刺青|賽のじ雑記 -546ページ目

刺青と法律 - その弐

刺青と法律について予告していました第二弾です
(って随分と間が開き過ぎですね)

今回は所謂「暴対法」です

こちらは前回(刺青と法律 - その壱)のように「各都道府県の条例」ではなく、正式な(って変ですね)日本国の法律ですので地域によるばらつきがなく全国一律に施行されています

ここでこの法律を見ていきたいのですが、各条文が長いので刺青と関係する部分だけを抜き出しています

本来それでは不十分ですので、総務省行政管理局が官報を基にした法令データ提供システムへのリンクを下にはりますのでご確認ください

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律

では見ていきましょう

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
(平成三年五月十五日法律第七十七号)
最終改正:平成二〇年六月六日法律第五二号

第一章 総 則

(目的)
第一条 この法律は、暴力団員の行う暴力的要求行為等について必要な規制を行い、及び暴力団の対立抗争等による市民生活に対する危険を防止するために必要な措置を講ずるとともに、暴力団員の活動による被害の予防等に資するための民間の公益的団体の活動を促進する措置等を講ずることにより、市民生活の安全と平穏の確保を図り、もって国民の自由と権利を保護することを目的とする。


この法律の第一条でその目的が定義されています

暴力団と暴力団員の活動や抗争は市民にとって危険であるからその保護の為に様々な措置をとる、ということですね

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 暴力的不法行為等 別表に掲げる罪のうち国家公安委員会規則で定めるものに当たる違法な行為をいう。
二 暴力団 その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。
三 指定暴力団 次条の規定により指定された暴力団をいう。
四 指定暴力団連合 第四条の規定により指定された暴力団をいう。
五 指定暴力団等 指定暴力団又は指定暴力団連合をいう。
六 暴力団員 暴力団の構成員をいう。
七 暴力的要求行為 第九条の規定に違反する行為をいう。
八 準暴力的要求行為 一の指定暴力団等の暴力団員以外の者が当該指定暴力団等又はその第九条に規定する系列上位指定暴力団等の威力を示して同条各号に掲げる行為をすることをいう。


この法律で該当する対象を定義しています

第四章 加入の強要の規制その他の規制等

第一節 加入の強要の規制等

(少年に対する入れ墨の強要等の禁止)
第二十四条  指定暴力団員は、少年に対して入れ墨を施し、少年に対して入れ墨を受けることを強要し、若しくは勧誘し、又は資金の提供、施術のあっせんその他の行為により少年が入れ墨を受けることを補助してはならない。

(少年に対する入れ墨の強要の要求等の禁止)
第二十五条  指定暴力団員は、他の指定暴力団員に対して前条の規定に違反する行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、又は他の指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助けてはならない。

(少年に対する入れ墨の強要等に対する措置)
第二十六条  公安委員会は、指定暴力団員が第二十四条の規定に違反する行為をしており、かつ、当該行為に係る少年が困惑していると認め、又は当該行為が当該少年の保護者の意思に反していると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
2  公安委員会は、指定暴力団員が第二十四条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、少年に対して入れ墨を施すこと、少年に対して入れ墨を受けることを強要し、若しくは勧誘すること又は資金の提供、施術のあっせんその他の行為により少年が入れ墨を受けることを補助することを防止するために必要な事項を命ずることができる。

第二十七条  公安委員会は、指定暴力団員が第二十五条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、他の指定暴力団員に対して第二十四条の規定に違反する行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆すこと又は他の指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助けることを防止するために必要な事項を命ずることができる。


ここで具体的に刺青に関する規定が登場しますが、これらはどれも「少年」に対しての「刺青(ここでも法律では”入れ墨”と表記されていますね)」を彫ることを強要、勧誘、補助することにつながるような「行為」ついての記述になりますから、以前紹介した「青少年保護に関する条例」と「対象となる行為」が重なりますね。

わかりやすい違いは「罰則」に対して特別に言及がなく、これらの行為が認知された場合、「公安委員会は防止するために必要な事項を命ずることができる」としている点でしょう

また法律というのは細かく改訂や追加などが行われており、下により

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律施行規則
(平成三年十月二十五日国家公安委員会規則第四号)

最終改正:平成二〇年一一月一七日国家公安委員会規則第二五号

 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定に基づき、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律施行規則を次のように定める。

(少年に対する入れ墨の強要等に対する措置命令の方法)
第二十六条  法第二十六条第一項の規定による命令は、別記様式第七号の中止命令書を送達して行うものとする。ただし、緊急を要し中止命令書を送達するいとまがない場合であって、当該命令の内容が複雑なものでないときは、口頭で行うことができる。
2  法第二十六条第二項又は第二十七条の規定による命令(これらの規定に係る仮の命令を除く。)は、別記様式第八号の再発防止命令書を送達して行うものとする。

(離脱の意志を有する者に対する援護の措置等)
第二十七条  法第二十八条第一項の規定により公安委員会が行う援護の措置は、次のとおりとする。

九  指詰め(法第二十条の指詰めをいう。)をしたことによる手指の特徴又は入れ墨を目立たないようにするための施術を受けようとする離脱者又は当該施術を行う者の求めに応じ、当該離脱者の離脱の経緯の説明その他離脱者が当該施術を受けることを容易にするために必要な事項を教示すること。


ということになっているようです

ここで注目する所は「入れ墨を目立たないようにするために~必要な事項を教示する」ってところですが、いったい法律はどんなことを想定しているんでしょう

離脱者といっても最終的には自らの意思で不良になった訳だし、脱退するにあたってそんなことまで要求するような輩がいるんでしょうかね?

以前紹介(刺青と法律 - その壱)した「条例」も今回紹介した「暴対法」もその刺青に関する大部分は「少年」に対する保護を目的としているように思えます

僕らの時代(暴対法施行以前)までは中学を卒業する前から不良の事務所に出入りしていたり、優秀?な奴は中学生で既にスカウトの声が掛かっていたりしたものですが、そんな風景も今は昔

たしかに「大切な将来のある青少年を社会が保護する必要がある」という理屈はもっともです

しかし法律などによって保護することだけが彼ら青少年にとって本当に為になることなのでしょうか?

僕の所にも時々子供たちから「刺青を彫りたいんだけど」とか「刺青師になるにはどうしたら良いですか?」などの問い合わせがあります。

こういった規制がやかましいので、どうしても彼らに対して「事務的に拒絶」するような対応に終始してしまいます

関わること自体がリスキーで、事なかれ主義の対応に自分でも無責任だと感じます

刺青に限らず少年少女の保護の為の規制がヒステリックに叫ばれる現代

我々大人は彼らと真正面から向き合っているのでしょうか?


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