2年前の話です。高齢の女性が相談のため私のもとを訪れました。
相談の内容は「お腹の中にできたがんを陽子線で治したい」というもの。
持参された資料に目を通すと、難しい手術にはなりそうでしたが、手術で根治が期待できる悪性腫瘍でした。
お住まいが東京ということもあり、良い病院(手術の上手な病院)もたくさんあるので、「手術で根治を目指してはどうでしょうか?」と手術を勧めました。
しかし「どうしても陽子線治療を受けたい」と言って引かないので、陽子線治療を希望する理由も含めもう少し深くまで話を聞きました。
すると、10年前から自宅でご主人の介護をしているとのこと。
もし手術を受け、体力がなくなってしまったら、ご主人の介護ができなくなってしまうので、「身体に優しい陽子線治療を受けたい」という強い希望を持たれていました。
指宿での治療期間は、約1月半かかります。
その間、ご主人の介護はどうするのかを聞いたところ、「短期間なので、複数の子供たちで介護を頑張ります」とのこと。
それならばと言うことで、指宿に来てもらうことが可能だと判断し、治療させていただくこととなりました。
それから2年が経ちますが、本人も変わらずお元気で、ご主人の介護も献身的に続けられているそうです。
時代は大きく変わってきています。
過去には想像できなかった、「老老介護」や「シングルマザー」が当たり前の時代となりました。
そんな時代に、介護をしている人やシングルマザーががんになった時…
従来の治療では家族との生活を続けることが困難になる場合も考えられます。
陽子線治療のような新しい治療は、体に優しい治療の特徴を生かして、手術を受け入れることのできない人にも対応していかなくてはならないと感じています。
そこは、従来の手術や放射線治療と比べて、効果があるとかないとかの話ではありません。
また、従来の治療では困難であった膵がんに代表される難治がんにも積極的に対応していくべきだと考えています。
その場合、難治がん治療の主体は、そのがん治療を行っている専門病院となります。
「化学療法を中心とした集学的治療に陽子線治療を一時期利用する」という考え方です。
各地の病院を訪問して気がついたことは、「地域の病院同士の連携や、地域の病院とそれらの病院が行えない治療を行っている医療施設(当センターのような陽子線治療など)との連携」がもの凄い勢いで進んでいるということです。
一昔前の我が国は、病院間の連携が悪く、患者さんの利益が後回しになっていました。
しかし、医療の最前線は変わってきています。
患者さんの声が現実になってきているのです。
我々も、医療の最前線を担うセンターとして、引き続き幸せな医療を提供していきたいと思っています。
センターでは、定期的に「懇話会」というものを開き、私が直接、患者さんにお話しをしています。
懇話会の内容は多岐にわたりますが、決まって「がんには治るコツがあります。それには心を利用するのです」とお話ししています。
先日の懇話会でも、そのようなお話しをしました。
「治る気持ち」「生活習慣の改善」は、がんになった患者さんがすべき最も大切なことです。
もちろん、治療施設や治療方法の決定、治療のタイミングなども大切ですが、それらには制限が伴い、自分自身ではどうにもできないこともあります。
しかし、私が先ほど挙げた「治る気持ち」「生活習慣の改善」は、いつでも、どこでも、本人が変わろうとした瞬間から取り組める最も簡単な方法です。
また、「お医者さんから予後を聞いた時、その回答をそのまま信じるのはやめて下さい。」と伝えています。
再発や転移について医師が言う場合、過去のデータと経験に依存しています。
一方、患者さんの予後は未来のお話です。
医師は神様ではありません。未来のことは誰にもわからないのです。
我々医師は、患者さんから質問された場合、過去のデータを基に生存率や再発率を数値としてお伝えします。
そして、数値を聞いた患者さんの多くは、それを信じ、深く考え込んでしまいます。
5年生存率が90%と言われると安心しますし、20%と言われると心配になります。しかし、いずれのグループでも5年以上生存する人もいますし、しない人もいます。
