今、「彼」は経済大国の恵まれた環境の中で、
便利で快適な住居に住み、豊かな食生活を享受し、
ゴルフ、海外旅行、独演会、学校創設等、
多彩な活動に従事しながら、
固有の伝統的文化にも浴し、忙しく自由に日々を送っている。
しかし、ひとつ大きな不満があった。
その自由というのは、海の向こうにいる御主人様の掌の中だけの限られた自由なのであった。
もういい大人のはずなのに、
「家」に関わる重要案件については海の向こういる御主人様の
許可なしには何もできないのだった。
70余年前、その御主人様との戦に負けて、
どさくさの中で押し付けられた「家訓」を変えたいと
祖父の代から長年願っているのだが、未だ日の目を見ない。
そこで、御主人様が許してくれそうなことをはじめから忖度して、
ちまちまと変えていくことにした。
中でも、御主人様の世界戦略について行って、
後ろの方でいいから参戦する栄誉を得るための「解釈家訓」を
成し遂げたのは近年まれに見る大きな成果であった。
御主人様に首根っこを押さえつけられたままでもいいから、
気に喰わない相手に最新兵器を見せつけて、
一丁前に戦ができる体制がとれれば、
まさに、まさにですね、
祖父が申していたように、ですね、
「民族的自信と独立」が回復されると思っておるわけでごじゃます。
あれれ?「彼」の声が聞こえてきた?
以下、わが独り言。
それにしても、でございますよ、
長年のご奉公で、従属モードに適応しすぎてしまったのか、
随分とねじくれた自尊心ではありませんか。
唯一の被爆国でありながら、御主人様に遠慮して
核兵器禁止条約に賛成の意を表すこともできなかったとは、
何と立派な「民族的自信と独立」でありましょう。
自民党の憲法改正草案等には
「長い歴史と固有の文化」「日本らしい日本の姿」などの文言が
多々見られるそうですが、
「長い歴史と固有の文化」は、
いちいち憲法に明記しなくては継承できないのでしょうか。
日本文化はそんなやわな文化なのでしょうか?
そんなことより、人権、自由、平等、平和といった人類の普遍的価値について一家言を持ち、世界に発信できる国になる方が
よほど「民族的自信」を回復することになるのではないでしょうか。
ぶつぶつ……
