老母の髪が鬱陶しそうに伸びている。

デイサービスに美容師さんが出張してくるのは、

2か月に1回で、まだ2週間先、しかも、曜日が合わない。

 

ならば、というので娘の出番であ~る。

新婚時代、

経費節減のため、旦那の髪を好きなように切り刻んでウン十年、

グッズは一応揃っている。

今でこそ旦那は千円カットに行っているが、

当時の理容料金は高かった。

旦那の髪はゆるい天然パーマなので、

いい加減に切っても、そのうち、もじゃもじゃうねって生えてくれば、

全く問題なしなのであった。

 

さて、老母の髪は白髪交じりのストレート、

アンバランスに切りすぎたら、隠しようがない。

しかし、自信はあった。

掘り出す前の石塊にすでに彫像の姿を見い出している

芸術家のごとく、

切る前から切り終えた後のイメージが

しっかりと見えていたのであ~る。

出来栄えはプロ並み、ということにしておきたい。

 

母の髪を切ったのはもちろん、初めて。

頭がさっぱりした母は喜んで、

「上手だね。また切ってね」と。

思いがけず和やかな時間になったのでありました。