移乗について2 | 理学療法士SMILEの勉強生活

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理学療法士である私SMILEの日常を、仕事中心に綴った日記です。
国家試験や主催勉強会の情報も発信しています。

前回の続きの内容になります。


引き続き、学生さんや新人さん向けの内容です。



前回、移乗時は可能な限り患者(利用者)さんに「やってもらう」と書きました。


具体的には介助量に関わらず、特に下肢に力を入れて支持性を発揮してもらいうということです。


僅かまたは一瞬でも良いので、この支持性発揮の有無が大切です。


ただ、下肢での支持が全くできない場合も当然あります。

 

 

そのような場合でも、例えば座位での体幹前屈は可能な場合があります。


移乗時に少しでも重心線を足部直上まで持ってくるためです。


「顔が膝よりも前に出るように倒してください」


「体重が足の上に乗るまで体を倒しますよ」


体幹前傾かつ両上肢を前方に軽く牽引しながら、殿部が離床するのを繰り返して、立ち上がり練習(重心の前方移動)をしてから移乗するのもアリです。


1~2分練習してから移乗するとスムーズにいく場合があります。


ただ、体格差が明らかに大きい場合で、全介助の方は当てはまらないこともあります。


そのような場合は自分の力を過信せず、リスク管理的な面からも必ず他のスタッフに手助けを求めることが重要です。


転倒させてからでは遅いのです。



いずれにせよ、このように下肢だけではなく体幹や上肢、頭頸部などの動きも確認します。


できる部分を見つけて、可能な限りその部分を使ってもらうということです。


例えば下肢・体幹が動かなくても、頸部が動くのであればそれを移乗しやすいように動かしてもらうという訳です。


その動きを正確に伝えるのも、我々の仕事です。


当たり前過ぎる内容を書いているので怒られるかもしれませんが、本当に大切なことです。


それだけ移乗は基本に忠実であって良いと思いますし、その基本通りの動きができれば患者(利用者)さんと介助する側どちらも楽に移乗が可能であると思っています。

 

 

 


そしてもう1つ大切なポイントは、「息を合わせる」ということです。


決してこちらのタイミングだけで移乗させようとしてはダメです。


掛け声は「せーの」でも「いきますよー」でも「1、2、3」でもわかりやすければ問題ないです。


繰り返しますが、主体は患者(利用者)さんです。


患者さんが移乗に対して僅かでも主体的になってくれないと、前回書いた「やってもらう」という項目が実践できません。


だからこそ「これから移乗するぞ」ということをわかってもらい、タイミングよくアシストをする。


これは当たり前のような内容ですが、移乗が苦手な方は本当にこれが実践できていない印象にあります。

 

 


移乗について、前記してきたような文章で言うほど、実践は簡単なものではありません。


しかし、難しいものでもないと思います。


教科書的にもポイントはたくさんありますが、繰り返し練習が必要であることに異論はないと思います。


ただし、考えながら練習しなくては上達しないことだけは覚えておいてください。


あくまでも、実践的なポイントですので細かいポイントは教科書で確認しくださいね。