神話について(皇后陛下)
「史実ではないかもしれないが、
その国の文化を知る上で神話は重要」
という趣旨のことをおっしゃったそうで、
出典を探していたら、
1998年に開かれたニューデリーの国際児童図書評議大会の基調講演でした。
宮内庁のサイトを読むと、その講演全体がもうすばらしい!
神話について語られているところだけをコピペします。
疎開されているときに、お父様が本を届けられたそうです。
父がどのような気持ちからその本を選んだのか,寡黙な父から,その時も,その後もきいたことはありません。しかしこれは,今考えると,本当によい贈り物であったと思います。なぜなら,それから間もなく戦争が終わり,米軍の占領下に置かれた日本では,教育の方針が大巾に変わり,その後は歴史教育の中から,神話や伝説は全く削除されてしまったからです。
私は,自分が子供であったためか,民族の子供時代のようなこの太古の物語を,大変面白く読みました。今思うのですが,一国の神話や伝説は,正確な史実ではないかもしれませんが,不思議とその民族を象徴します。これに民話の世界を加えると,それぞれの国や地域の人々が,どのような自然観や生死観を持っていたか,何を尊び,何を恐れたか,どのような想像力を持っていたか等が,うっすらとですが感じられます。
父がくれた神話伝説の本は,私に,個々の家族以外にも,民族の共通の祖先があることを教えたという意味で,私に一つの根っこのようなものを与えてくれました。本というものは,時に子供に安定の根を与え,時にどこにでも飛んでいける翼を与えてくれるもののようです。もっとも,この時の根っこは,かすかに自分の帰属を知ったという程のもので,それ以後,これが自己確立という大きな根に少しずつ育っていく上の,ほんの第一段階に過ぎないものではあったのですが。
又,これはずっと後になって認識したことなのですが,この本は,日本の物語の原型ともいうべきものを私に示してくれました。やがてはその広大な裾野に,児童文学が生まれる力強い原型です。そしてこの原型との子供時代の出会いは,その後私が異国を知ろうとする時に,何よりもまず,その国の物語を知りたいと思うきっかけを作ってくれました。私にとり,フィンランドは第一にカレワラの国であり,アイルランドはオシーンやリヤの子供達の国,インドはラマヤナやジャータカの国,メキシコはポポル・ブフの国です。これだけがその国の全てでないことは勿論ですが,他国に親しみをもつ上で,これは大層楽しい入口ではないかと思っています。
自分のアイデンティティーの根っこには、神話があるという点で、河合先生と共通しています。この講演の中では、
第二次世界大戦中、適国語は禁止されましたが、
編集者は子どもたちに世界中の話を読ませてあげたいと
願っていたことにも触れられています。
朝ドラの《花子とアン》にはまさにそのことも描かれていて、
そういう意味でもあのドラマは広く支持されたのだなと思いました。
ただ今の時代、娯楽があふれすぎて、
読書よりもテレビ、テレビよりも携帯、動画
うーん。