大きな数値を聞くと、なんとなくその数値側に入るように思われますが、本当のところは誰もわからないはずです。
したがって、私は「予後などに一喜一憂するのではなく、一日一日を大切にして楽しむ生き方」を勧めています。
日本人は真面目です。
予後を他人(医師)に告げられ、その通り思い込み、その通り人生を終えていく。
進学、就職、結婚、出産、起業…
今日の朝食、休日の過ごし方、トイレへ行くタイミング…
我々は、これまでの人生で幾度となく「選択」をせまられてきました。
その度に信念を持って選択し、困難を乗り越えてきたことでしょう。
そんな我々の人生の最期を、なぜか患者さんは医師に委ねてしまいますが、
最期の最期まで、わがままになってあなた自身が決めれば良いのです。
繰り返しますが、予後に一喜一憂するのではなく、一日一日を大切にして楽しんで下さい。
楽しい一日一日が積み重なって、あなたの人生が最期まで彩られていくことでしょう。
これらの内容は、私の拙著「がんは陽子線で治す」にも書かせていただいています。興味のある方は併せてご覧ください。
がんは陽子線で治す/PHP研究所

¥1,620
Amazon.co.jp
懇話会の内容は多岐にわたりますが、決まって「がんには治るコツがあります。それには心を利用するのです」とお話ししています。
先日の懇話会でも、そのようなお話しをしました。
「治る気持ち」「生活習慣の改善」は、がんになった患者さんがすべき最も大切なことです。
もちろん、治療施設や治療方法の決定、治療のタイミングなども大切ですが、それらには制限が伴い、自分自身ではどうにもできないこともあります。
しかし、私が先ほど挙げた「治る気持ち」「生活習慣の改善」は、いつでも、どこでも、本人が変わろうとした瞬間から取り組める最も簡単な方法です。
また、「お医者さんから予後を聞いた時、その回答をそのまま信じるのはやめて下さい。」と伝えています。
再発や転移について医師が言う場合、過去のデータと経験に依存しています。
一方、患者さんの予後は未来のお話です。
医師は神様ではありません。未来のことは誰にもわからないのです。
我々医師は、患者さんから質問された場合、過去のデータを基に生存率や再発率を数値としてお伝えします。
そして、数値を聞いた患者さんの多くは、それを信じ、深く考え込んでしまいます。
5年生存率が90%と言われると安心しますし、20%と言われると心配になります。しかし、いずれのグループでも5年以上生存する人もいますし、しない人もいます。
大きな数値を聞くと、なんとなくその数値側に入るように思われますが、本当のところは誰もわからないはずです。
したがって、私は「予後などに一喜一憂するのではなく、一日一日を大切にして楽しむ生き方」を勧めています。
日本人は真面目です。
予後を他人(医師)に告げられ、その通り思い込み、その通り人生を終えていく。
進学、就職、結婚、出産、起業…
今日の朝食、休日の過ごし方、トイレへ行くタイミング…
我々は、これまでの人生で幾度となく「選択」をせまられてきました。
その度に信念を持って選択し、困難を乗り越えてきたことでしょう。
そんな我々の人生の最期を、なぜか患者さんは医師に委ねてしまいますが、
最期の最期まで、わがままになってあなた自身が決めれば良いのです。
繰り返しますが、予後に一喜一憂するのではなく、一日一日を大切にして楽しんで下さい。
楽しい一日一日が積み重なって、あなたの人生が最期まで彩られていくことでしょう。
これらの内容は、私の拙著「がんは陽子線で治す」にも書かせていただいています。興味のある方は併せてご覧ください。
がんは陽子線で治す/PHP研究所

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この夏、中部地方から2人の女性がセンターを訪ねて下さいました。
1人は、数年前に行った保険会社の見学会に来られていた方です。
自身の産後鬱の経験から、同じような状況で苦しむお母さん達を元気にするための法人を立ち上げ、日本中を講演や健康指導で飛び回っています。
もう1人は、彼女が作った協会の優秀なインストラクターです。
