先輩に全国書教研連盟常任理事の書家の方がいらして、

毎年自筆のカレンダーを作って送ってくださる。

 

伸びやかで柔らかい筆遣いの中にいつも微笑みを

含んでいる。

今年は九月と十月のカレンダーに「朏」という字が

書かれていた。

 

 

初めて御目文字する漢字だ。

はて、

何と読むのだろうと、さっそく漢和辞典で調べてみた。

 

音読みは「ヒ」。

字義には「みかづき。三日月。陰暦三日目の月」

とあった。

なるほど、ひときわ月の美しい秋にふさわしい。

「月が出始めてまだ光の明らかでないもの、

みかづきの意味」とある。

この記事を書いている時、「みかづき」で変換したら、

ちゃんとこの字が出てきて感動した。

訓読みは「みかづき」なのだ。

 

夜空に見え始めて間もないはかなげな月の姿にも、

特別な漢字を当てがって区別するとは、

古(いにしえ)の人々の月への細やかな愛を感じる。