Michael D. Lewek,Claire E. Bradley, Clinton J. Wutzke, and Steven M. Zinder:The Relationship Between Spatiotemporai Gait Asymmetry and Balance in Individuals With Chronic Stroke.Journal of Applied Biomechanics, 2014, 30, 31-36

 

Keywords: stroke, gait, spatiotemporal asymmetry, balance, rehabilitation 

 

【Background】

脳卒中後の転倒はしばしばバランス不足によって生じている。歩行パターンがバランスの崩れを引き起こす可能性があることを示唆している。つまり脳卒中後の歩行は時空間的非対称が生じやすく、バランスを低下させる可能性がある。

 

【Purpose】

本研究の目的は、歩行における時空間的非対称性とバランス制御との関係を明らかにすることである。

 

【Methods】

対象は、慢性脳卒中患者39名(発症後:23M ,男女比:男性23名・女性16名,年齢:56.7±10.5歳,身長:1,72±0,10m,体重:87.5±10.2kg,右麻痺22名)とした。取り込み基準は、支持物なし起立可能、介助なく10m歩行が可能な者とした。下肢装具(AFO)および補助器具(例えば杖)は許可した。除外基準は、小脳病変、本疾患以外の歩行能力障害(例えば、パーキンソン病)、脳卒中以前からのバランス低下または原因不明の転倒歴、または著明な認知能力低下した者とした。

 

測定項目は快適・最大歩行速度でのステップ長、立脚期時間および遊脚期時間における非対称比とした。ステップ長さの非対称性は1.08、立脚期時間の非対称性は1.05、遊脚期時間の非対称性は1.06と定義した

バランスのアウトカムには、Berg Balance Scale、歩行時の歩隔、立位時の荷重比とした。

 

【Results】

歩隔は、快適・最大歩行速度ともに立脚期時間と遊脚期時間の非対称性と相関していた(r = 0.39-0.54)。

 

BBSは、快適・最大歩行速度ともにステップ長とスイング時間の非対称性(r = -0.36〜-0.63)と相関していた。

 

最大歩行速度において、荷重比はスタンス時間の非対称性(r = -0.41)と相関していた。

 

 

 

前額面での姿勢制御は、随意的な働きが強いことが解明されています。

本研究のバランス機能に前額面での姿勢制御である歩隔がアウトカムとして含まれているのは面白いなと思いました。

Virginia W. Chu , T. George Hornby , Brian D. Schmit :Perception of lower extremity loads in stroke survivors .Clinical Neurophysiology 126 (2015) 372–381 

 

【Objective】

本研究の目的は、脳卒中患者の歩行制御に対する静的および動的下肢の知覚および感覚障害の影響を理解することとした。

 

【Methods】

対象者は慢性期脳卒中患者10名とした(平均年齢=57.27歳、SD=7.62)。

コントロール群は、年齢を合わせた群(平均年齢=57.42、SD=8.25)および若年者群(平均年齢=25.88、SD=3.6795)とした。

 

測定機器は、BWSTT、スプリットベルトトレッドミル(フォースプレート)、8つのカメラモーションキャプチャーシステム(マーカー使用)とした。BWSTTは、歩行周期に応じて免荷量を調節できるようにLabVIEWソフトウェアを作成した。免荷量変化のタイミングは、歩行周期をパーセンテージ化にして計算された。

歩行周期は、フォースプレートによって測定された足圧中心(COP)に基づいてリアルタイムで同定された(Roerdink et al,2008)。ヒールストライクは、COPの内側 - 外側軸の大きな変化によって検出した。

 

臨床的測定項目は、FMAの感覚と下肢運動項目、MAS(ハムストリングスと下腿三頭筋)、膝関節の等尺性伸展トルク(麻痺肢・非麻痺肢)とした。

測定機器の評価項目は、トレッドミルにおいて静的および動的荷重量を測定した。また立位と歩行の荷重対称性を評価した。静的荷重対称性は、麻痺側と非麻痺側との体重の%の差を計算した。歩行の荷重対称性は、歩行周期全体で平均した各脚で荷重された体重の%を計算した。これは動的荷重対称性の測定におけるタイミングと力の情報を提供する。

荷重知覚には、PESTアルゴリズムを用いた。パイロット試験に基づいて、初期荷重量の差として30%体重(BW)とした。ステップごとに、参加者は「どの脚がより重くなっているか」を尋ねられた。各回答の後、50%BWで始まった脚を調整し、初期ステップサイズは7%BWに設定した(Table 3)。

