LIVE「令名の和歌 室町 2021.12.26」 | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

令名の和歌 室町三井ホール 2021.12.26

2021年1月、新曲「神楽姫」と共に令名の和歌の「新章」は幕を開けた。アーティストには必ず過渡期のようなものがある。2021年の令名の和歌は、正にその時期だったような気がする。新木場スタジオコーストのメイン・ステージ、ZEPP DiverCity TOKYOでのライヴなど、グループは上に向かって凄まじい勢いで進み続けた。思い描いていた夢は、もはや夢では無く、ひとつひとつが現実になっているのだ。

 

本年のライヴ納めとなった室町三井ホールでのステージは、昨年の今頃より何倍もスケール・アップした令名の和歌の姿を目撃する事となった。この日のパフォーマンスの迫力と切れ味の鋭さ、そしてメンバーの圧倒的な存在感が、それを物語っている。2021年の全て凝縮したステージであったのは間違いない。

 

年内最後のライヴは「まけんグミフェス」。会場の室町三井ホールは、東京日本橋の一等地にある多目的ホールで、音楽のイヴェントのみならず様々な用途で使用される。よって場内の舞台、照明や機材は本イヴェントのために組まれたようだ。客席の椅子も備え付けのものではなく、簡易的な椅子が並べられている。

 

朝10時開演という長丁場のイヴェントであるが、タイム・テーブルは時間通りに進行しており、予定の16時40分に令名の和歌のライヴが始まった。お馴染みのSEが流れ、神谷ちえみ氏、善家巳琴氏、松井唯氏、伊河こころ氏、葉月美羽氏、佐倉風夏氏が順番に登場。

 

令名の和歌は24日、25日、26日と3日間で4公演のライヴを行っており、このステージが4公演目となる。ただ、前日まではメンバーがサンタクロースやトナカイの衣装で出演するクリスマス仕様のライヴとなっており、白の衣装でパフォーマンスを行うのは久々だ。本公演は今年のライヴ納めである他、この白い衣装でパフォーマンスを行う最後のライヴでもある。その分、2021年の集大成としての色合いを強くさせる。

 

全員が揃ったところで「神楽姫」がスタートした。イントロで松井氏が「2021年の感謝を込めて!「神楽姫」」とタイトル・コールを行っている。ダンスのフォーメーションをキッチリと再現しながらも、観客に視線を送りエネルギーをぶつけ合うライヴ感も忘れない。両方の要素が絶妙なバランスを保ちながら演目が進行している。間奏明けになると、葉月氏が「今年最後!」と観客を煽って、鬼さんこちらのパートに入った。

 

「神楽姫」が終わると、すぐにシャッフル・ビートでお囃子が鳴り響いた。曲は「善と悪」だ。リズミカルに楽曲は駆け抜け、MCへ。松井氏が主体となって観客に挨拶。そこからメンバー各人の自己紹介が行われた。秋からリーダーに就任した伊河氏は「リーダーの伊河こころです!」と自己紹介。これも2021年にあった重要事項のひとつだ。

 

さて、令名の和歌は久々に新曲「サザンカ」をリリースしており、12月19日の浅草橋ヒューリックホールのライヴで初披露している。この日のライヴでも取り入れられており3曲目に歌われた。全体像としては「雪枷」のように冬の空気感を持ちつつも、楽曲はアップ・テンポなロック・ナンバーに仕上がっている。

 

別れをテーマにした切ない歌詞と対比するかのように、ダンス・パフォーマンスは鬼のように激しく、緻密なフォーメーションで構成されている。何でも、令名の和歌の楽曲史上、最も難易度の高いダンス・フォーメーションとの事。細かな動きを正確に積み重ね、1曲分のパフォーマンスを構成しているような印象だ。配信リリースされた音源で歌詞のストーリーと世界観を堪能し、ライヴではダンス・パフォーマンスの視覚効果も含めて堪能すると良いはず。

 

ラストの曲は「天の河」。メンバーが観客に手拍子を促し、軽快なリズムに合わせて観客はクラップを行う。サビではタオルを頭上で振り回し、場内に一体感が生まれた。この日のセット・リストを見て気づいたのは、披露された曲がすべて2021年にリリースされた楽曲である点だ。これは意図された選曲と思われる。

 

ライヴのオープニングに相応しい「神楽姫」、最後を飾る事が多い「天の河」は、今年のライヴを通じてファンに定着したものであるし、見方によっては今後「輪廻転生」をはじめ「祭囃子」「激情乱舞」級の楽曲になる可能性は充分ある。また、曲調として新しい「善と悪」、現在の最新曲「サザンカ」など、2021年の歩みを辿ったような選曲だった。すべての曲を歌い終えたメンバーは、今後の告知などを行ってステージを降りている。

 

凛と舞って空に咲いてほら高く高く翔け。「神楽姫」の歌詞で綴られている言葉は、現在の令名の和歌が歌うことによって、リリース当時とは違った響きになっている。2022年1月1日には「運命開歌」なる新曲のリリースが決まっている令名の和歌。既に運命の歯車はガッチリと噛み合い、大きく回転を始めている。2022年は、令名の和歌が「時代」を動かす年になりそうだ。

 

セット・リスト 2021.12.26

 

SE

①神楽姫

②善と悪

③サザンカ

④天の河