お2人とはFacebookでも繋がっており、彼女たちの投稿をよく目にします。
それらの投稿を見て、とんでもないエネルギーを持っている人達だと、いつも感心させられています。
以前お逢いした時も素晴らしい女性たちだと感じましたが、再会となった今回も、ますますパワーアップしていました。
今に至るまでに、嫌なこともたくさんあったことでしょう。
そんなことにも挫けず、若い方たちが一生懸命頑張り、成長している姿を目の当たりにするのは本当に嬉しいことです。
人生は一度きりです。
自分を大 切にして下さい。その次は家族、会社ですが、最後は国です。
自分のできる範囲で、日本の為に頑張りたいという人との出逢い。
それが今回は美しい女性だったので、本当に良い休日でした。
1人は、数年前に行った保険会社の見学会に来られていた方です。
自身の産後鬱の経験から、同じような状況で苦しむお母さん達を元気にするための法人を立ち上げ、日本中を講演や健康指導で飛び回っています。
もう1人は、彼女が作った協会の優秀なインストラクターです。
お2人とはFacebookでも繋がっており、彼女たちの投稿をよく目にします。
それらの投稿を見て、とんでもないエネルギーを持っている人達だと、いつも感心させられています。
以前お逢いした時も素晴らしい女性たちだと感じましたが、再会となった今回も、ますますパワーアップしていました。
今に至るまでに、嫌なこともたくさんあったことでしょう。
そんなことにも挫けず、若い方たちが一生懸命頑張り、成長している姿を目の当たりにするのは本当に嬉しいことです。
人生は一度きりです。
自分を大 切にして下さい。その次は家族、会社ですが、最後は国です。
自分のできる範囲で、日本の為に頑張りたいという人との出逢い。
それが今回は美しい女性だったので、本当に良い休日でした。
先月、早期乳がん治療の取材を受けました。
今回は、東京本社の担当者から約1時間の電話取材を受けた後、指宿にいる系列会社のカメラマン兼記者が取材に訪れました。
そして、それらが10月1日のピンクリボンの日に合わせて、夕方のニュースで約5分間放送されました。
「たった5分」と思われがちですが、本当によくまとまっており、我々が伝えたかったことを余すことなく伝えてくださいました。
中でも、当センターで開発してきた装置や治療を受けた患者さんの気持ちの部分を分かりやすく放送してくださり、大変感謝しています。
取材を受けるたびに思うのですが、放送されるテレビや新聞の内容は、いつも私が思っている以上の出来となります。伝えるプロなので当然といえば当然なのですが、実にわかりやすくまとめられた内容に感心させられます。
家族から「私の会話には主語がないので、何の話をしているのかよくわからない…」
と指摘されることが多く、注意しているのですが、なかなか改善されません。
今回も、抜け落ちた「乳がんは」という主語をテロップで挿入して分かりやすくしてくださっていました。
患者さんのセカンドオピニオンをすると、話をじっくり聞くことで、どのようにアドバイスをするべきか、すぐに判断ができるようになりました。40年を超える経験です。
それと同じように、取材をする記者の方々も、取材相手と話をしている間に、「何が必要で、何が必要でないか」を瞬時に判断して、頭の中で映像の流れを作り、足りない部分は補って下さっているのだと思います。
色々な人との出逢いは、自分を見直す良い時間ですね。
これからも、陽子線治療のプロとして、幸せな医療を提供してまいります。
今回は、東京本社の担当者から約1時間の電話取材を受けた後、指宿にいる系列会社のカメラマン兼記者が取材に訪れました。
そして、それらが10月1日のピンクリボンの日に合わせて、夕方のニュースで約5分間放送されました。
「たった5分」と思われがちですが、本当によくまとまっており、我々が伝えたかったことを余すことなく伝えてくださいました。
中でも、当センターで開発してきた装置や治療を受けた患者さんの気持ちの部分を分かりやすく放送してくださり、大変感謝しています。
取材を受けるたびに思うのですが、放送されるテレビや新聞の内容は、いつも私が思っている以上の出来となります。伝えるプロなので当然といえば当然なのですが、実にわかりやすくまとめられた内容に感心させられます。
