可能性はないのだとぶっ潰す様は心地よいけど。探偵はすべての可能性を考えた。そしてすべてありえない。ゆえに奇跡と認定するしかないってこと。なんだけど、クライマックスはそこに時間差が入ってきたりで複雑で、ちょっとついていけなくなっちゃった。ラストは自分で見逃した可能性が浮かぶ。それこそが真実として。あー、ちょっと凝りすぎだな、俺にとっては。楽しみました。 

続編。読みながら前編を少しづつ思い出していくのが楽しいじゃないか。そうそう、想像の上をいく新医療、そして爆発的に増えるがん、ついには手術中に幹部である心臓が爆発とか。そしてブラックジャックばりの、医師免許を失効されたけど神の手を持つ、”サーペント”大河と優秀な医師にしてオームスを唯一操れるオペレータであり、ついでにナースエイドもしてる澪ちゃんたちがますますもって、魅力的。困難にたちあっても、悩んでも、最後は患者のためという視点に舞い戻るところの心地よさ。いいなー。今回は政治的なことはできるけど、医師としての腕はからっきしの嫌味上司の猿田先生がMVPだった。ほんと、あほーとか思ってたけど、いつのまにやら、これ以上ない味方になってくれる。最後まで澪ちゃん、上から目線だったのがいいねえ。巨大企業の暴走と対峙する、結構重厚になりそうななか、大河と澪ちゃんのかけひきがコミカルで素敵。常に澪ちゃんがけなされる方面で、鷹央シリーズとは逆。この辺のリズム、さすがだよな、この作者。はい、おもしろかった! 

6作目。理恵さんはビーフカレーがとても美味しく、お店の雰囲気がしずくを思わせる洋食屋に出会う。お店は母と娘の二人が回してる。取材を通して仲良くなった頃、店の入るビルを取り壊すから賃貸契約解除、それとともに母親は廃業することに。娘は反対。地元の常連さん達がカレーの存続を求めてるから。でも母親は考えを曲げない。レシピも娘に教えない。このカレーには何があるんだろうかというのが、メインストーリー。そこまで美味しいビーフカレー。食ってみたい。そういや、洋食屋さんでも喫茶店でも、一番人気がカレーってあんまりないな。かつカレーってのはあるかな。実はこのカレーは麻野さんに料理を教えてくれた師匠格の人につながる。おお、うまいなあ。じんわりと暖かくなる感じ。今回も冴えてるなって感じ。メインの話以外でも、リモートワークから始まるj不倫疑惑、まさかの真実はほんわか。親も介入の子供同士のトラブル。露ちゃん大活躍が嬉しいねえ。なめこのポタージュだって。なにそれ。とろみも残ってるみたい。里芋のポタージュだって。なるほど、それもうまそう。あら、理恵さん長期出張してたのか。どうりで、おや?って思う部分あったな。おもしろかった。