この間、抗CCP抗体について書いたので、今回はMMP-3についてです。
今回も学生向けに簡潔に行きます
このMMP-3(Matrix Metalloproteinase-3)は線維芽細胞や滑膜細胞、軟骨細胞から分泌される蛋白分解酵素です。
軟骨を構成するプロテオグリカンやコラーゲン等を分解し、軟骨の代謝に重要な役割を果たしています。
RAでは増殖した滑膜細胞からMMP-3が産生されるため、そのマトリックス分解作用により軟骨破壊が生じると考えられています。
要するに、血清MMP-3の高値は増殖性滑膜炎を意味しているという事です。
※ちなみに、産生されたMMP-3が関節液中に貯留し、それが血管やリンパ管を経由して血中に移行し、血清中MMP-3値が上昇すると考えられています。
よって、RAで血清MMP-3濃度が高値を示す場合、または上昇してきた場合は関節破壊の進行が早いことが予測されます。
血清MMP-3は早期RAにおける滑膜増殖と関節破壊の程度を反映するため、病態の把握や治療効果の判定、予後予測などにも大変有用です。
MTXなどの強力な抗リウマチ薬や、生物学的製剤の治療効果により病態が安定すると、MMP-3値は低下します。
また、痛風や変形性関節症などの関節疾患や多くの膠原病では、血清中のMMP-3値は上昇しないので、これらの診断にも有用です。
ただし、SLEや乾癬性関節炎、リウマチ性多発筋痛症や糸球体腎炎でも高値を示すことがあるので、それは知っておかなくてはなりません。