第472回「first bloom 全曲紹介」② | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

first bloom/つばきファクトリー

・・・続き

 

DISC1

 

可能性のコンチェルト

シングル曲類が多く収録されている本作であるが、本曲はアルバム用の新曲。バンドのサウンドを柱としたロック・テイスト且つアップテンポなナンバーであると同時に、タイトルの通りコンチェルト(協奏曲)を思わせる華麗なストリングス風のアレンジが随所に登場する。ロック・テイストと表現してもギター・パートはディストーション・サウンドを前に出したプレイでは無く、クリーン・トーンによるカッティングも多く取り入れられているので、曲自体は軽快な印象を受ける。

 

終始、メロウなフレーズを奏でるベースも素晴らしく、本曲の持つ色合いの下地となっているのはベースと言っても過言では無い。人生の迷いや自分の進むべき方向、可能性などを音楽に例えて綴った歌詞が本曲のタイトルに繋がっているようだ。2019年正月のHello!Projectコンサート「NEW AGE」公演など、ステージでも披露されている1曲。

 

春恋歌

20182月にリリースされたメジャー3枚目のシングルに収録された1曲。シングルの発売に先駆けHello!Project2018年正月公演で既に披露されている。歌詞は判り易いように思えて、読み解いて行くと様々な解釈が出来る奥深いものだ。雪が溶けて暖かな陽が差し、新たな花も芽生えて春の到来を告げる春の季節に恋を始めましょう・・・即ち新たな生活が始まる春への期待と予感を膨らませている主人公を描いた歌とも受け取れるが、新たな恋の訪れを冬から春への移り変わりに例えて表現したとも受け取れる。

 

この辺りは聴き手のイメージに委ねられるだろう。サウンドも春の訪れを感じさせるような暖かみのある音作りとなっており、ギターとピアノの音色も気品溢れる音色に。リリースが2月という事もあり、丁度、世に出る時期を考慮して選ばれた楽曲だったと言えそう。ある意味、古き良き正統派アイドル・ポップスを思わせる仕上がりだ。

 

デートの日は二度くらいシャワーして出かけたい

20187月に世に出たメジャー4枚目のシングルに収録された曲。本作の3曲目に収録された「今夜だけ浮かれたかった」、11曲目の「純情cm(センチメートル)」も本曲と同じシングルに収められており、歌詞の内容や描かれているテーマこそ違えど、どちらも夏にリリースされるシングル作品である事を考慮したかのような曲に。とは言え、こちらの「デートの日は二度くらいシャワーして出かけたい」は夏を題材にした典型的な曲では無く、歌詞の内容を読み解けば非常に奥深い。

 

本曲は自分に自信が持てない主人公を描いた楽曲で、着るものや髪型が決められず、デートで1日中、一緒に居るとメイクや髪型が崩れて彼に嫌われるのではないかといった複雑な心情が歌われている。つまり、本曲のタイトルは歌詞全体をひと言で表現したものでは無く、あくまで主人公の心情を表現した一部分に過ぎない。タイトル以上に歌詞は広がりと奥深さを見せているのだ。デジタルによるサウンド・メイキングのオケは、歌詞で歌われている内容と調和するかのように、張り詰めた緊張感を放っている。

 

帰ろうレッツゴー!

本作用の新曲。アルバムに収録された曲を順に聴くと、本曲は前の曲の世界観から空気をガラリと変えるような役割を果たしている。明るく賑やかな本曲は、バンド演奏によるオケでありつつもロック色を前面に出した仕上がりと言うより、ポップ・ナンバーとしての色合いが強い。飽くまで歌がメインで、演奏は歌を支える伴奏というアプローチのように受け取る事が出来そうだ。良かった事、悪かった事、嬉しかった事、反省点など、1日の様々な出来事を振り返りながら家に帰る様子を描いたイメージの歌詞は、コンサートの本編最後やアンコールの最後に歌ってもマッチしたような曲調と歌詞だ。

 

Just Try!

20172月にリリースされたメジャー・デビュー・シングルに収録された1曲。同作には「初恋サンライズ」「うるわしのカメリア」、そして本曲「Just Try!」が収録されており、トリプルA面シングルという事もあって、意図的にそれぞれ異なった方向性の曲調を収録したと思われる。本曲は全編に渡りデジタル・サウンドを柱として構成したオケとなっており、部分的にメンバーのヴォーカルも音声変換されている。いわゆるEDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)系のサウンドであり、良い意味で人間味を排除した無機質な世界観に徹しているとも言えそう。コンサートにおいてはクールなダンス・パフォーマンスと共に舞台上にも独特の世界観が渦巻く。これまでもコンサート、イヴェントなど、様々なステージで披露されている1曲でもある。

 

純情cm(センチメートル)

「今夜だけ浮かれたかった」「デートの日は二度くらいシャワーして出かけたい」と同じく、20187月発表のシングル作品に収録された楽曲。これも「半袖の季節」といったワードが歌詞に登場するので7月のリリースらしく、夏を舞台にした歌詞のようだ。歌われているテーマとしては、片想いをしている彼に近づきたいという主人公の様子を綴った内容ではあるが、歌詞の場面を読み解くと物理的な距離のみならず、気持ちの面での距離も含まれていると解釈できる。歌詞の内容を把握して改めて聴けば、「純情cm(センチメートル)」というタイトルは本曲のテーマをひと言で簡潔に表した名刺的なタイトルとも言えそうだ。デジタルによる音作りのため現代的なアレンジになっているが、マイナー調のメロディやコードなど、オケをバンド演奏にすると古き良きアイドル・ポップスに変換できそうな曲調に。

 

続く・・・。