■過香積寺 王維(701~761) 唐代(盛唐)の詩人 画家でもあり、水墨画の開祖とも呼ばれる。
不知香積寺 知ら不(ず)香積寺(こうせきじ)
数里入雲峰 数里雲峰(すうりうんぽう)に入(い)る
古木無人径 古木人径無(こぼくじんけいな)し
深山何処鐘 深山何処鐘(しんざんいづこのかね)ぞ
泉声咽危石 泉声危石(せんせいきせき)に咽(むせ)び
日色冷青松 日色青松(にっしょくせいしょう)に冷(ひややか)なり
薄暮空潭曲 薄暮空潭(はくぼくうたん)の曲(くま)
安禅制毒竜 安禅毒竜(あんぜんどくりゅう)を制(せい)す
数里入雲峰 数里雲峰(すうりうんぽう)に入(い)る
古木無人径 古木人径無(こぼくじんけいな)し
深山何処鐘 深山何処鐘(しんざんいづこのかね)ぞ
泉声咽危石 泉声危石(せんせいきせき)に咽(むせ)び
日色冷青松 日色青松(にっしょくせいしょう)に冷(ひややか)なり
薄暮空潭曲 薄暮空潭(はくぼくうたん)の曲(くま)
安禅制毒竜 安禅毒竜(あんぜんどくりゅう)を制(せい)す
香積寺は一体何処にあるのだろう
山道を辿るうち、早くも雲湧く峰峰の中へと分け入る心地
辺りはうっそうと木々が生い茂り、人の通う道も無い
何処からか鐘の音が聞こえてきた
泉の水は高くそそり立つ岩に当たって、むせぶように響く
日の光は青い松に射して冷ややに輝く
私は夕闇迫る人気のない淵の辺で、心静かに座禅を組んで煩悩をしずめるのだ
山道を辿るうち、早くも雲湧く峰峰の中へと分け入る心地
辺りはうっそうと木々が生い茂り、人の通う道も無い
何処からか鐘の音が聞こえてきた
泉の水は高くそそり立つ岩に当たって、むせぶように響く
日の光は青い松に射して冷ややに輝く
私は夕闇迫る人気のない淵の辺で、心静かに座禅を組んで煩悩をしずめるのだ
※香積寺・・・名刹
王維は30歳で妻を失い、それから仏教に帰依した。再婚もしなかった。
王維は30歳で妻を失い、それから仏教に帰依した。再婚もしなかった。
■竹里館
独坐幽篁裏 独り坐す幽篁(ゆうこう)の裏(うち)
弾琴復長嘯 弾琴復(だんきんま)た長嘯(ちょうしょう)
深林人不知 深林(しんりん)に人知ら不(ず)
明月来相照 明月(めいげつ)来たって相(あ)い照らす
弾琴復長嘯 弾琴復(だんきんま)た長嘯(ちょうしょう)
深林人不知 深林(しんりん)に人知ら不(ず)
明月来相照 明月(めいげつ)来たって相(あ)い照らす
ただ一人静かな竹林の中に座って
琴を爪弾き詩を口ずさむ
この奥深い竹林の中の楽しみを誰も知らない
ただ明月だけが私を訪ね照らしてくれる
琴を爪弾き詩を口ずさむ
この奥深い竹林の中の楽しみを誰も知らない
ただ明月だけが私を訪ね照らしてくれる
■終南山
太一近天都 太一天都(たいいつてんと)に近(ちか)く
連山致海隅 連山海隅(れんざんかいぐう)に致る
白雲廻望合 白雲望(ぼう)を廻(めぐ)らせば合し
青靄入看無 青靄(せいあい)看(かん)に入(い)って無し
分野中峰変 分野(ぶんや》中峰(ちゅうほう)変じ
陰晴衆壑殊 陰晴衆壑(いんせいしゅうがく)殊(こと)なる
欲投人処宿 人処(じんしょ》に投(とう)じ宿《しゅく)せんと欲し
隔水問樵夫 水を隔(へだ)てて樵夫(しょうふ)に問う
連山致海隅 連山海隅(れんざんかいぐう)に致る
白雲廻望合 白雲望(ぼう)を廻(めぐ)らせば合し
青靄入看無 青靄(せいあい)看(かん)に入(い)って無し
分野中峰変 分野(ぶんや》中峰(ちゅうほう)変じ
陰晴衆壑殊 陰晴衆壑(いんせいしゅうがく)殊(こと)なる
