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[粒子線治療][陽子線治療][菱川良夫] 名誉センター長のこばなし ~がんから学ぶこと~

一般社団法人 メディポリス医学研究所
メディポリス国際陽子線治療センター 名誉センター長
菱川良夫による講演からの小話。

40年近くがん治療に携わっていると、運の良い患者さんに出逢います。


最初にご紹介する方は、選挙候補者の後援会会長をされていた方です。

候補者は非常に激しい選挙を戦っていました。
記者は後援会からも情報を得ようと、会長をも追いかけ回したそうです。

会長もこれには参ってしまい、どこかに逃げようと考えました。

そこで、どこも悪くなかったのですが、友人の病院に入院することに。
(本当はいけないことですが、高齢でもあった為、検査入院として許可がおりたそうです。)

検査入院とのことでしたので、幾つかの検査を受けることになりました。
その検査で早期のがんが見つかり、手術で完治しました。



2人目の方は兵庫で粒子線治療を受けた患者さんです。
粒子線で治療した部位は問題なく経過していましたが、彼は心臓がよくありませんでした。

心臓専門の病院にかかっていたのですが、主治医と気が合わなくなり、
「別の専門病院を紹介して欲しい」と電話がかかってきました。

勝手に病院を変えるのだけはダメだと説得し、勤務地に近い病院から自宅に近い病院へ紹介してもらいました。新しい病院も、心臓病の権威ある病院です。


転院後、新しい主治医の先生は、心臓の検査以外にも全身のCT検査をされました。

「余計なことをする!」と怒りながら電話がかかってきましたが、そのCTに以前と異なる腫瘍が写っていました。
不幸中の幸い、そのがんも粒子線治療向きの腫瘍でしたので、粒子線で完治しました。



毎年人間ドックを受けていても、がんを見逃される人がいます。
しかし、予期せぬ形で発見される前述のような方々もいます。

やはり「運」というものは確実に存在するのでしょう。

松下幸之助さんは「私はついていた。体が弱かったおかげで、社員に任せることが出来た。」と語っています。

自分で「ついている」ということで、運を引き寄せ、道を切り拓くことができるのかもしれません。

みなさん運の良い人になりましょう。
先月、テレビ番組の取材を受けました。

そのテレビ番組は、7月1日に放送されたテレビ朝日系列「林修の今でしょ!講座」です。
ゴールデンタイムに放送されたこともあり、有難いことに多くの反響がありました。


ディレクターが私に質問する形で、装置の取材と私の考えを聞いて下さいました。

取材の時点では、どのような構成になるか全く知りませんでしたが、放送された番組を見ると流石はプロ。
私の考えや、短時間で理解するのが難しい回転ガントリーをはじめとした粒子線治療と装置について、解りやすく解説されていました。








放送終了後、番組を見てくれていた私の孫が
「『私のお腹にも石があるの?』と心配している」と、娘からから連絡がありました。

4歳児が見ても「何となくお腹に変なものが出来ることがあるのだ」ということを感じさせるこの番組。本当に凄いなと感心させられました。

なお、孫には「石はありません。でもウンチがあります」とメールで回答したところ、安心して笑顔になったそうです。



「取材の仕方」と「編集の仕方」、「採用された箇所」と「カットされた箇所」など、取材と放送にはギャップが存在します。

これは取材を受けた者にしか感じられないことかもしれませんが、これが非常に面白い。
色々な経験を通して、学ばせていただいています。

放送後、Facebookにも投稿したところ、様々なご意見を頂戴しました。
同じ放送に対して、色々な見方があるのだと勉強させられます。


この取材のあと、別の放送局から海外向けの取材も受けました。
初めての全編英語の取材です。

私のたどたどしい英語での受け答えがどのように放送されるか。非常に楽しみです。
日本・中国・韓国。
この近接する3カ国の仲が悪化しています。でもこれは政府、いわゆる国同士の関係の話。

国同士には歴史的なしがらみがあり、それぞれの主張と誇りがあり、なかなかお互いを認めることが難しい状況です。


私はいつか「医療が軍事に変わる日が来るのではないか」と考えています。

どう言うことかと言うと….

それぞれの国の患者さんが、自身の国で受けることができない高度な治療を他の国で受けるとします。治療が終了し完治となれば、治療を受けた人は喜び、感謝し、幸せを感じて自分の国に帰るでしょう。
そして、自分の国に帰ったあとは、自分の受けた治療、対応など、良かった点を周りの人に伝えるはずです。

これが、いままでの誤解や憎しみを払拭するきっかけになるのではないかと考えています。



先日、当センターは、韓国のスンメディカルセンターと提携しました。

▶スンメディカルセンター ホームページ
 http://eng.sunhospital.com/

日本では大きく報道されませんでしたが、
驚いたことに、韓国では15の新聞社が報道したそうです。


スンメディカルセンターCEOのスン氏は、
「患者さんが、韓国国内で受けることができない陽子線治療を希望する際、指宿のセンターに送りたい」と考え、今回の提携となりました。

米国で教育を受けたスン氏は、世界的な視野で物事を考えています。
「自分の病院を経由して、韓国の患者さんを世界中の高度な医療を提供する施設に送る」
自身の本業である医療の提供に対しても、素晴らしい考えをお持ちです。

会食した際には「患者さんの送り込みだけではなく、若いスタッフの短期交流もしたいと考えています」とのこと。
私も同じ考えを持っていた為、二つ返事で「是非しましょう」と応えました。



