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[粒子線治療][陽子線治療][菱川良夫] 名誉センター長のこばなし ~がんから学ぶこと~

一般社団法人 メディポリス医学研究所
メディポリス国際陽子線治療センター 名誉センター長
菱川良夫による講演からの小話。

最近のスマホアプリには優れた健康管理アプリがあります。
私もスマホアプリにお世話になり、毎日の歩数と体重を管理しています。


先日、神戸で餃子が食べたくなり、地元では美味しいと評判の餃子屋さんに夕食として生餃子を買いに行きました。
家内と二人で12人前。1人前7個入りなのですが、私が8人前を平らげました。

焼酎も味わっていたので、いつも通り20時前には寝てしまいました。

翌朝体重を測ると、約1kg増。お腹一杯食べると、正直に体重は増えるようです。
この1kgを落とすのに、3日かかりましたが、美味しい餃子を食べることができて幸せでした。


日課にしているウォーキングは、指宿では約1万歩なのですが、神戸に戻ると2万歩になります。
先日のルミナリエの時には、約20km、気づけば3万歩を超えており、家内に呆れられました。

私のウォーキングは、写真を撮りながらなので、知らない間に時間が経ちます。
Facebookにも撮った写真を載せており、小学校時代の同級生も見てくれています。

先日、コメント欄で「一年間で1500kmぐらい歩いているのか?」と質問されたので、計算して答えました。

「2000km超えです」  計算して、我ながら驚きました。


本当に指宿に来てからは歩く習慣が身につき嬉しく思っています。
年齢を重ねるにつれて、自分の体で色々楽しむことができます。
毎日を楽しみましょう。
私にとって講演や会議で全国を飛び回ることは大切な仕事です。
移動の度に、この歳になっても大きな病気ひとつしない健康な身体と、そのような身体に産んでくれた母親に感謝しています。

現在、母親は神戸の介護老人ホームで生活をしており、神戸に帰る際には、時間を作って老人ホームに顔を出すようにしています。
何をするわけでもなく、母のそばの椅子に座りボーとしています。

互いにこの時間が一番良いようです。


最近、鹿児島から東京へ移動して講演をした後、神戸に帰ることが多くなりました。
なぜかというと、東京のホテル宿泊費が高騰してきたためです。

東京で宿泊をして翌日鹿児島に帰るよりも、神戸の自宅で過ごして翌日鹿児島に帰る方が、宿泊費と交通費の合計が安いのです。

少し前までは、「鹿児島から手荷物を機内に持ち込み、羽田空港に到着後、講演に不要な荷物をコインロッカーに預け、講演会場に行き、帰りにロッカーから荷物を取り出して神戸に移動する」ということを繰り返していました。

しかしある時、鹿児島 ~ 羽田 ~ 神戸の移動を乗り継ぎチケットにして、荷物は最終到着の神戸で受け取る事を思いつきました。

試みた結果は、大成功。
今では、講演用のパソコンなどを手荷物にして機内に持ち込み、その他の荷物は鹿児島空港で預け最終地点の神戸空港で受け取るようにしています。

私のような旅をしている人にはお勧めです。是非お試しください。



宮崎へ仕事で行った際には、部下と2人で夕食に行き、芋焼酎のボトルを取りました。
その時部下に言われて、宮崎の焼酎のアルコール度数が20度であることを初めて知りました。

鹿児島では25度が当たり前だったのですが、宮崎は少し度数が低いようです。
ロックでも水割でも飲みやすく、2人でボトルを空けてしまいました。

その時、最近になって鹿児島が宮崎に芋焼酎の消費量で抜かれたのは、このアルコール度数が一因なのではないかと感じました。
若い人にとっては、20度の方が飲みやすいのではないか…と思った次第です。


旅をすると、新たな出会い、発見、経験、チャレンジの連続です。
今年も「旅」を楽しみ、良い1年にしたいと思っています。
日本の健康保険制度は、基本的にどこに住んでいても、同じ費用で、同じ質の医療が受けられる優れた制度です。
ただし「国民負担」を大前提にしているので、国の考えが大きく反映されています。
即ち、国民負担にふさわしい「大多数の人に適する標準治療」を目指しているのです。

一方メディカルツーリズムは、標準治療になっていない最先端の医療や、そこの医療機関でしか受けることのできない医療が多数を占めます。
患者さんの立場から言えば、「自己負担してでも受けたい医療」と言い換えることができ、患者さんやご家族がよく考えて受ける医療です。

このように考えると、健康保険制度の大原則である「地域医療」とは明らかに異なります。


ITが著しく進歩した今、インターネットにさえ接続すれば、行ったことがない場所の情報をたやすく手に入れ、その場所に関する他人の体験談や、航空写真、周辺のおすすめの観光スポット、それらの営業時間から注意事項まで何もかもが手に入ります。

また今日の我が国では、交通インフラが世界トップレベルに整備されており、以前に比べ格段に安価かつ短時間で移動できるようになりました。

これらの条件が揃っている日本は、メディカルツーリズムがしやすい国と言っても過言ではありません。
国内外問わず遠方で行われている医療の詳細を知ることができ、気に入れば、すぐにでも現地に行って診てもらうことができます。



例えば健康保険で行う抗がん剤治療の場合、厳格な治療指針がある、設備の整った医療機関であれば、どこでも同じような成績が期待できます。
そのため、メディカルツーリズムには不向きと言えます。


