[粒子線治療][陽子線治療][菱川良夫] 名誉センター長のこばなし ~がんから学ぶこと~ -22ページ目

[粒子線治療][陽子線治療][菱川良夫] 名誉センター長のこばなし ~がんから学ぶこと~

一般社団法人 メディポリス医学研究所
メディポリス国際陽子線治療センター 名誉センター長
菱川良夫による講演からの小話。

先日の講演終了後、いつものように多くの方からご質問をいただきました。
質問の多さは、関心の高さなので、質問が飛び交うことは非常に嬉しいです。

多くは「適応」や「待機時間」など、よく質問される内容でしたが、その中に初めての質問がありました。


デイサービス施設に勤務されている、若い女性からの質問です。

彼女の勤める施設には、毎日たくさんの利用者さんがいらっしゃいます。
その中には、がん治療を終えた方や治療をすることができなくなった(手の施しようがなくなった)患者さんもいるそうです。

そして、「がん」ということで、本人もご家族も希望を失い、死を待っているといった感じのようです。


そこで
「そのような老人には、どのように接していけば良いでしょうか。悩んでいます」
という質問をいただきました。


その時は、「普通に接しあげて、可能であれば励ますのが良いのでは…」といった内容で回答しましたが、その後考え続け、「寄り添うことが大切」に落ち着きました。


わが国では高齢化社会が深刻な問題となりつつあります。

これに伴い、がん患者さんに対してのあり方・接し方は、医療だけにとどまらず、介護でも課題となってきました。



介護センターで頑張っている若い人たちへのアドバイス。

がんの患者さんは、本人もご家族も「がんだから死ぬ」と強く思い込んでしまっている場合が多く見られます。

しかしこれは間違いです。
全ての人は、いつか亡くなるのです。


がんであってもそうでなくても、高齢者には、思いやりの気持ちで接してください。

そのような気持ちが相手に伝わり、安らかな時が流れます。
介護を必要とする高齢者の最期は、彼らを支える皆さんの優しさで明るく素晴らしいものになるでしょう。


今回の質問を通して、様々なことを考えさせられました。
私は、常識にとらわれない考え方や生き方をしてきました。
(その結果、少し変わった人と思われることもありますが...)

陽子線治療やがん治療に対しても、今までの常識を考え直し、新しい試みを始めます。
今回は、その一例をご紹介します。


(1) 早期がんの診断

上海に作ったセンターの窓口から相談される患者さんは、ほとんどが進行がんの患者さんです。
その結果、「中国=進行がん」と思いこんでいました。

しかし最近、中国から来られた専門官と話しをしているうちに、中国でも早期診断が可能となるアイディアが浮かびました。今まででは思いつかなかった方法です。


まず最初に、前立腺がんから取り組もうと考えています。

今年は、お世辞にも空気がきれいとは言えない北京に頑張って通い、
中国で最大の泌尿器科を訪問し、問題点・情報を収集したいと考えています。

そこで前立腺がんの早期発見が可能となれば、陽子線治療を希望する患者さんを指宿で治療します。


(2) 術後照射

術後照射に使える放射線には色々なものがあります。
今までの常識では、これらにX線を使うことが多く、陽子線を使うことはほとんどありませんでした。

しかし私は、「部位や症例によっては陽子線の方が良い」と考えています。

X線による術後照射では、重要な臓器が影響を受けてしまう場合でも、
陽子線を使うことによって重要臓器への影響を最小に抑えることができるかもしれません。

従来では「陽子線の皮膚への影響が、X線のそれより強い」とされてきましたが、陽子線の特性を考え直し、これらを克服できる可能性が出てきました。

現在、あらゆる角度から陽子線の術後照射を検討しています。



先人たちは、このように常識を疑い、あらゆることを検討・試行錯誤することで、イノベーションを起こし、新しい常識を作り出してきました。

私も、陽子線治療の常識、がん治療の常識を疑い、無限に広がる陽子線治療の可能性を、幸せな医療に繋げていきたいと思っています。
先日、「がんが自然に治る生き方」という本を読了しました。


がんが自然に治る生き方
――余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちが実践している9つのこと
/プレジデント社

¥1,944
Amazon.co.jp


医師から、「手の施しようがない」と見放された患者さんの中には、
その後 病気が治癒したり、それ以上悪くならず長生きしている人も少なくありません。

この本は、そんな人たちについて報告された1000本以上の医学論文を分析し、
自然治癒を体験した人々に共通する実践事項を記した本です。


生還者たちが「がん治癒を目指して実行したこと」の中には、特に共通する9項目があると書かれていました。

それら9項目は、表現方法こそ違えど、講演や懇話会で私が話している内容と近似しており、私の考えが間違いではなかったことを再確認することができました。


本には、『生還者の多くは「生き方や働き方」を真剣に考え、変えている』という表現があります。


私は「がんが治るためのコツ」の一つは「生活習慣の改善」と提言しています。

これは、本に書かれている「生き方や働き方を変える」と同じことなのですが、
この言葉の方が、よりスッと頭の中に入ってくるので、今後は「生活習慣の改善」にこの言葉を加えようと思っています。


