・・ココロのビタミン・・
今日は、「新型うつ」のお話です黄色い花
最近、企業の人事の方とお話すると、かなりの頻度で、話題に出てくる、
新しいタイプのうつ病。ときどき質問を受けることもあるため、
ここで、少し説明をしたいな、と思います。

「うつ病」というと、「抑うつ症状」「自責感・罪悪感が強くなる」

「何に対しても気力がわかない」「興味や関心が低下する」などの

ような症状をイメージされる方が多いと思います。


ところが、新型うつは、仕事に関わるときにだけうつ状態やメンタル不調になったりします。

他人の言動に傷つきやすいのも特徴のひとつです。

周囲の人は、自分のことを理解してくれていないと嘆くこともあります。

大きく違うのは休職中なのに趣味には熱心で、中には、海外旅行に行ってしまったり、

休職中も同僚や上司に迷惑をかけているという認識に乏しく、

権利ばかり主張したりetc の症状があらわれる点です。

           うつ病  ⇔ 新型うつ病

朝に抑うつ気分が出ることが多い ⇔ 夕暮れうつが多い

      自分を責める ⇔ 他責的

      食欲が低下 ⇔ 過食

      眠れなくなる ⇔ 過眠

   攻撃が内側に向かうことが多い(自殺‥) ⇔ 攻撃が外に向かう(暴力‥)

※「新型うつ病」は、正式な病名ではありません。

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そもそも「うつ病」とは?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんので、

簡単にですが、ご説明しますね。

米国精神医学会のDSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引)によると、

うつ病は「感情障害」の中に分類され、さらに症状により

いくつかのカテゴリーに分けられています。

典型的な「うつ病」のケースでは、主に「大うつ病性障害」などにあるような、

<大うつ病エピソード>

ほとんど毎日の抑うつ気分、ほとんどすべての活動における興味、

喜びの著しい減退、疲労感または気力の減退、無価値観や罪悪感などが見られます。


また、「うつ病」の中には、「気分変調性障害」や「気分循環性障害」など、

上記のような<大うつ病エピソード>の基準を満たさない症状が

少なくとも2年以上続くなど、典型的なうつ症状があまり多く見られないケースもあります。


新型うつは、診断基準が明確になってはいませんが、

大うつ病のような明らかな抑うつ状態でありながらも、
他罰的に考えているのなら、非定型うつ病かもしれません。

新型うつは、20~30代の若年層に多くみられ、

「ディスチミア(気分変調症)親和型うつ」などとも呼ばれることもあります。


新型うつの方は、不調であることをオープンに語ることが多く、
その原因を自責ではなく、他責的な傾向でとらえます。

冒頭でお話したように、休職中には、趣味や旅行などを意欲的にこなすのですが、

職場に戻ると再び元気が無くなるという傾向もあります。


自分勝手なだけでは?甘えなのでは?と捉えられがちなのですが、

本人は仕事にかかわる間や前後には典型的なうつ状態に
陥っていて、不眠やパニック障害などさまざまな身体症状を併発する場合も多く、

心身共につらい状態ではあるのです。

また、社会不安障害や、回避性人格障害との関連もありそうです。

チューリップピンク新型うつの原因

いろいろと考えられていますが、4つご紹介します。


①挫折体験や理不尽な状況に遭遇した体験に乏しく、努力や頑張りだけで成功するとは
かぎらない社会人の世界に入り、その現実に耐えることができずに不調となってしまう。


②周囲から称賛され続けることを当然と思っており、自分らしさを重視するあまり、
理想と現実のギャップに折り合いがつけられず、自信を失い不調に。


③少子化に伴い、同世代のコミュニケーションで理不尽な体験が少なく、
論理的に理解できない世界観への耐性がないために不調に。


④不況などの不安感からくる「ショック症状」と結びついている場合もあります。

(不安があると、身体症状が早期の段階から強く出やすいため、

頭痛や胃痛があるなど、身体にダイレクトに症状が表れやすくなります)


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一般的に、うつ病の方には「休養をとらせるために少し距離を置き、

そっとしておいたほうがいい」、「がんばれというのはタブー」などと言われています。

しかし、それは、従来型のうつへの対処法です。

従来型の場合、責任感が強く、非常に真面目なタイプで、

ギリギリまで仕事をし、燃え尽き状態になってうつ病を発症するケースが多く、

そっとしておくというのが一番良いと思います。

必要に応じて、心療内科やカウンセリングルームなどで心のケアをし、

休養がとれたら自然と仕事にも戻ってきますので、

それを待ち、あまり介入しないという態度が適しています。


一方、新型うつの場合は、薬物療法だけでは、限界があり、

心理療法、心理カウンセリングを行う必要があると感じています。

それは、本人の心理的な悩みや社会状況と関連して起きているうつだからです。

例えば、新型うつの方の悩みを聞いていると、

不況などによる、雇用の不安定感と密接に結びついていたり、

仕事ばかりではなく私生活の悩みや

パーソナリティの特性が関連していたり、

仕事を休んでしまううつでも、仕事の場面の話に留まらない

ミックスタイプが多いように思います。

 また、新型うつになってしまった人は、

悩みがあると同時に、孤独感を感じている場合もあるため、

誰かと話し、相談しながら何とかしたいと思っているケースがほとんど。

 そういうわけで、ある程度積極的に介入していくことも大切です。

励ましてあげることも必要なことがありますし、基本的には

やさしく接するということを心がけるとよいでしょう。


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同僚や部下で、新型うつかも・・という方がいる場合、

「メールよりは電話をする」、「必要であれば家の近くの駅まででかける」と

いうような、アナログ的コミュニケーションで接していくと、効果的なことも。

企業で新型うつの社員の対策を行うならば(予防を含む)、

メンター制度を導入したり、コーチングができる人材を育成したり、

職場のストレスを早い時期に皆で解消するために、

専門家に依頼してメンタルヘルスの勉強会などをひらくなども良いですね。

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新型うつ病の治療をするには、大うつ病に準じた薬物療法

(目先の症状を緩和させるため、気分安定薬や非定型抗精神病薬など)と、

認知行動療法、森田療法などの心理的アプローチが必要になってくるでしょう。

(薬物療法に抵抗がある場合には、心理カウンセリングからはじめてみてもよいと思います)


生活のリズムをととのえることも大切です。

まず、朝起きて、朝ごはんを食べる。毎日掃除をしたり、

気持ちのよい汗がかけるくらい運動するなどを

できるようにすることも目標となります。

カウンセリングでは、不安や抑うつの背景にあること(例えば、職場等の人間関係等)

に対し、現実的な解決方法を探していきます。

そのプロセスの中で、自分自身の認知や行動を客観的にみつめることができるようになり、

ものの見方や考え方、受け取り方が変化していくはず。

また、話すことでスッキリもしますし、

自分にあった、対処法なども徐々に見つけられると思いますカメ