ニコルが別世界に引っ越して1か月半あまり。

大量に残っていた牧草やペレットの類は

どれも開けてあるので、処分した。

ニコルのえさ皿、薬用のシリンジ、マット、

裏にニコルと書かれたりんご用のお皿などは、

まだ捨てられずにとってある。

ゆかりの品を目にして哀惜の情に駆られることも、

頻回ではなくなった。

胸がつまるような哀惜の情は、

温かく穏やかな愛惜の情へと移ろっていった。

 

ニコルはそばにいる。

子うさぎだった頃から生意気うさぎになって、

超甘えん坊の晩年に至るまで、

すべてのニコルが、今はそばにいる。

あの愛くるしい瞳でじっと見つめてくれている。

 

 

 

 

 

今わの際、私の呼びかけに

まるで人間の子のような可愛い声で、

「うん、うん、うん」と

数回にわたって力強く返事をしてくれた。

最期の力を振り絞ったようなその声は

「わかった。大丈夫だよ」と伝えていた。

 

そう、大丈夫。

ニコちゃんのその声を思い出して、

私たちも一生懸命最期の時まで生きるからね。

守護天使ニコルちゃん、

どうぞ見守っていてください。