一方、陽子線治療(粒子線治療)の治療成績は実に多くの因子に影響されます。
主に影響を与えると考えられる因子の例を以下に列挙します。

・優れた装置
・装置に対する厳密な整備力
・装置を使いこなす技術力
・医師の経験値、診断力
・技術力を発揮するための組織力
・治療期間中の患者さんに対する心身のケア(「心」のケアは非常に大切)
・治療期間中の患者さんが楽しめる環境(観光や食事など)


様々な因子が絡み合い、治療結果に反映されると考えられる医療はメディカルツーリズムに適しています。


くり返します。メディカルツーリズムは自己負担の医療です。

それぞれの施設が、施設の強み(安全性や技術力など…)を正しい情報として提供し、価値のある医療を続けていかなければ、選ばれなくなるでしょう。

メディポリス国際陽子線治療センターでは、引き続き正しく価値のある「幸せな医療の提供」を続けます。
最近、各方面から「先進医療」について質問を受ることが増えました。

先進医療とは…
厚生労働省が認めた新技術で、一定の要件を満たす病院などで行われ、通常の保険診療と費用の扱いが異なる。 通常の保険診療では、例外を除いて医療費は全て保険の対象となり、患者は一部負担金を支払えばよい反面、混合診療として保険外の治療は全て禁止されるとの見解が有力である。
しかし、先進医療と認定された場合は保険外併用療養費の支給対象となる。即ち、先進医療の特別料金部分は保険対象外のため患者が全額を支払うが、通常の保険診療との共通部分(診察、入院、投薬など)は保険対象のため、患者は窓口で一部負担金を支払うこととなる。
(Wikipedia「先進医療」より一部引用)



今回は改めてこの「先進医療」という制度について考えます。

我が国は、国民皆保険の国です。
多くの医療の最終地点を「その医療を健康保険として提供できるかどうか」に置いており、「健康保険で扱えるようになることが標準治療である」と、医師を含めた大多数の国民が考えています。

先進医療制度ができた経緯には、そんな考え方に限界を感じた背景があるのでしょう。

新しい治療法が次々と確立され、従来の治療と新しい治療法を組み合わせた集学的治療が当たり前となった時代に、健康保険のみで行う治療に限界を感じ、保険診療の中に一部の自己負担があっても良いのではないかと考えたのです。

健康保険は、我々が納めた税金からお金が支払われます。即ち国民の負担です。
一方、一部を自己負担でまかなうという考え方は、新しく出てくる医療に対して、これ以上、国民負担を増やさないという考え方です。

かくして、個人負担の併用で、より良い治療が受けられる制度が誕生しました。
先進医療制度を考えた人々は、我が国が抱える大きな課題の一つ「医療費の削減」を真剣に考えていたのではないでしょうか。


最近になって、一部のがんへの粒子線治療に対する上記のような考え方が「混合診療にあたるのではないか」という批判があり、先進医療に導入するかどうかの見直しが検討されています。


日本の陽子線治療(粒子線治療)は、世界でも非常に高いレベルにあります。
そのため、海外からわざわざ日本に来て、全額自費治療で質の高い治療を受ける患者さんも増えてきました。

海外向けの医療は、自己負担の医療に競争原理を入れて、魅力的な医療として提供されています。
日本人が現在の制度を利用すれば、この洗練された魅力的な治療が、一部健康保険を使って受けることができます。(陽子線治療(粒子線治療)の技術料の部分のみ自己負担)


当センターでは各国語を話すことのできるスタッフを配置し、海外からの患者さんを積極的に治療しています。いわゆる、メディカルツーリズムです。

メディカルツーリストを受け入れ始めると、先進医療が国民にもたらす利益を実感します。
そのため、個人的には先進医療への導入の見直しは、治療に対する安全性や施設基準にとどめ、治療技術を含めた自己負担の部分を各施設で競わせた方が良いのではないかと考えています。

メディカルツーリズムのためにも、自己負担と国民負担が共生する制度を是非とも残してほしいと思っています。
2015年の1年間で最も嬉しかったことは…
11月に「ネイチャー アウトルック(Nature Outlook)」という雑誌の乳がん特集号で、雑誌のスポンサーとなり、乳がん研究に貢献できたことです。

ネイチャーは、世界で最も権威ある総合学術雑誌のひとつで、世界中の研究者に読まれています。このネイチャーの特集号にあたるものが「ネイチャー アウトルック」で、今回ご縁があり、半年間色々なやり取りをしながら発行に至りました。

やりとりの間は大変なことも多々ありましたが、非常に良い経験、勉強ができました。
そして、スポンサーとして掲載された特集号を見たときの感動は忘れることができません。

Nature Outlook
http://www.nature.com/nature/outlook/breast-cancer/


掲載されたメディポリス国際陽子線治療センターの紹介は、欧米の研究者からも興味ある内容だったようで、編集段階でアドバイスを受け、欧米の人向けに英語バージョンを作成しました。
その為か、海外からの研究者にも好評のようで、国内外から寄せられる「見た」という声を聞く度に嬉しくなります。

Innovative proton beam therapy for breast cancer and pancreatic cancer: the Medipolis experience
http://www.nature.com/nature/outlook/breast-cancer/pdf/breast-cancer.pdf


センターの紹介では「乳がんの新しい固定具」と「膵臓がん治療の照射技術」を取り上げました。

初めて知ったのですが、こういった紹介文にも様々な制約があり、通常の論文のような具体的なデータを基にした成果などは書くことができません。色々アドバイスを受けたことで、Nature誌の科学に対する姿勢がよく理解できました。

これらの経験から、また新しい目標ができました。
「今度はスポンサーではなく、研究論文をNatureに掲載してもらう」という目標です。

2016年も、幸せな医療を提供しながら、また新たな目標を目指して頑張ります。