欲投人処宿 人処(じんしょ》に投(とう)じ宿《しゅく)せんと欲し
隔水問樵夫 水を隔(へだ)てて樵夫(しょうふ)に問う
終南山は都近くに聳え
連なる山は海にまで続く
山にかかる白雲は眺めるうちに視界を閉ざし
あおい靄はその中に入るとかえって見えない
峰のかたちは様々に姿を変え
天候は谷によって異なる
一夜の宿を得ようと岸のきこりに声をかける
連なる山は海にまで続く
山にかかる白雲は眺めるうちに視界を閉ざし
あおい靄はその中に入るとかえって見えない
峰のかたちは様々に姿を変え
天候は谷によって異なる
一夜の宿を得ようと岸のきこりに声をかける
■山居秋瞑
空山新雨後 空山(くうざん)新雨の後(のち)
天気晩来秋 天気晩来(てんきばんらい)の秋(あき)
名月松間照 名月松間(しょうかん)に照り
清泉石上流 清泉石上(せいせんせきじょう)に流る
竹喧帰浣女 竹喧(たけかしましく)して浣女(かんじょ)帰る
蓮動下猟舟 蓮動(はすうご)きて猟舟(りょしゅう)下る
随意春芳歇 随意(ずいい)なり春芳(しゅんぽう)の歇(や)むところ
王孫自可留 王孫(おうそん)自ら留(とどま)る可
天気晩来秋 天気晩来(てんきばんらい)の秋(あき)
名月松間照 名月松間(しょうかん)に照り
清泉石上流 清泉石上(せいせんせきじょう)に流る
竹喧帰浣女 竹喧(たけかしましく)して浣女(かんじょ)帰る
蓮動下猟舟 蓮動(はすうご)きて猟舟(りょしゅう)下る
随意春芳歇 随意(ずいい)なり春芳(しゅんぽう)の歇(や)むところ
王孫自可留 王孫(おうそん)自ら留(とどま)る可
雨のあがったあとの物寂しい山
夕暮れなるとひと際秋らしい
月の光は松の葉越しに照り映え
清らかな泉は水は石の上を流れる
竹がざわめきくと思ったら洗濯を終えた娘がお帰りらしい
川面の蓮が揺れたのは、川を下る漁舟の波のせい
春の花など勝手散ってしまうがいい
私はこの秋の山中に留まっていたいのだ
夕暮れなるとひと際秋らしい
月の光は松の葉越しに照り映え
清らかな泉は水は石の上を流れる
竹がざわめきくと思ったら洗濯を終えた娘がお帰りらしい
川面の蓮が揺れたのは、川を下る漁舟の波のせい
春の花など勝手散ってしまうがいい
私はこの秋の山中に留まっていたいのだ
■送元二使安西
渭城朝雨滬軽塵 渭城(いじょう)の朝雨軽塵(ちょううけいじん)を滬(うるお)し
客舎青青柳色新 客舎青青柳色新(かくしゃせいせいりゅうしょくあらた)なり
勧君更尽一杯酒 君に勧む更に尽せ一杯の酒
西出陽関無故人 西のかた陽関(ようかん)を出(いず)れば故人無からん
客舎青青柳色新 客舎青青柳色新(かくしゃせいせいりゅうしょくあらた)なり
勧君更尽一杯酒 君に勧む更に尽せ一杯の酒
西出陽関無故人 西のかた陽関(ようかん)を出(いず)れば故人無からん
今朝の渭城の町は夜来の雨が土埃をしっとりと潤し
芽吹いたばかりの旅籠の柳は雨を受けていっそう青々としている
旅立つ君よ さあもう一杯酒を飲みたまえ
はるか西の関所を越えると
もう一緒に酒を酌み交わす友人は居ないのだから
芽吹いたばかりの旅籠の柳は雨を受けていっそう青々としている
旅立つ君よ さあもう一杯酒を飲みたまえ
はるか西の関所を越えると
もう一緒に酒を酌み交わす友人は居ないのだから
陽関三畳・・・別れの際、この詩を三度詠む慣わしあったのだという。
送別の師の代表作。
送別の師の代表作。
■酌酒与裴迪
酌酒与君君自寛 酒を酌(く)んで君に与う君自ら寛(ゆるう)うせよ
人情飜覆似波瀾 人情の飜覆波瀾(はんぷくはらん)に似たり