家族から「私の会話には主語がないので、何の話をしているのかよくわからない…」
と指摘されることが多く、注意しているのですが、なかなか改善されません。
今回も、抜け落ちた「乳がんは」という主語をテロップで挿入して分かりやすくしてくださっていました。
患者さんのセカンドオピニオンをすると、話をじっくり聞くことで、どのようにアドバイスをするべきか、すぐに判断ができるようになりました。40年を超える経験です。
それと同じように、取材をする記者の方々も、取材相手と話をしている間に、「何が必要で、何が必要でないか」を瞬時に判断して、頭の中で映像の流れを作り、足りない部分は補って下さっているのだと思います。
色々な人との出逢いは、自分を見直す良い時間ですね。
これからも、陽子線治療のプロとして、幸せな医療を提供してまいります。
鹿児島に来て5年が経ちました。
今まで多くの患者さんを紹介して下さったお礼も兼ねて、最近、各地の病院を訪問し、挨拶回りをしています。
まず病院に着くと、ロビーでその病院の雰囲気を感じ取ります。
少しずつ異なりますが、いずれの病院でも患者さんへのサービスを怠っていない点は共通しています。
一昔前の病院といえば、「診てやる」というような雰囲気の病院が多かったのですが、全くの様変わりです。
その後院長先生にお逢いし、お礼の挨拶をしてから、この数年間で適応が拡がったことなど、陽子線にまつわるトピックスをお伝えしています。
会話から、それぞれの先生の雰囲気が感じられますが、やはりトップになる人には共通点があります。それは「明るい性格」で「自分の病院に誇りを持っている」ことです。
ある病院では、病院長ではなく理事長にお逢いしました。
私より10年以上も先輩である理事長先生には、ずばり、「宣伝に来てるのだねえ」と言われました。思わず、「はい、その通りです」と応え2人でニンマリしました。
陽子線治療が適応になる症例のイメージとして、多くの先生が「前立腺がん」「小さな肺がん」「肝がん」「頭頸部がん」を挙げられます。
当センターではチームとしてかなり成熟してきており、装置を本当によく使いこなせるようになりました。また、看護師も含めた強力なチーム医療で、従来の疾患以外にも治療が難しいとされてきた膵がんなども治療ができるようになってきました。
各地の病院を訪問して、色々な人と会い、直接お話しをすることは本当に楽しい時間です。早朝ウォーキングや、写真のように、病院訪問もくせになるかもしれません。
今まで多くの患者さんを紹介して下さったお礼も兼ねて、最近、各地の病院を訪問し、挨拶回りをしています。
まず病院に着くと、ロビーでその病院の雰囲気を感じ取ります。
少しずつ異なりますが、いずれの病院でも患者さんへのサービスを怠っていない点は共通しています。
一昔前の病院といえば、「診てやる」というような雰囲気の病院が多かったのですが、全くの様変わりです。
その後院長先生にお逢いし、お礼の挨拶をしてから、この数年間で適応が拡がったことなど、陽子線にまつわるトピックスをお伝えしています。
会話から、それぞれの先生の雰囲気が感じられますが、やはりトップになる人には共通点があります。それは「明るい性格」で「自分の病院に誇りを持っている」ことです。
ある病院では、病院長ではなく理事長にお逢いしました。
私より10年以上も先輩である理事長先生には、ずばり、「宣伝に来てるのだねえ」と言われました。思わず、「はい、その通りです」と応え2人でニンマリしました。
陽子線治療が適応になる症例のイメージとして、多くの先生が「前立腺がん」「小さな肺がん」「肝がん」「頭頸部がん」を挙げられます。
当センターではチームとしてかなり成熟してきており、装置を本当によく使いこなせるようになりました。また、看護師も含めた強力なチーム医療で、従来の疾患以外にも治療が難しいとされてきた膵がんなども治療ができるようになってきました。
各地の病院を訪問して、色々な人と会い、直接お話しをすることは本当に楽しい時間です。早朝ウォーキングや、写真のように、病院訪問もくせになるかもしれません。