ビーバイユー ZEPP Shinjuku 2024.4.28
ZEPP Shinjukuのステージに立つビーバーユー。これは華麗なシンデレラ・ストーリーに彩られた成功劇ではなく、メンバーがライヴのひとつひとつに全身全霊を捧げ、フライヤーの1枚1枚に想いを込めてファンとの縁を繋ぎ、ここに辿り着いたという事実を見逃せない。
階段を一歩一歩上って辿り着いたからこそ、ステージに立つメンバーの表情は自信に満ちているように感じられた。多くの人で賑わうゴールデン・ウィークの新宿歌舞伎町。そこにあるZEPP Shinjukuで今回のイヴェントは開催された。
タイム・テーブルを見ると、アイドル・ファンなら誰でも知っている有名グループがズラリと並んでいる。本イヴェントの水準というか、基準を物語っていると言えまいか。受付を終え、階段で地下4階まで降りたところにステージと客席がある。ZEPP系列だけあってスタンディング・フロアは広い。収容人数は1500人らしい。
イヴェントは12時25分からのオープニング・トークを経て、30分から各グループのライヴが行われる。ビーバイユーは3番手として13時15分からの出演だ。しかしながら、大型イヴェントに出演するだけあって、どのグループも歌、ダンス・パフォーマンス、そして楽曲ともに高水準であった。
実は前日、上野恩賜公園野外ステージで行われたライヴ後、綿谷湊氏とお話しさせていただいた。この際、綿谷氏が「界隈」についてのお話をされていたが、確かに客層も含めて、本イヴェントの空気感、肌感覚、質感は通常のライヴハウスとは全く別モノ。綿谷氏の視点と分析力の鋭さを実感した次第。
ライヴは進行し、13時15分。ステージ上の大型スクリーンに次の出演者を紹介する映像が流され、ビーバイユーのアーティスト写真が映し出された。お馴染みのピアノの音色がSEとして場内に響き、メンバーが続々と登場して定位置に就く。
SE及び、1曲目「僕の好きな季節に、たしかに君はいた」が始まるとすぐに判るが、音響が各段に良い。何度も聴いた馴染み深い曲だけに、ここまで良いサウンドで聴けるのかと驚くほど。これも本公演の特別感を強くする。
客席の様子も興味深い。ペンライトを振って熱く盛り上がるファンがいる中、恐らく初めてビーバイユーを見る層も多いようで、じっくりとステージを見ている方が一定数おられた。これは見方を変えると新規ファン獲得のチャンスであるのは間違いない。
青空侑杏氏が中心となって観客に挨拶。ここ最近のライヴでは、お題に基づいたコメントと共に自己紹介を行うのが恒例に。この日は、「ライヴでのアピール・ポイント」がお題となった。
「高身長なのでスタイルを活かしたパフォーマンス」と言う諸星めあ氏、「ダンスに注目」と言う永久つむぎ氏、「ニコニコ笑顔に注目」と言う愛洲澪氏、「楽曲によって変わる表情」がポイントの満月咲莉花氏、「目がなくなるほどの笑顔」に注目の砂糖るな氏、「いっぱいレス（目線）を送ります」と言う綿谷氏、「派手髪なので存在感を出して行きたい」と言う青空氏の順で自己紹介。
タイトル・コールから「にゅあにゅあLOVE&PEACE」へ。先日の吉祥寺CLUB SEATAのライヴで初披露された楽曲だ。アップテンポな曲調に、にゃん！にゃん！にゃん！とネコの動きを取り入れた振り付けが印象的。フロアではファンのみならず、一緒に動きを真似する方の姿が見られた。
次の「アナウメモンダイ」は、ビーバイユーの持つ楽曲の幅広さを表現するうえで、重要な役割を担っていた。先ほどまでの2曲は楽しい曲調であったが、本曲は「アナウメモンダイ」はクールな色合いが強い。自己紹介の際に満月氏が述べた、「楽曲によって変わる表情」の醍醐味がここにある。
今後のライヴ告知などを行い、ラストは「楽しみ方ダイバーシティ」。コール、振りコピ、じっくり見る、写真を撮ると、歌詞に綴られている通り、それぞれの楽しみ方による時間が流れた。20分のメニューを終え、メンバーは客席に深々と礼をしてステージを去った。
大きなステージ、豪華なセット、素晴らしい音響でありつつ、選曲や進行はビーバイユーの従来通りのライヴであった点が興味深い。小規模なライヴハウスでも、大規模なZEPP Shinjukuでも、全身全霊でライヴに臨む姿勢は変わらない。そう解釈できる。
記念すべき公演の余韻に浸りたいところであるが、ビーバイユーは5月3日の吉祥寺CLUB SEATAのライヴで早くも次なる新曲を初披露すると告知した。メンバーは立ち止まることなく、次の展開に向けて歩き始めているのだ。
セット・リスト
SE
①僕の好きな季節に、たしかに君はいた
②にゅあにゅあLOVE&PEACE
③アナウメモンダイ
④楽しみ方ダイバーシティ