上記の測定項目は3条件(ヒールストライク、ミッドスタンス、プッシュオフ)で実施した。各条件において、BWSが歩行周期の実施中に一定であることを保証するために、ステップ間のBWSの変化が異なる時間にトリガーされた(Fig 2)。

 

知覚誤差は、2肢間での絶対荷重誤差と定義した(Fig 3)。

 

 

 

 

 

【Results】

脳卒中患者はコントロール群と比較し、動的荷重知覚、協調性、固有感覚、バランスおよび歩行対称性において有意にパフォーマンスが悪かった。

歩行対称性は、静的および動的荷重知覚と相関したが、年齢・協調性・固有受容・バランスとは相関しなかった。

 

脳卒中患者は、他群と比較して最も低い応答精度(p <0.0001)であり、 2つのコントロール群は、応答精度が有意差はなかった(p = 0.51)。

3つの群すべての応答精度は、他条件(ヒールストライク:p = 0.013、ミッドスタンス:p = 0.0075)と比較しpush offで最も低く、一方でヒールストライクおよびミッドスタンス条件では有意差はなかった(p= 0.8359)

 

同様に脳卒中患者は、他群と比較して最も高い知覚誤差(p <0.001)であり、2つのコントロール群は、知覚誤差に有意差はなかった(p = 0.70)。

3つの群すべての知覚誤差は、プッシュオフ条件において有意に高かったが、ヒールストライクおよびミッドスタンス条件では有意差がなかった(p= 0.31)。

 

静的荷重非対称性(静止立位時)および動的荷重非対称性(歩行時)と応答精度の回帰直線はR2=0.411および=0.474であった。

 

動的荷重知覚誤差および応答精度との相関のデータには、ヒールストライクが使用された。静的力知覚、動的荷重応答精度、および力の検出閾値は、立位中の荷重対称性と有意に相関した(p <0.05)。動的荷重知覚誤差と応答精度および力検出閾値は、動的荷重の非対称性と相関していた。立位および歩行時の荷重非対称は相関していた(p <0.0001)。

 

 

方法でBWSTTを用いた荷重知覚試験をしているのは、かなりユニークです。

内容は評価項目が多すぎて、もう一度読み直そうと思います。

ただ、今回の結果から

脳卒中患者さんでは特にPush off時の応答精度および知覚誤差が生じていること、歩行の対称性には荷重知覚の関連が強いことがわかりました。

 

応答精度と知覚誤差の相関にはヒールストライクのデータを用いたって記載されているということは、最後の歩行対称性との関連はヒールストライクについて??

ここがモヤモヤします・・・

 

Koji Ohata , Tadashi Yasui , Tadao Tsuboyama , Noriaki Ichihashi :Effects of an ankle-foot orthosis with oil damper on muscle activity in adults after stroke.Gait & Posture 33 (2011) 102–107  

 

当院で使用しているパシフィックサプライ社製Gait Judge Systemが国際誌に載っていたのでOut putしておきます。それもGait & Postureなので確かですね。

 

これは間違いなく臨床家として確かなデバイスである根拠になります!

 

【Measurement procedure 】(かなり細かいですが・・・)