「生き方や働き方を変える」ことは、人生をリセットするということです。

自分の住んでいる地域でのがん治療も良いですが、全く違った地域でのがん治療の方がリセットしやすい人もいるのではないでしょうか。


私が指宿に初めて赴任した時、
「同じがん治療でも指宿のようにのんびりとした時間が流れ、優しい人の多い地域の方が、今まで以上にがんは治るのではないか」と考えました。


未だその答えは出ていません。

その答えを求めながら、これからも鹿児島から世界に向け、幸せな医療を提供し続けます。
小さい時からしているスポーツの変遷と最近の趣味の話。


【スポーツの変遷】

「野球 」
私は6歳から阪神タイガースのファンです。

高校生になったときに、軟式野球部に入りましたが...
1学期の期末試験で、50人クラスの47番の成績となり、自主退部しました。

本当に下手だったので、部長も喜んでいました。


「サッカー」
大学に入り、医学部のサッカー部に入りました。
センターバックでしたが、2回生の時に膝を痛め退部しました。

やはり、下手だったので誰にも止められませんでした。


「スキー」
同じく大学に入り、医学部のスキー部に入りました。
2回生の時にサッカーで膝を痛めましたが、スキーは1人でするスポーツなので、膝の具合を見ながら続けました。

ヨーロッパに旅行した時にマッターホルンの見えるところで滑りました。

今でも滑れますが、家内から「年だからやめなさい」と言われ従っています。


「ゴルフ」
とにかくよく飛ぶのですが、スコアがデタラメです。

それでも昔は、ハーフ 40台で回ったこともありました。
ただ、鹿児島に来てからはしていません。

半日の行に耐えれなくなったからです。



【最近の趣味】

「ウオーキング」
とにかく毎日歩いています。

指宿では5,000~10,000歩ですが、神戸では10,000~20,000歩が普通で、
最近では30,000歩を超えた日がありました。


「ジャズ」
10年以上前に出逢った神戸で有名なジャズボーカリストの弟子の一人と称しています。

私の音階が無茶苦茶(世間的には音痴と言うのでしょうか!?)なので、先生を大変な目に合わせ続けてきました。

最近になって、「上手になった」と言われ、CDを出すことにしました。

少し、アホな気がします!


「写真」
2年前まで全く撮っていなかったのですが、FacebookにiPhoneで撮った写真を載せると「いいね」を沢山頂戴しました。
そこで、もっと綺麗な写真を撮るためにミラーレスのデジタル一眼を購入しました。

毎日撮るうちに時々良い写真が撮れます。
指宿の海岸は、本当に朝日が綺麗です。




「旅行」
昔から続いている趣味です。

若い頃には、めちゃくちゃ安いホテルにも泊まりました。
夜中にバスルームに行ったら、ゴ●ブリが溢れかえっていたこともありました。

最近は家族との旅行が多く、安全で綺麗なホテルに泊まります。


趣味については、以前のこばなしにも書いています。
併せてご覧ください。

第102回 趣味
http://ameblo.jp/ptrc/entry-11568536842.html


人生一度きりです。
スポーツや趣味を楽しみましょう。


年齢とともに好きなことが変わるのも良いですよ。
既にご存知の方も多いとは思いますが、私は2010年まで兵庫県立粒子線医療センターの院長をしており、その後、当センターのセンター長に就任しました。


兵庫のセンターでは、陽子線治療と重粒子線治療を行っていました。
その為、その両方の治療を表す言葉として【粒子線治療】を施設名称に使ってきました。

陽子線治療も粒子線治療の中に含まれる為、当センターでも「がん粒子線治療研究センター」と【粒子線治療】を名称に含めていました。


粒子線と陽子線の関係について、詳しくは、当センターホームページ「粒子線治療とは」をご覧下さい。

粒子線治療とは
http://www.medipolis-ptrc.org/what.html



当センターで丸4年間以上、陽子線治療を行ってきた結果、重粒子線治療と陽子線治療の違いを明確にしたほうが良いと考え、この5月からセンターの名称を変更する運びとなりました。

また、JCIの認証を取得したことから【国際】という表現も入れることにしました。

新しい名称は

「メディポリス国際陽子線治療センター」

です。

この名称には、私だけではなく、センター全体の思いがこもっています。


新しい名称のもと、安全で優しい陽子線治療を「幸せな医療の提供」として、国内外の患者さんに提供してまいります。