今日の緊張した国と国との状況を変えることができるのは、若者の力です。
「機会を与え、互いの文化を知り、新しい未来を構築する。」これが大切です。

当センターが、そのような交流の場を提供できることを嬉しく思います。
そして、これからも「幸せな医療の提供」を通じて、世界中の若者に互いの文化を知る場を提供できるセンターにしたいと思っています。
最近、著名人で前立腺がんであることを公表した方、亡くなった方が相次ぎました。

前立腺がんは男性特有のがんで、近年 急増傾向にあります。

前立腺がんの進行は、他の悪性腫瘍に比べ遅く、「前立腺がん」と診断される数年前、場合によっては十数年前から存在していることもあります。


「前立腺がん」と診断されたら...
他のがんとも共通しますが、まずはよく考えて下さい。

あなたの前立腺がんは、昨日できたものではありません。
数年前、十数年前からあなたと共存してきたのです。

それを忘れて、「がん」という言葉に思考を停止させ、
病気の治療法を主治医や他人に任せてはいけません。あなた自身が考えるのです。

私は、最低でも1週間は考えて欲しいと思っています。
可能ならば2週間ほど考えていただいても結構です。


現状(病状)の把握、可能な治療方法、医療機関、費用等、考えられることは全て考えて下さい。

セカンドオピニオンを利用して、主治医以外の先生に意見を求めることもできます。
たくさんの人の意見を聞いて下さい。



診断方法が進歩した今日では、多くの前立腺がんは、前立腺に限局している時期に見つけることが可能となりました。

昔から、限局したがんに対する治療の代表は手術ですが、
医療技術も進歩し、放射線治療や粒子線治療でも同程度に完治するようになりました。


それぞれの治療法に良い点、悪い点があります。
それらを理解し、自分にとって最良だと思える治療法を選択して下さい。


過去のこばなしでも決定方法について言及していますので、参考にして下さい。

第5回 がん治療
http://ameblo.jp/ptrc/entry-11001035135.html

第91回 がんの治療方法を選択する為に知っておきたいこと
http://ameblo.jp/ptrc/entry-11515978190.html

第97回 よくある質問 「前立腺がん 編」
http://ameblo.jp/ptrc/entry-11543588344.html



同じように治る治療方法が複数ある場合、その判断基準は「医師の勧めだけではなく、医師の考えを聞いた上で、自分や家族で考えること」が大切だと考えます。


また、医療機関を選ぶ上では、過去の症例数は確認しておきたいところです。

例えば手術であれば、執刀医がその手術を過去にどれくらい行ってきたか。
例えば特異な部位への粒子線治療であれば、類似症例を何症例扱ってきたか。

質の高い医療を提供している施設は、人が人を呼び、自ずと患者さんが増える傾向にあります。



当センターでは中国からの患者さんが増えつつあります。
その症例の多くは前立腺がんです。

彼らがセンターに来る理由は、手術後に尿漏れがない陽子線治療であれば、すぐに仕事に復帰でき、男性機能も維持できるからだと口を揃えます。


世界で初めて病院として陽子線治療を提供したロマリンダ大学(米)は、主に前立腺がんの治療を行っていました。

米国の男性にとって「仕事を続けること」「男性機能を維持して家庭生活を続けること」は、生きる上で非常に大切な要素であったため、多くの男性患者がこぞって陽子線治療を選択したと予想されます。


手術、放射線治療、陽子線治療、重粒子線治療。
近代医学では、1つのがんに対しても様々な治療方法があります。

慌てず、自分にあった最良の治療法を頭で考え、選択するようにして下さい。
「センターの使命は『幸せな医療の提供』です」
職員には、開設当初からお題目のように言い続けてきました。

当センターは、常に各部署がカイゼンを続け進化し続けてています。
また、JCIの認証を得たことで、「医療の質と安全」を職員全員が考えるようになってきました。

「幸せな医療」と掲げているものの、具体的にはどういうことだろうと考え続けてきましたが、最近になって その答えの一片を実感したのでご紹介します。


それは、2人の患者さんに対するセンターの対応です。


1人目は、午前中にどうしても仕事をしたいと強く希望される男性。

新幹線を使い片道3時間半、往復7時間をかけて通院をされていました。
午後遅くからの治療となりましたが、全スタッフ一丸となって対応しました。


もう1人は学生の男性。授業が終わってからの治療を希望されました。
以前の治療方法で既に休学しており、再度休学すると進級が難しくなるそうです。

授業が終わり次第、彼のお父さんの車で約1時間かけてセンターまで移動してきます。
授業後の移動ということで、治療開始はセンターの就業時間を過ぎますが、命に代えることは出来ません。スタッフ全員で彼を支えました。


これらの対応方法は、患者さんからよく話を聞いたうえ、スタッフ皆で結論を出しました。いずれの場合も、全スタッフが一致協力しなければこのような対応は出来ません。


昔からこのような医療を行いたいと思っていましたが、今まで勤務していた病院では、様々な理由で、「患者さんの生き方に関わる対応」はできませんでした。

カンファレンスで、この2人に対する対応、治療の計画を聞いた時は、
「幸せな医療の提供」が全センター職員にとって当たり前になりつつあることを実感し、非常に嬉しくなりました。

これからも、幸せな医療を提供する世界一の陽子線治療施設を目指して頑張ります。