白首相知猶按剣 白首(はくしゅ)の相知(そうち)すら猶(な)を剣を按じ
朱門先達笑弾冠 朱門(しゅもん)の先達(せんだつ)は弾冠(だんかん)を笑《わろ)う
草色全経細雨湿 草色全く細雨を経て湿(うるお)い
花枝欲動春風寒 花枝動(かしうご)かんと欲して春風寒し
世事浮雲何足問 世事(せいじ)浮雲(ふううん)何ぞ問うに足らんや
不知高臥且加食 知不(しらず)高臥(こうが)して且(しばら)く食(さん)を加えんのみ
人情飜覆似波瀾 人情の飜覆波瀾(はんぷくはらん)に似たり
白首相知猶按剣 白首(はくしゅ)の相知(そうち)すら猶(な)を剣を按じ
朱門先達笑弾冠 朱門(しゅもん)の先達(せんだつ)は弾冠(だんかん)を笑《わろ)う
草色全経細雨湿 草色全く細雨を経て湿(うるお)い
花枝欲動春風寒 花枝動(かしうご)かんと欲して春風寒し
世事浮雲何足問 世事(せいじ)浮雲(ふううん)何ぞ問うに足らんや
不知高臥且加食 知不(しらず)高臥(こうが)して且(しばら)く食(さん)を加えんのみ
さあ、酒をついで差し上げる
一杯飲んでゆったりしなさい
人情なんて打ち寄せる波のようにくるくる変わるもの
古くから友人でだろうと、利害の為には剣を交えることだってあるのだから
自然界は時の流れに従って動き人様々に生きている
そんなことを気にせず、関わらずに眺めるだけにしておくのがいい
一杯飲んでゆったりしなさい
人情なんて打ち寄せる波のようにくるくる変わるもの
古くから友人でだろうと、利害の為には剣を交えることだってあるのだから
自然界は時の流れに従って動き人様々に生きている
そんなことを気にせず、関わらずに眺めるだけにしておくのがいい
人の世は浮雲のように当てのないものだから
あれこれ考えないで超然としているのが一番だ
あれこれ考えないで超然としているのが一番だ
■帰嵩山作
清川帯長薄 清川長薄(せいせんちょうはく)を帯び
車馬去間間 車馬(しゃば)去って間間(かんかん)たり
流水如有意 流水意(りゅうすいい)有るが如く
暮禽相与還 暮禽(ぼきん)相い与(とも)に還る
荒城臨古渡 荒城古渡(こうじょうこと)に臨み
落日満秋山 落日秋山(らくじつしゅうざん)に満つ
迢逓嵩高下 迢逓(ちょうてい)たり嵩高(すうこう)の下(もと)
帰来且閉関 帰来且(きらいしばら)く関を閉(とざ)さん
車馬去間間 車馬(しゃば)去って間間(かんかん)たり
流水如有意 流水意(りゅうすいい)有るが如く
暮禽相与還 暮禽(ぼきん)相い与(とも)に還る
荒城臨古渡 荒城古渡(こうじょうこと)に臨み
落日満秋山 落日秋山(らくじつしゅうざん)に満つ
迢逓嵩高下 迢逓(ちょうてい)たり嵩高(すうこう)の下(もと)
帰来且閉関 帰来且(きらいしばら)く関を閉(とざ)さん
嵩山のふもとの清んだ川は草木の間を縫って流れ
川沿いを行く車馬はゆるゆると進む
流れる水も何やら懐かしげであり
夕空を飛ぶ鳥たちは連れ立ってねぐらに帰る
寂れた城壁が古い渡し場に面して立ち
夕陽の光は秋の山に満ち満ちている
遥かなる嵩山の麓
私は其処に帰っていき、しばらく門を閉ざし自分を見つめなおす事にしよう
川沿いを行く車馬はゆるゆると進む
流れる水も何やら懐かしげであり
夕空を飛ぶ鳥たちは連れ立ってねぐらに帰る
寂れた城壁が古い渡し場に面して立ち
夕陽の光は秋の山に満ち満ちている
遥かなる嵩山の麓
私は其処に帰っていき、しばらく門を閉ざし自分を見つめなおす事にしよう
※嵩山は中国五岳の一つ。仏教寺院の少林寺がある。