3月よりほぼ隔週で連載してきましたネット記事を
こちらに転載いたします。
被災地の方々の快復を願ってやみません。

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東北地方を襲った大地震では、連日胸が痛む状況が続いています。
物資も必要ですが、同時に考えていきたいのが心のケアです。

メディアでよく見かけるようになったPTSDという言葉。
Post Traumatic Stress Disorderの略語で、
直訳すると「心的外傷後ストレス障害」。
心的外傷=トラウマとは、心のキズのことです。

戦争や災害、レイプ、いじめ、DV、虐待などによって、
大きなショックを受け、心のキズができるのは当然のこと。
深刻な体験には、深刻な心のキズが伴います。

PTSDは自分では制御できないような症状が長く続くことを言います。
その症状は大きく分けて、(1)再体験、(2)回避や麻痺、(3)過覚醒

くわしいことは次回に書きたいと思いますが、
意識がボーッとして感覚が鈍くなったり、不眠が続いたり、
恐怖が何度もよみがえったり(フラッシュバック)してしまいます。

そういった感覚や症状は自律神経とも関連していますから、
自分でコントロールしたくてもできないわけです。

ちなみに、PTSDはそういった症状が長期にわたって続く場合で、
1ヵ月以内に症状が治まる場合はASD(急性ストレス障害)と呼ばれます。

あるデータによると、災害よりも
レイプやいじめの方がPTSDにかかる率が高い

という結果が出ています。

これはなぜでしょうか?
正解はありませんが、理由のいくつかは考えられるでしょう。

後者は体験を分かち合う仲間もなく、社会からも二次被害を受け、
さらに傷つけられるということが大きいのではないでしょうか。

たとえばレイプでは、夜に外出していたのが悪いとか、
服装がハデだとか、あら探しをされます。
実際にはそうでなかったとしても、そういうイメージで被害者を攻撃することが多いのです。

いじめの場合も、「被害者にも悪いところがある」と
あら探しやでっちあげが行われます。
これは加害者と黙認した加担者、対処しなかった学校現場などが
責任逃れや自己正当化を行うためです。

深刻な被害を受けながら、「周囲から受け止められない」孤立感がキズを深くしてしまいます。
つまり、周囲が受け止めること・・・
「受容」が心のケアに大切
なんですね。

もちろん被害の大きさにもよるのですが、被災した方々に、どういった受容ができるかで、
その後PTSDになるかどうかに影響します。

阪神大震災のときにも、「がんばれという言葉がツライ」という話が出ました。
それは、「がんばれ」は相手に行為を促す言葉だからです。
しかも「がんばれ」と言われると、支援物資や助けも求めにくくなってしまいます。

では、どんな言葉であれば、受容になるでしょう。
たとえば
「たいへんでしたね」
「よくがんばりましたね」
「おつらかったでしょう」と、
そのまま相手を受け入れる言葉
をかけてあげてほしいんです。

続けて「何か足りないものはありませんか」
「必要なものをおっしゃってください」と続けると良いでしょう。

さらに症状の重い方は、考える余力もなくなっていますから、
「ご飯はいつ食べましたか?眠れていますか?」と具体的にこちらから問いかけするのもベターです。

想像を超える状況になったとき、人は茫然自失となります。
自分が泣いていることすら気づかずに、涙が出続ける人もいます。
体の感覚もマヒしてしまうんですね。

ですから、本人からは声をあげにくいのです。
できるだけ、こちらから声かけをしてあげましょう。

■元のリンク 
http://papaswitch.nifty.com/blog/2011/03/ptsd.html?page=1
2011年3月22日 C.百世安里(瑛衣乎)


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7月16日(土)10:00~「トラウマとPTSDのしくみ講座」
http://t.co/s6pfrUD
PTSDがどんな病気なのか?どう対処すればいいのか?(座学)

7月16日(土)13:30~「トラウマ解凍ワーク」
http://t.co/SDfnXWf
傷つき体験をお持ちの方に。演劇をベースとしたワークショップ。
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