EMG測定は、TeleMyoシステム(Noraxon Inc.、USA)を用いて1500Hzで行った。 表面筋電図は主な足関節背屈・底屈筋であるTA,GAS,SOLの下肢筋の筋腹上に、バイポーラ銀 - 塩化銀使い捨て?表面電極を配置した(ストローク群の麻痺肢と健常群の右下腿)。
 TAの電極配置は、脛骨外側1-2cmの線上で1/3の位置とした。 GASの電極配置は、腓骨頭と踵骨間の近位1/3の交点に配置した。 SOLの電極配置は、大腿骨の内側顆と内果間の線上に1/2〜2/3の位置に配置した。歩行周期を記録するために、2つのフットスイッチをそれぞれ第1中足骨頭および麻痺側の踵に配置した。
AFO-OD(油圧式)を用いた歩行中の足関節底屈制動トルク(PFRT)を測定するために、ロードセルをオイルダンパーユニットの油圧シリンダの上に挿入した。油圧シリンダが抵抗力を発生すると、油圧シリンダが反力としてロードセルを押す。したがって、反力の測定は、油圧によるPFRTを反映していた。 AFO-ODを使った足関節角度は、関節に取り付けられた電位差計で同時にモニタリングした。Fig1 Cは、健常群における歩行周期中の典型的な変化を示す。足関節角度が0°を超え底屈したときに油圧抵抗が発生した。したがって、PFRTは、荷重応答期(LRP)および前遊脚期(PSw)の間に2つのピークを示した。検証のため、AFO-PS(底屈制限)を使った足関節角度でも電位差計を用いて同時にモニターした。
各被験者における10歩行周期のデータからEMGパラメータ、底屈トルク(ロードセル)および足関節角度(電位差計)から取得した。歩行周期時間は、歩行周期のパーセンテージ(%GC)として正規化した。 EMG記録は、16〜500Hzの間でバンドパスフィルタを行った。全波整流は、50ms間隔で二乗平均平滑化アルゴリズム?を使用して実行された。 LRP中の筋活動の変化を測定するために、0%GCから10%GCまでのEMG振幅のピークは20%GC〜100%GCの最大値を用いて正規化された。
ロードセルと電位差計は、EMGとフットスイッチを備えたTeleMyoのシステムと同期されていた。 EMGは1500Hzでサンプリングされ、20Hzのローパスフィルタを行った。PFRTピークが得られ、足関節角度の変化は初期接地からLRP中の足関節底屈ピークまで計算された。背屈角度は正の値で表した。
脳卒中患者群では、これらの測定を2週間後に繰り返し、試験 - 再検査の信頼性を決定した。脳卒中群の11人のうち10人は2回目の測定に参加した。 1人の参加者は健康上の理由から不参加となった。 AFO-ODおよびAFO-PSともに、初期接地からの足関節関節角度の変化に対するICC(1、k)は0.89であり、LRP中でのAFO-ODのPFRTピークに対するICC(1、k)は0.95であった。

 

 

【Participants】

脳卒中の成人患者は、AFO-ODユーザーリスト(川村義肢株式会社)から募集された。13人の脳卒中患者(全て男性)は、少なくとも1ヶ月間AFO-ODで歩行していた。取り込み基準は(1)6ヶ月以上経過した初発脳卒中患者(2)家族支援を受けながら自宅で自立生活している(3)短下肢装具および/またはT字杖で自立歩行可能 (5)整形外科疾患による歩行中の痛みなし、(6)心臓病による活動の制限なし(7)安静時心拍数<120拍/分、収縮期血圧120mmHg (8)認知障害による課題理解が困難ではない(9)歩行周期において中間位を超えた背屈を制限するような過度な拘縮がないこととした。健常群は、年齢が一致した13人の健康な男性で構成され、正常な範囲での関節運動および筋力を示し、明らかな歩行異常はなかった。
健常群およびストローク群では、それぞれ2人の参加者からのデータを除外した。それぞれ靴とアーチファクトの影響で除外された。ストローク群では、測定手順の誤りおよび足関節背屈制限により除外した。
ストローク群の参加者の身体機能は、BRS・modified Rankin Scale・mAS・ハンドヘルドダイナモメーター(足首背屈筋および足底屈筋の等尺性筋力)で測定した。

 

 

【Statistical analysis】

各群での3条件(AFO-OD、AFO-PSおよび装具なし)の歩行速度を比較するために、多重比較法(Bonferroni)を使用した。 LRP中のPFRTピークおよび足関節角度の変化は、Mann-Whitney U検定を用いて各群間で比較した。 LRP中のEMG振幅は、各群間でWilcoxon符号 - 順位検定を用いて比較した。 PFRTピークに対するAFO-ODの重要性を決定するために、AFO-OD使用によるPFRTピークと歩行速度との関係およびAFO-PS使用とAFO-OD使用の比較によるEMG振幅のパーセントは体重で調整された部分相関係数により決定された。 統計的有意水準はp <0.05に設定した。

 

【Result】

AFO-PSおよびAFO-ODの両方が歩行速度を改善した(p = 0.012、0.007)。

 

AFO-ODを用いた場合、初期接地後の足関節角度は両群で有意差がなかった。

またAFO-PS使用条件で足関節角度は有意差を認めた(p = 0.033)。特にストローク群は、初期接地後に背屈を示した。
健常者群では、各下肢筋のEMG振幅に有意な装具条件間で有意差はなかった。しかし、ストローク群では、GAS筋活動はLRP中にAFO-ODがAFO-PSと比較し有意に低かった(p = 0.041)。

AFO-ODとAFO-PSの間でのEMG振幅差(パーセントの減少)は、LRP中のピークPFRTと有意に相関していた。

 

 

【Discussion】

AFO-ODで達成された滑らかな足底運動は、伸展反射によって引き起こされる過度の活動を減少させる可能性がある。

Limitationに関して、本研究では膝または他関節の運動学的分析に欠けており、AFO-ODがこれらのパラメータに影響を与えるかどうかは分かっていない。