最後の診療でした。
今はほぼ京都ブログですが、
(北野さんの花手水)
ブログの始まりは現在大学生の息子が不登校になったことから
子育ての記事が多くを占めました。
三男は小学校4年のときに体に変調をきたし、
朝起きられなかったり、ひどい頭痛を訴えたり、
食欲がなくなり、成長期にもかかわらず、だんだん体重が減りました。
精神的にも不安定で、よく泣いたり、怒ったりするようになりました。
かかりつけ医に行ったり、大きな病院でMRI撮ってもらっても
とくに悪いところはなく、思春期外来も診ているという小児科医に行きました。
そこで初めて起立試験をして、
「起立性調節障害」という診断を受けました。
「本人が行きたいというまで、学校を休みましょう。
ただしこの人は時間がかかります。」
と、言われました。
それから5年間学校に行かない日が続きました。
「明日は行ける、来月は行ける、年が明けたら行ける」
と思いながら、ずっと行けなくて、出口の見えない日々でした。
いろんな人に相談しましたが、
友人の精神科医に相談したとき、
「そんなに手間暇のかかることをされる先生は
いい先生ですね。」と言われました。
先生には大学の臨床心理センターを紹介され、
プレイセラピーに通ったり、
勉強意欲が湧いたころには、
学習サポートということで、心理学部の大学院生を
家庭教師として紹介していただきました。
プレイセラピーの臨床心理士の先生にも5年くらいお世話になったのですが、
大学の入学書類を出したときにばったり出会いました。
前職を辞めて、今は息子の通う大学にお勤めなのだそうです。
それにもご縁を感じました。
本当に長い間お世話になりましたが、
この度閉院されることになりました。
そして最後の診療に二人で参りました。
「あなたにはおかあさんがついているから大丈夫ですよ。
それでも主治医というのはいつまでも患者さんが気になるものなのです。
またいつでも連絡がとれるように、連絡先は残しておきますから、
何かあったら、連絡をください。
今度会うときはボランティアですから。」
以前にも転記しましたが、
主治医が新聞の健康欄に書いた記事を紹介します。
夏休みが終わり、登校できなかった子どもは親たちと苦しみ、不安が募るころです。長い休みは疲れきった心身を休め、「学校に行かなければ」と自分を 追い込まなくてすみます。ですから、夏休みが1週間短くなって大きな痛手を受けているのは、これらの子供たちです。
子供たちはしんどさが極まると普段難なくできる身づくろいや入浴、散髪ができなくなります。食事のとり方も偏ります。自分を責め、不安が高ずると眠れなく なった結果、起きられず、昼夜逆転にいたってしまいます。ゲームやインターネット、ケータイに没頭するためだと誤解されがちですが、むしろそれらに救われ ている様子が伝わってきます。
家族がこどものしんどさを理解し、家が安心の場となり、勉強や交友も無理をさせず、子供に任せていると、自分の存在に自信を得ていきます。これがに力になって、社会に踏み出していくさまをたくさんみせてもらいました。
9月に入ると自殺防止週間があります。ひそかに「きえてなくなりたい」と、自分の存在価値が揺らいでいる子供たちに、「たいせつに思っている」と、大人が確かに伝えることが大切だと感じています。
受験も、志望校が早く決まると準備が十分出来ますが、周りから追い込まれると焦って混乱して、余計決まらず、焦って決めると、本当の自分の希望と齟 齬(そご)を生じ、進学後にしんどくなって、休学や退学になることが多々あります。勉強をやらなければならないと分かっていても、消耗している時はかえっ て手に付かず、責められると逃げ場を失います。任せていると、ぎりぎりでも志望校がおのずから見えてきて、勉強に驚くほど拍車がかかるさまを見せてくれる のですが……。
スポーツやけいこごと、受験で追い込まれて自身を傷つけたり、自ら命を絶つ子どもたちがいます。子どもにとっては、生きていることとそうでないこ とが、大人が思うより極めて近く、背中合わせだと感じます。
(引用終わり)
長い間本当にありがとうございました。
この記事はコロナ前のものですが、
今子供の自殺がコロナ以降増えているのだそうです。
かけがえのない命守りたいです。
