先月、母を施設に訪ねた時、
母の顔色がすこぶるよろしいことにすぐ気づいた。
肌につやがあり、頬にはうっすらと自然な赤みが差している。
今までなら、
息子(群馬にいて絶対に来るはずもない)が来たけど、
すぐ帰ってしまったとか、
すぐそばにあるお菓子屋(現実にはない)でお菓子を買いたいから、
千円でいいから置いて行ってとか、
同じことを何度もしつこく繰り返していた。
ところが、その日はそういう類のことは一切言わなかった。
夫がスマホで撮った花の写真を見せると、
「チューリップ」とか「水仙」とか花の名前を言ったり、
きわめてまともな受け答えに終始した。
2,3日前、受診日で病院に付き添った時、
施設から医師へのリポートには、
最近はむせることもなく食事ができていると記されていた。
今までは頻繁にむせて吸引されていたのに、
94歳を超えて、若返り始めたのか?
娘の方はここに来て一気に老化が加速している。
恐るべし、母の潜在パワー!
とにかく、
この人は生まれつきストレスフリーの気質体質のようで、
物事をあまり深く考えない。
群馬で独り暮らしのころ、何度も訪問詐欺に遭ってカモにされ、
大金を失っても、にこにこして
「終わったことはしょうがないがね~」とうそぶいていた。
後悔はしない質なので、また騙される。
おい、おい !
わが家の家族はそれぞれ過度にキャラの立った構成で、
今、距離を置いて思えば、
退屈することはなくなかなか面白かった。
こうしてみると、母も思い切り個性的だ。
母の日。
手紙を添えて心ばかりのプレゼントを渡した。